新卒3年後の定着率の高い業種4選|新卒者の離職状況とは?
新卒の定着率とは?
定着率とは、入社して企業に在籍している社員の割合を示します。離職率の反対の意味を表す言葉でもあり、離職率が10%であれば定着率は90%になります。定着率が高ければ離職のリスクが少なく、長く勤務しやすい会社であると判断できます。反対に定着率の低さは人材の流出が多く、採用コストがかかることを示しています。そのため、採用する側は定着率を高めるための対策を行うことが重要になります。
厚生労働省が発表した新卒者の離職状況
厚生労働省が平成28年度3月に卒業した新卒者の離職状況を調査したところ、新規高卒就職者の約4割と新規大卒就職者の約3割が、就職してから3年以内に離職していることが判明しました。従来は終身雇用制のもと一つの会社で生涯働き続けるのが一般的だといわれていましたが、近年の離職状況を踏まえると雇用状況が変化していることが分かります。その理由として考えられるのは労働環境の変化です。現在の労働環境では年齢に伴う賃金の増加が保証されていません。また、長時間労働が余儀なくされるケースもあります。離職率を減らすには労働環境の改善が必要といえるでしょう。
新卒3年後の定着率の高い業種4選
新卒者が就職して3年以内に会社を辞めてしまう比率が高まっているなか、定着率が高い業界もあります。具体的には電気機器、機械、情報通信業、食料品業界などです。何故これらの業界の定着率は高いのでしょうか。各業界の特徴とともに、定着率が高い理由について解説していきます。定着率が高い理由を知ることで、自社の定着率を高めるヒントが得られるのではないでしょうか。
定着率の高い業種1:電気機器
電気機器業界は2種類のメーカーに大別されます。電子レンジ、エアコン、洗濯機、冷蔵庫などの家電製品を展開する軽電機メーカーと、発電機や変圧器などの電力設備を製造する重電機メーカーです。このうち重電機メーカーにおいては、鉄道車両やエレベーターなどのインフラ事業も展開しています。インフラに関わる仕事は人々の生活に不可欠であり、研究結果が社会貢献に繋がり業績が安定しています。
定着率の高い業種2:機械
自動車、船舶、航空機などを製造する機械業界も定着率が高いようです。機械業界の仕事は現代の産業を支える縁の下の力持ちにあたる存在です。機械業界は日本が世界に誇れる産業の一つとされ、社会的評価が高く給与水準が安定していることが知られています。製造ノウハウは属人化することなくグループ体制で進行することから、休暇制度を利用しやすい労働環境や待遇などが良好であり、新入社員の定着率が高いとみられます。2008年のリーマンショック以降に市場規模が回復傾向にある点も一つの要因と考えられます。
定着率の高い業種3:情報通信業(IT)
情報通信業(IT)とは、情報の処理や伝達に関するサービスを提供する業界です。具体的には携帯電話の開発やポータルサイトの維持運用、システム・アプリなどの設計が挙げられます。情報通信業(IT)は仕事が長時間になりがちで、休みが取りにくいイメージを抱く方もいることでしょう。しかし、情報通信業(IT)の離職率は意外に低いことが知られています。その一つとして考えられるのがスキルに応じた給与水準と、テレワーク導入などによる柔軟な就業スタイルです。システム開発でユーザーとベンダー間の問題を解決するITコンサルタントも所得の高い職種です。
定着率の高い業種4:食料品
食料品業界は人々の豊かな食生活を支える仕事をしています。スーパーやコンビニエンスストアでインスタント食品やスナック菓子、飲料などが手に入るのは食料品業界で働く方々のおかげです。平成29年度の厚生労働省の雇用動向調査結果の概況では、産業分類上、食料品業界が属する製造業は4番目に離職率が低い業界でした。自身が携わった研究結果や商品企画を、スーパーやコンビニで体感でき、仕事への意欲も高まることから、大手食品メーカーの採用は競争倍率が数百倍になるなど人気の業界となっています。
定着率の高い企業が実施していること
求職者が定着率の低い会社を避け、働きやすい企業を探すのは道理であるといえます。そのため企業としては、定着率を高めるための工夫が不可欠です。軽食の無料化やサッカー観戦休暇の導入など、定着率が高い会社が実施している工夫にはさまざまなものがあります。中でもワーク・ライフ・バランスや福利厚生、人材育成が定着率を高めるためのキーポイントです。ここからは、ワーク・ライフ・バランスや人材育成についての取り組みをご紹介します。
ワーク・ライフ・バランスの実現
長時間労働が続くと精神的にも肉体的にも負担が生じ、勤務を継続できなくなってしまう社員もいることでしょう。残業を減らすことで定着率を高めた事例も見受けられます。無断残業や休日出勤を禁止するなどがよい例です。ただ、企業ビジョンが明確でない場合は、制度が形骸化する恐れもあります。ワーク・ライフ・バランスを活性化させるためにも、風通しの良い組織風土作りが不可欠です。
人材育成
離職率の高まる原因の一つが人材育成に伴うコミュニケーション不足です。仕事は見て覚えるものとの意見もありますが、コミュニケーション不足で新入社員にスキルやノウハウが伝わらなければ本末転倒です。その点を踏まえ、現場の先輩が新入社員にマンツーマンで指導する制度を導入した企業もあります。結果として、新入社員だけでなく先輩社員にも育成効果が見られ、定着率向上が実現しました。
定着率の高さには理由がある
定着率の意味をはじめ、定着率の高い業界や定着率を高める方法についてご説明しました。共通して言える点は、教育や研修などスキルアップできる環境が整っていること、ステップアップ休暇や産休・育休など休暇制度が利用しやすいこと、適正な労働時間であることなど、社会環境に順応した働き方の風土改革が進んでいることと言えるでしょう。
しかし、定着率の高い業界や企業を参考にしても自社の定着率が必ず高まるわけではありません。離職率が高い場合は、退職理由をしっかりと分析して自社が抱える課題への対策を検討することも必要です。
離職率が低い企業では、OKR(Objectives and Key Results)に基づく目標管理を運用し、社員の目標が会社の目標に貢献できていることを明確化しているケースもあります。ITを活用した労務環境の整備も進めておくことが必要です。WorkVisionは人事・給与や目標管理のソリューションを提供することで、企業の人事管理や人材育成の適切化を実現し、定着率の向上に貢献いたします。
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