公認会計士 Mrナカタの AI 解説
経理の仕事がAIによって奪われる!?
2020年02月28日
経理の仕事がAIによって奪われる!?
時は西暦2020年。巷では、人間の仕事をAIが奪うかもしれない!?とまことしやかに囁かれています。
よもや会計や経理といった職種も今後なくなる仕事と言われはじめて久しい現代。
これまでホワイトカラーの根城だった情報処理の世界に、いよいよAIという黒船がやってくるということで、恐れをなしている人々もいるかもしれません。
今後、AI技術によって経理の仕事はどのように変化していくのでしょうか。
経理の現状の課題とは?
経理の仕事がAIによって奪われてしまうのではないか?そんな漠然とした不安感を抱えている経理担当者も多いかもしれません。
実際に今後なくなる仕事のベスト10以内に経理業務は入っており、90%以上の確率でなくなると言われています。
現在の経理業務は属人性が高く、ローテーションがなかなか組めません。ルーチンワークも非常に多くそれら大量のタスクに埋もれ、人材育成までなかなか手がまわらないという問題点もあります。
他部署との連携も十分にできておらず、モニターの前で数値を正確に入力しているだけでは、近い将来AIによって仕事を奪われてしまうのは避けられないことではないでしょうか。
データの管理や集積という面に置いて、AIは人間を遥かに凌駕する処理能力を持っています。
現在の経理の行っている業務のほとんどは、AIの技術革新の波に飲まれ代替されてしまう可能性が非常に高く、これまでのような単純作業のみを繰り返す経理は人材として淘汰されてしまうと思われます。
経営的な視点から効率性を鑑みたときに、もはや人間がそのような業務をする意味自体が失われている時代に入っていると言えます。
人間でなくてもできる業務の担当から、人間は外されていくでしょう。
AIによって自動化できる経理の仕事とは?
AIとは、Artificial Intelligenceの略で日本語にすると人工知能です。しかしながら、言葉の定義はいまだ明確に統一されてはいません。
AI研究のゴールは、人間と同じように思考できる機械の実現ですが、これは現代でもいまだ実現されていなく研究途上の分野であると言えます。
人工知能には2種類あり、主に特化型AIと汎用型AIに分けられます。前述の人間と同じように振る舞うAIのことを通称強いAIといい、このようなAIを汎用型と言います。
一方、ひとつの業務やルール、条件付けの中で情報を処理するAIのことを通称弱いAIといい、このようなAIを特化型と言います。
今は、まだ導入されている事例はありませんが、経理業務もまずはこの特化型AIに代替されるのではないか?と言われています。
伝票の入力作業や集計といった定型化された膨大な業務は、このように特化型のAIによっていずれ人間が行わなくなるとされているのです。
AIによる算出データの信用性
このように技術の発展によって、人間の労働環境が著しく変化していくのは寧ろ自然な流れとも言えます。
ただ、中にはAIとは言え、機械の出力するデータなんて信用できないという人もいるでしょう。ほんとうにこのデータは正しいのか?そう疑念を抱く人もいるかもしれません。
ここで大事なことは、異分子であるAIを共に仕事をする新入社員と見る視点です。よくよく考えるとこの不信感は人間にも当てはまる構図だと思いませんか?
AIの出力するデータを人間が信頼できるかどうか?それは、人間が他者の言葉を信頼できるかどうかということとほぼ同義です。
0と1の二進数の世界で生きる”彼”にとって、出力するデータは言葉そのもの。いろいろな形状はあろうとも、それを信頼できるかどうかは人間の側にこそ関わってくるのです。
つまり、どんなデータを入力すればAIがよく仕事をこなしてくれるのかをあくまで人間が判断していくということが大事になります。
このようにAIの導入には、人間側の教育も不可欠といえます。
人間がどんな業務(データ)を記憶させて、AIの出力するデータをどう判断していくのか?あくまでハンドルを握るのは我々人間なのですが、まだまだ人間側にその自覚がないのが現状ではないでしょうか。
これからの経理に必要なスキル
経理業務におけるAI導入の事例はいまだ行われてはいません。ただ、今後AI技術が実際に導入されるとなれば、モニターの前に1日中張り付いて数値とにらめっこしている経理の姿はもはや前時代的なものとなるでしょう。
これまで経理の業務範囲は営業のように現場に足を運ぶものではありませんでした。しかし、本来は経理こそ現場に同行する必要があるのではないでしょうか。当然負担は増えますが、その結果、経理は現場の状況を理解して、それを経営トップに伝えることができるようになります。
そのようなタイムリーな情報を経営戦略として起案し経営をサポートしていくことで、数字の背後にあるストーリーをも読み解ける人材に成長していくことが肝心です。
なぜならば、それはAIにはできないからです。これからの経理は、このように売り上げがあがるまでのストーリーを熟知し、定量的な情報を元に経営を数値面からサポートすることが求められてきます。
AIが出力する定量的な情報を元に、自らの頭で考え、異なるデータ同士の間に横たわる因果関係を導き出せる人材。経営判断をより迅速にするための数値的なデータをアウトプットできる人材。そのような人物こそが良い仕事のできる新しい経理の人物像となってゆくのではないでしょうか。
投稿者プロフィール欄
監修: 公認会計士 中田清穂
一般社団法人日本CFO協会主任研究委員。公認会計士。
1984年明治大学商学部卒業、1985年青山監査法人入所。
2005年に独立し有限会社ナレッジネットワークにてIFRS任意適用、連結経営、J-SOXおよび決算早期化など、決算現場の課題解決を主眼とした実務目線のコンサルティングにて活躍中。
会計システム導入事例
SuperStreamを含む会計システムや会計システム周辺のソリューションの導入によって経理業務の改善を実現した事例をご紹介します。会計システム導入や活用にお悩みの方のご参考にしてください。