高年齢雇用継続給付金とは?申請時のポイント3つと注意点2つ
高年齢雇用継続給付金とは
60歳で定年を迎えた後も、現役として働きたいと考えている人は多いでしょう。しかし、実際に60歳を過ぎて再雇用や再就職をすると勤務時間や労働時間も変化し、それまで受け取っていた給与額が大幅に下がってしまうことも少なくありません。現役時代に比べて給与が下がってしまうことに対し、国の対策として実施されているのが高年齢雇用継続給付金です。老齢年金の支給開始の年齢も年々引き上げられており、現在では満額を受け取ることができるのは65歳以上となっています。高年齢雇用継続給付金は、定年を過ぎた後も高齢者に活躍してもらい、収入面を補填する意味もあります。
雇用継続と再就職で種類が違う
高年齢雇用継続給付金には2種類あり、「高年齢雇用継続基本給付金」と「高年齢再就職給付金」に分けられます。どちらが支給されるかは、失業給付などの手当を受けたかどうかで異なります。退職後に雇用保険の基本手当を受け取ることなく再雇用された、または再就職したときには雇用継続基本給付金が65歳になるまで支給されます。基本手当を受け取っている間に仕事が決まり、基本手当の支給残日数が200日分以上が残っていれば再就職給付金が2年間、100日以上ならば1年間受給できます。基本手当の支給残日数が100日未満、また65歳を過ぎたときは受給することはできません。
高年齢雇用継続給付金を申請するときのポイント3つ
高年齢雇用継続給付金を受け取るにはいくつかの要件があり、すべて満たしていない場合は給付が受けられません。具体的には、60歳以上65歳未満であること、雇用保険の被保険者である期間が5年以上あること、60歳到達時の賃金月額の75%未満に低下していることなどです。以下でポイントを押さえていきましょう。
高年齢雇用継続給付金を申請するときのポイント1:雇用保険に5年以上加入している必要がある
一つ目のポイントは、5年以上雇用保険に加入している必要があることで、地方公務員や会社の役員、個人事業主などで雇用保険に加入していない人は対象となりません。60歳になった時点で5年になっていなくても、65歳までの間で通算5年以上になれば資格を得られ、期間を満たしたときから65歳までの間は受け取ることができます。再雇用された時点で期間を満たしていなくても、その後継続して働くことで期間が満たせれば、その時点から受給資格が発生します。60歳に遡り請求することはできませんが、覚えておくとよいでしょう。
高年齢雇用継続給付金を申請するときのポイント2:支給には上限がある
高年齢雇用継続給付には金額に上限があり、支給を受けるには60歳時点での賃金と比べて低下率が75%未満である必要があります。低下率が61%未満なら賃金の15%、低下率61%以上なら賃金の15%以下が、低下率に応じた計算式に当てはめて支給されます。ここでいう60歳到達時点の賃金とは、残業代や通勤費を含む60歳直前6ヶ月の平均月額給与のことを指し、賞与は含まれず、上限は476,700円、下限は75,000円です。支給額の上限は363,359円で、この額を超えた賃金を受け取っているときは支給されません。また、支給額の下限は2,000円で、これ以下のときも支給はありません。
高年齢雇用継続給付金を申請するときのポイント3:ハローワークで申請することも可能
高年齢雇用継続給付金の申請には会社で用意する添付書類や事業主の証明が必要となるため、基本は会社に手続をきしてもらうことになりますが、自分でハローワークに申請することも可能です。賃金台帳や雇用関係の契約書、本人確認書類などの必要書類を揃えて、受給資格確認票に記入し、ハローワークへ提出します。給付日は支給決定日から約1週間後で、2回目以降は2ヶ月ごとに申請し、支給月に2か月分まとめて振り込みとなります。
高年齢雇用継続給付金を申請するときの注意点2つ
高齢による賃金低下を補うものとして活用できる高年齢雇用継続給付金ですが、場合によっては支給対象にならなかったり、受給しない方が収入が多くなったりすることがあります。育児や介護などに関する雇用継続給付などとの併用が難しいこと、再就職手当などを受給している場合は支給されないことなどに注意が必要です。以下では特に気を付けたい2点について解説します。
高年齢雇用継続給付金を申請するときの注意点1:定年した年齢ではなく60歳以上が対象
60歳や65歳が定年という企業は多いですが、高年齢雇用継続給付金の受給資格が発生するのは、定年に関係なく60歳を過ぎてから賃金が75%未満に低下したときです。定年は会社によって決められるもので、なかには定年がない会社もありますが、日本の企業では、60歳以降も同じ会社で継続して働く場合には賃金が低下してしまうことがほとんどです。もし定年を迎えていなくても、60歳時点での賃金より減っている場合は受給できますので、確認することをおすすめします。また、定年が57歳などでその後再雇用されたときでも、60歳時点の賃金が基準です。その場合、賃金低下率が75%未満にならないこともあります。
高年齢雇用継続給付金を申請するときの注意点2:年金が減額される可能性が高い
60歳を過ぎると企業年金や老齢厚生年金が支給されますが、高年齢雇用継続給付を受けると年金が減額されることがあります。賃金の低下率が61%以下で支給額が15%のときは、年金額の6%が支給停止となります。さらに厚生年金に加入していると、在職老齢年金制度の仕組み上の支給停止も加わるので、二重に年金が減額されてしまいます。場合によっては高年齢雇用継続給付を受けない方が結果的に得となるケースもありますので、しっかりとシミュレーションしてみることが必要です。
高年齢雇用継続給付金の申請は自分の状況に合わせて見極めよう
人口減少による労働力不足もあいまって、元気ならば定年以降も働き続ける人は増加傾向にあり、国でも雇用促進を目指しています。高年齢雇用継続給付金も雇用促進のための政策ですが、利用するときは自分にとって最も良い方法が選択できるようにしたいものです。一方、高齢者の再雇用や採用を行う企業には、法改正への対応を含め、精度の高い人事管理・給与計算が求められています。WorkVisionの提供する人事・給与システムは、人材を企業の財産としてしっかりと管理することが可能です。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
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