源泉徴収簿と源泉徴収票の違いとは|
源泉徴収簿の作成手順7つ

源泉徴収簿とは

会社員はもちろんアルバイトの場合でも、事業者はそれぞれの給与所得に発生する所得税をあらかじめ差し引いてから、給料を振り込んでいます。これを、源泉徴収と呼びます。この仕組みによって被雇用者は、自分で意識することなく所得税を収めることが出来ます。源泉徴収簿とは、正確に源泉徴収をおこなうための帳簿です。給与や賞与をはじめとする所得や、社会保険料等の控除額などを記入し、所得税を算出するために使用します。源泉徴収簿は、法的に記録を義務付けられているものではありませんが、正確な源泉徴収を行い、所得税を不備なく収めるために必要な帳簿です。

源泉徴収票との違い

会社員であれば、年末に源泉徴収票と呼ばれる用紙を受け取ったことがあるはずです。源泉徴収簿と一字違いで似ていますが、源泉徴収簿とは異なります。源泉徴収票とは、1年間の給与などを集計し、どれだけの所得税を納付したかを示す証明書です。源泉徴収票は、所得税法で発行が義務付けられており、事業者は従業員に対し1月末までに必ず発行しなければなりません。また、退職者に対しても、退職後1か月以内に発行する必要があります。法的に義務付けられている源泉徴収票の発行を正確におこなうためには、源泉徴収簿の活用が不可欠です。

国税庁(給与所得の源泉徴収票等の交付義務)

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源泉徴収簿の作成手順

国税庁では、正しく源泉徴収が行われるように、源泉徴収簿を発行しています。必ずこの書式を使わなければならないという決まりはありませんが、多くの企業がこの書式を利用しています。源泉徴収簿は年末調整の根拠として、確認が求められる可能性があり、法律で7年間の保存が義務付けられています。ただし、提出は義務付けられていませんので、最近では源泉徴収簿の記入もペーパーレス化がすすんでいます。ここでは、国税庁が発行する源泉徴収簿の書き方を説明します。

国税庁(給与所得・退職所得に対する源泉徴収簿の作成)

手順1:源泉徴収簿に個人の情報を記述する

まず、被雇用者の個人情報を記入します。記入欄は、所属、職名、住所、氏名、整理番号があります。整理番号とは、確定申告をした際に税務署が割り当てる番号を指します。ただし、源泉徴収簿は提出の義務はありませんので、必ずしも記入する必要はありません。雇用者が利用する場合は、社員番号等の記入で利用すると便利です。

手順2:給与情報と賞与を記入する

「給料・手当等」の欄には、支払った給与を月ごとに記入します。各月で2行記入欄がありますから、給与のほかに、通勤手当・残業代などを分けて記入することも可能です。「賞与等」の欄には、ボーナス金額などを記入します。また、月ごとの支給額・賞与等に応じた「社会保険料等の控除額」と、その金額を差し引いた「社会保険料等控除後の給与等の金額」を記入します。いずれも給与明細に記載があるので、そのまま転記すればその都度計算する必要はありません。月ごとに記入・記録することで、実際に支払われた給与に対して収めた所得税を月ごとに明確化出来ます。

手順3:給与所得控除後の給与等の金額を算出する

年度末には、給与所得控除後の給与金額の合計を算出し記入します。給与所得控除額は収入によって異なります。また、計算式が変更されることもあるため、年度ごとに確認が必要です。実際に、平成29年~令和元年分、令和2年分以降では計算式が異なります。年度ごとの計算式は、国税庁のホームページで確認することが出来ます。

国税庁(給与所得控除)

手順4:扶養家族の情報を元に控除額を計算する

扶養控除等の申告がある場合は、「扶養控除等の申告」欄に申告の有無と、控除対象者の種類と人数を記入します。「給料・手当等」記入欄にも、月ごとに扶養親族等の数を記入し、それをもとに「算出税額」を記入します。社会保険料控除額同様、給与明細に記載があります。年度末には扶養控除の合計額を計算し記入します。「配偶者(特別)控除」とその他控除の合計で分けて記入します。平成29年までは、配偶者特別控除と配偶者控除は別欄となっていましたが、平成30年度分からは統合されています。過去の書式をそのまま利用している場合は確認が必要です。

国税庁(配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて)

手順5:保険料控除申告書の情報を記入する

給与から直接引かれる社会保険料のほか、被雇用者が任意で保険に加入している場合も、支払い金額が控除対象となります。控除対象となるのは、生命保険・地震保険・社会保険で、いずれも項目ごとに金額を記入する欄があります。年末調整に向けて提出されている保険料控除申告書・証明書を確認し、それぞれの控除額を記入します。

手順6:本年度の算出所得税額を計算する

ここまでの手順で明確化した控除額から、課税給与所得金額を求め、算出所得税額を計算します。まず、手順5・手順6で算出した「所得控除額の合計額」を記入します。次に手順3で算出した「給与所得控除後の給与等の金額」から、この「所得控除額の合計額」を差し引き、課税給与所得金額を算出します。所得税は課税所得金額に応じて税率・控除額が異なるため、算出した金額に対応した税率を掛け合わせて算出所得税額を求めます。所得税率は国税庁のホームページなどで確認することが出来ます。

国税庁(所得税の税率)

手順7:本年度の税額を計算する

源泉徴収簿の算出税額とは、実際に収める税金額ではありません。算出所得税額に102.1%を上乗せした金額が、本年度の税額となります。これは、東日本大震災以降に設定された、復興特別所得税と呼ばれる税金です。実施期間は2037年までで、それまでは所得税を納める義務がある人は必ず課税されます。源泉徴収簿の「年調年税額(×102.1)%」に記入します。この金額が、本年度の税額となります。

国税庁(復興特別所得税のあらまし)

源泉徴収簿を正しく記入しましょう

被雇用者の給与・税金に関わることですから、源泉徴収簿を正しく記入し、正確な源泉徴収をおこなうことは大切です。源泉徴収簿は毎月記入していくことも重要です。年末になって慌てておこなうと、被雇用者からの情報提供が思うように進まないなど、苦労しがちです。また、急な退職や中途入社の対応、前職分の所得金額確認などにも対応するためにも、日々欠かさずに情報を記入していくことが大切です。詳しくは下記リンクをご覧ください。源泉徴収簿はペーパーレス化も進んでいます。RPAを導入しているWarkVisionのシステムを利用すると、年末調整に関わる日々の業務を効率化することが出来ます。

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