2027年4月から強制適用となる
新リース会計基準とは
2024年11月6日
新リース会計基準は、2024年に公表され、2027年度から適用されることが決定しています。
この基準は、日本のリース取引に関する会計処理の方法を根本的に見直すものです。
特に、借手がリース契約を扱う際のルールが一新され、全てのリース契約がオンバランスの扱いとなるため、
企業の財務諸表に及ぼす影響は大きいと考えられています。
貸手との取引では、リース契約の期間にも注意が必要です。
それでは、基準の導入により、企業はリース契約の管理や会計処理の見直しについて、どのように対応すべきなのか、詳しく解説していきます。
日本のリース会計基準の歴史と改正の背景
日本のリース会計基準は1993年に制定されて以来、数回の改正が行われています。
特に、2007年の改正では、ファイナンスリースとオペレーティングリースの区別が強化され、
ファイナンスリースがオンバランスに計上されるようになりました。
しかし、国際基準との違いや固定資産の会計処理におけるオフバランスへの問題が指摘され、2019年には新たな基準の開発に向け、動き始めました。
そして、2023年には新基準の公開草案が示され、最終的には2024年の基準公表へと至りました。
この流れは、国際的な会計基準との整合性を保つためのもので、今後のリース取引に関する会計処理の重要な転換点となります。
新リース会計基準の公表と適用時期
2024年9月13日に新リース会計基準が公表され、最新の適用時期は、2027年4月からとなります。
この改正に伴い、企業は事前に適用へ向けた準備を開始することが求められています。
企業にとっては、新しい基準の内容を十分に理解し、適切な会計処理を行う体制を整えることが重要です。
特に、リース契約の内容や種類に応じた適切な判断が求められ、精度の高い財務諸表の作成が期待されます。
新リース会計基準の適用による影響
新リース会計基準の適用は、企業の会計処理に重要な影響を与えます。
先述の通り、使用権資産が財務諸表にオンバランスで計上されるため、企業のキャッシュフローや財務状況がより明確になると考えられます。
特に、不動産や車両をリースする企業では、これまでオフバランスとされていた資産が新たに計上されることで、負債や資産の比率に変動が生じることが予想されます。
また、国際会計基準(IFRS)との整合性を図るための変更でもあり、国外の投資家や取引先との比較においてもクリアな基準を提供します。
このように、企業はリース契約に対する理解を深めた上で、適切な会計処理を行うことが求められます。
リースの定義が変わるため、リース契約が増える可能性も
新リース会計基準では、リースの定義が従来とは異なる点に注意が必要です。
本基準においてリースとは、特定の資産を使用する権利を一定期間にわたり貸手から借手に移転する契約を指します。
注意すべきは、この変更によって、従来考慮されていなかった契約もリースに該当する可能性が高まるという点です。
例えば、賃貸借契約や業務委託契約など、名称に「リース」と付いていなくても、契約内容がリースの定義に該当する場合が出てきます。
企業はこのことを踏まえ、今後のリース契約の締結に際して、慎重な判断が必要とされます。
以下の内容で、考慮すべき具体的な判断基準について、ご紹介いたします。
(1)資産が特定されているか
リース契約において、資産が特定されていることは重要な要素となります。
契約において特定される資産は、通常、リースの対象とされる物品や施設ですが、これが明確に示されていない場合、
契約の解釈が難しくなることもあります。
特定の資産がある場合、それに基づいて契約が成立するため、契約期間中にその資産がリース利用の中心となることが重要になります。
したがって、契約の際には、どの資産がリースの対象となるのかを明確にし、両者の合意を得ておくことが望ましいです。
(2)資産の使用を支配する権利が移転しているか
新しい基準では、資産の使用を支配する権利の移転についても、配慮しておく必要があります。
これは、契約書に基づいて、借手が特定される資産の使用によって得られる経済的利益の大部分を享受する権利を有するかどうかに依存します。
貸手と借手の関係において、契約に定められた条件がクリアであれば、借手にはリースに該当する契約として認識されます。
この点は、企業会計基準委員会(ASBJ)が発表した具体的な例や設例に基づいて判断される場合が多く、貸手と借手がその内容をしっかり理解することが重要です。
リースの借手のFS(財務諸表)注記事項
さらに、新リース会計基準が適用されることによって、リースの借手における会計処理や注記に変更が生じます。
例えば、使用権資産の内容や金額、関連する注記を財務諸表に反映させることが義務付けられるでしょう。
借手がリース契約を結ぶ際、サブリースやリースバックといった内容も考慮して、財務諸表への影響を評価していかなければなりません。
こういった変更に対する対応は、新たな工数もかかり手間ではありますが、損益計算書や貸借対照表において正確な情報を提供することで、
外部のステークホルダーへの信頼性が増すとともに、企業自身の内部管理にも貢献できる、というメリットも存在します。
リースの借手の具体的な会計処理
では、リースの借手側は、具体的にどのような会計処理が求められるのでしょうか。
企業会計基準委員会(ASBJ)が提示する適用指針に従い、借手はリース契約に基づく使用権資産やリース債務を財務諸表に適切に計上する責任を負います。
例えば、リース期間中のリース料支払いに基づく利息費用や、使用権資産の減価償却が必要です。
これにより、企業の財務状況の透明性が向上することが期待されています。
また、具体的な処理方法や計上方式については、ASBJの設例を参考にした解説が提供されており、実務での導入がスムーズに進むよう配慮されています。
リース契約の設例条件
リース契約の設例条件についても、新たな基準に沿って考えていく必要があります。
この条件には、リース期間が1年のケースや、使用権資産の耐用年数に基づく計算が含まれます。
例えば、借手はリース契約のリース期間に応じたスケジュールを整備し、貸手との合意を得ることで円滑な進行が可能となります。
借手にとって、設例条件の内容をもとに、使用権資産の評価や利息の計算例を正確に把握しておくことが、会計処理の成功に繋がります。
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