退職金の相場や計算する3つの方法|退職金が決まるポイントも解説!
退職金制度とは
退職金制度とは、従業員が勤務先を退職したときに退職金が支給される制度のことです。退職金制度は雇用側の義務ではないものの、長期間にわたって貢献してきた従業員に対して、退職にあたり給付・手当が支給されるケースは多くあります。
退職金制度を設けなくても法令違反にはなりませんが、制度を設ける場合は適用範囲、条件、金額の算定方法、支払時期を就業規則等に明示する必要があります。
退職金が決まるポイント5つ
退職金は、企業に貢献してきた従業員に対する労いや離職を防ぐといった目的があります。そのため、退職金は一定ではなく、企業や従業員によって額が変わります。退職金が決まるポイントは、企業の業績と従業員の貢献度、退職の種類などがあります。
たとえば自己都合退職か会社都合退職で退職金が変化するケースが多いようです。それぞれのポイントについて詳しく説明していきます。
退職金が決まるポイント1:企業の業績
退職金の額がどのように決まるかは就業規則等に明記されているため、基本的には就職した時点で退職金を試算することができます。しかし、企業の業績で退職金の額が変動することもあり得ます。
ただし、業績のように企業側の都合で退職金を勝手に下げることは従業員の不利益に繋がります。従業員にとって不利益な変更となる退職金の減額は、減額が正当と認められるだけの合理的な理由が必要になります。
退職金が決まるポイント2:勤続年数
退職金が決まるポイントの2つ目は勤続年数です。一般的には勤続年数が長いほど企業への貢献度が高いと判断され、退職金は高くなります。
退職金の支給要件として、勤続年数が3年以上、5年以上といった最低勤続年数を設定しているケースも多くあります。より長く勤務した従業員の方が企業への貢献度は高いと考えられるため、退職金の額が上がるのも妥当といえるでしょう。
退職金が決まるポイント3:企業での職能資格
退職金制度によっては、退職までの間に取得した職能資格に応じて退職金を加算することがあります。
職能資格の他に加算対象となることが多いものは、役職や人事考課です。また人事考課によっては退職金が減算されることもあります。
退職金が決まるポイント4:定年退職
定年退職の場合、退職金は学歴によって変わることがあります。
平成30年の東京産業労働局の調査によると、定年退職の場合の退職金の相場は高卒で1126万8000円、高専・短大卒は1106万6000円、大卒で1203万4000円でした。
企業の退職金制度によって変化しますが、退職一時金制度をとっている場合は学歴による差は少ないケースが多いようです。この他、企業年金制度をとっている企業もあります。
中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)|8 モデル退職金(集計表 第8表)
退職一時金制度
退職一時金制度とは、退職時に貰える給付金を一括で受け取れる制度のことです。
退職金といえば退職一時金として受け取るケースが多いでしょう。退職一時金制度では、学歴によって受け取れる退職金の差が大きく変動することはさほどありません。
中小企業の賃金・退職金事情(平成30年版)|<図表8-2>モデル退職金(退職一時金のみの企業)
企業年金制度
企業年金制度とは、退職金を一括で受け取るのではなく、年金のように分割して少しずつ受け取れるようにした仕組みのことです。
企業にとっては一括で大きなお金を支払う必要がないというメリットがあり、従業員にとっても分割で支払われる分だけ多めに貰えるというメリットがあります。
退職金が決まるポイント5:自己都合退職
退職金は退職の理由にも左右され、自己都合退職は会社都合退職より退職金が低くなります。
自己都合退職とは、転職や引っ越しといった事情で自分から退職することです。会社都合退職とは、倒産やリストラといった会社の都合で辞めさせられることです。
自己都合退職は退職金が低くなりやすく、失業給付金に関しても7日間の待機期間に加え、2カ月間の給付制限期間(※)があります。
※令和2年10月1日以降の自己都合退職の場合。
但し、自己の責めに帰すべき重大な理由で退職された方の給付制限期間はこれまでどおり3カ月となります。
令和2年9月30日以前の自己都合退職の場合、給付期間制限は3カ月となります。
退職金を計算する3つの方法
総務部門は、退職者への給付金額を予め試算することができます。
すでに述べたように、退職金については支給額の算定方法を就業規則等に明記しなければならないためです。退職金の決まり方によって計算方法は異なりますが、ここでは大きく3つの計算方法を紹介します。
退職時決定方式(基本給連動方式・別テーブル方式)、ポイント累積方式、キャッシュバランス方式です。
退職金を計算する方法1:退職時決定方式
基本給連動方式では、退職時の基本給をもとに退職金を計算します。
多くの企業で、基本給連動方式が採用されています。基本給連動方式での退職金の計算方法は、「退職時の基本給×支給率+特別な加算・減算」です。支給率は勤続年数や退職の理由によって変動します。
別テーブル方式では、職能資格や役職で加算されることもあります。逆に懲戒処分を受けるなどマイナスがあれば減算されることもあるでしょう。
退職金を計算する方法2:ポイント累積方式
ポイント累積方式は、従業員にポイント点数をつけて、累積点数を退職金の基礎にする計算方法のことです。
企業への貢献度によって退職金の額が変化するため、結果重視の企業が採用しているケースが多いでしょう。計算方法は、「点数×1点あたりの退職金単価×支給率+特別な加算・減算」です。
ポイントは、例えば勤続年数1年につき5点、役職ごとに10点、20点、などの形式で加算されます。
退職金を計算する方法3:キャッシュバランス方式
キャッシュバランス方式とは、退職金の掛金を積み立てて原資として運用し、退職時に原資に運用益や利息を加えた金額を受け取る方法のことです。
退職時までに積み立てた掛金と、掛金へついた利息や運用益を合わせて、仮想個人勘定残高といいます。これが給付の原資になっています。計算方法は、「積立額×積立年数+運用益・利息」です。
確定拠出年金と比べ、従業員が運用のリスクを負わなくていいというメリットがあります。
総務部門が退職金を管理するために必要なシステム
退職金については、退職時決定方式、ポイント累積方式、キャッシュバランス方式のいずれにしても細かな計算が必要となります。そこで、退職金の管理・計算に人事給与システムをとりいれてみてはいかがでしょうか。
WorkVisionの人事・給与システムは、紹介した3つの計算方法のいずれにも対応した退職金の計算が可能です。計算に用いるポイントや明細の管理もでき、面倒な退職金の計算をサポートしてくれます。
退職金が貰える条件
退職金が貰える条件は企業によって異なり、支給条件については就業規則に明記されています。
退職金制度は法律で定められたものではないため、退職金制度を導入するかどうかは企業次第です。しかし、退職金を出す場合は、どのようなときに退職金が貰えるのかを明記する必要があります。
退職金が貰える条件として多いものは、最低勤続年数以上働いていることや、懲戒処分を受けていないことなどでしょう。
3年継続して勤務する必要がある
厚生労働省の調査によれば、退職金を受け取るための最低勤続年数は3年以上に設定している企業が主流です。
もちろん就業規則次第ですが、半数近くの企業が最低勤続年数を3年以上4年未満に設定しています。3年は継続して働かなければ退職金が支給されない可能性があるため、退職する際は退職金の支給条件を満たしているか就業規則を確認してみましょう。
退職金の相場や計算方法を理解しよう
退職金の相場や計算方法について紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。退職金は賃金の後払いであるという考え方や、福利厚生の一部であるという考え方もあり、従業員の権利の一つです。退職金について正しく理解しておきましょう。
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