エイジフレンドリーに取り組むポイント5つ!補助金の対象になる条件3つ
エイジフレンドリーとは
エイジフレンドリーとは、「高齢者の特性を考慮した」という意味の言葉です。主としてWHOや欧米の労働安全衛生機関で使われています。
令和2年、厚生労働省は全国安全週間のスローガンを発表し、高齢者が安全かつ安心して働けるようなリスクアセスメントの実施を呼びかけました。
これまでも様々な労働災害防止策を実施してきたことにより、労働災害による被害は年々減少傾向にあります。しかし、労働災害による死者数のうち、60歳以上の占める割合は増加傾向です。
こうした高年齢労働者の労働災害を防止するため、エイジフレンドリーを重視した労働災害防止策へのより一層の取り組みが求められています。
エイジフレンドリー補助金とは
エイジフレンドリー補助金とは、高齢労働者が安全に安心して働くことができるよう、職場環境の改善にかかった費用に対して支払われる補助金です。これは、本年度設立されたばかりの新しい制度で、申請期間は令和2年10月末までとなります。
高齢労働者の労働災害を防止するには、高齢者にとって危険な場所を改装したり、負担の大きな作業を改善したり、高齢者に優しい環境を整えなければなりません。
また、接客サービスなど利用者と密接する業務では、新型コロナウイルスに感染する恐れがあります。特に高齢者は重症化するリスクが高いため、早期に業務環境を整え、対人業務を簡素化することも必要です。
エイジフレンドリーに取り組むためのポイント5つ
高齢労働者の労働災害を防止するには、様々な工夫や取り組みが必要です。高齢者が安心して働けるよう、これからご紹介する5つのポイントを押さえてエイジフレンドリーに取り組みましょう。
エイジフレンドリーのポイント1:職場環境の改善を行う
まずは高齢者に優しい職場環境を整えましょう。
人は加齢に伴って体力や視力、聴力などの様々な身体的衰えが出てきます。従って、高齢者は特に安全面での配慮が必要です。段差で転倒しないよう作業場の環境を改善する、視力低下に合わせて照明の明るさを調整するなどの対策が必要になります。
また勤務形態も、高齢労働者の体力面や健康状態を考慮して、個々に合わせた工夫をするなど配慮しましょう。
エイジフレンドリーのポイント2:教育訓練を行う
記憶力や理解力にも加齢に伴う変化が出てきます。そのため、高齢労働者への教育は、ゆっくりと時間をかけ、丁寧に指導する必要があります。安全衛生教育の際は、文字や言葉以外にも図や映像などを用いて分かりやすく説明するなどの工夫をしましょう。
高齢者には、長年の経験で培った技術や知見がありますが、初めての作業や業務を行う場合は、より一層丁寧な教育をすることが大切です。
エイジフレンドリーのポイント3:高年齢労働者を理解する
エイジフレンドリーでは、高齢者の心身の特徴を理解し、受け入れることが大切です。高齢者を雇用する際には、年齢を重ねるにつれて、身体に様々な変化が起こることを理解しておきましょう。
雇用時には、健康診断や体力チェックを行い、個々の身体機能について把握しましょう。そうすることで、個々の身体の状態に合わせた作業時間や作業内容を割り振るなど、適切な人員配置が可能になります。
エイジフレンドリーのポイント4:安全衛生管理体制を確立する
組織の安全衛生管理体制が確立していることは、エイジフレンドリー実現に向けての重要な要素のひとつです。経営トップが安全衛生管理体制を明確にすることで、より働きやすい環境を整えることができ、従業員の安心感にもつながります。
では、具体的にどのようなことに取り組む必要があるのかご紹介します。
高齢者労働災害防止に取り組む
高齢者が安全に働くことができるように、まずは高齢者労働災害防止に取り組みましょう。高齢者の労働災害を起こさないためにどのような対策をとるのか、はっきりと定めて実行することが大切です。
厚生労働省が策定した「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」には、環境整備や教育訓練など、高齢者労働災害防止策の内容が定められています。このガイドラインに沿って、高齢者労働災害の防止に取り組むと良いでしょう。
リスクアセスメントを実施する
リスクアセスメントとは、作業に伴う危険性や有害性などのリスクを事前に特定し、除去・低減するリスク管理の手法です。高年齢労働者の場合は、負傷や病気などのリスクに特に注意が必要です。
労働災害のリスクアセスメントの具体的な方法は、災害事例やヒヤリ・ハット事例を参考に危険の原因を特定し、リスクの高さを考慮した上で労働災害防止対策の優先順位をつけます。
このようにリスクアセスメントを通じ、想定しうる労働災害リスクを効果的に予防しましょう。
エイジフレンドリーのポイント5:自身の自己管理意識を高める
エイジフレンドリーな職場を実現するには、従業員自身の自己管理意識も大切です。従業員は、身体機能の状態が労働災害のリスクにつながる可能性を十分理解した上で、自身の健康状態を把握し、生活習慣の改善や体力の向上・維持などを心がけることが求められます。
事業者側では、健康状態のチェックや身体機能のケアなどを行い、従業員の自己管理意識を高められるようにサポートを行いましょう。
エイジフレンドリー補助金の対象になる条件3つ
エイジフレンドリー補助金とは、高齢者が安心して安全に働くことができるような職場環境を整える際に、必要になる費用を補助してもらえる制度です。
エイジフレンドリー補助金は支給対象となる条件が定められており、この条件に当てはまっている場合に限り補助金が支給されます。対象となる事業主や対策をきちんと把握しておきましょう。
エイジフレンドリー補助金の対象1:業種
エイジフレンドリー補助金の対象となる業種は、小売業・サービス業・卸売業・その他の業種(建設業・保険業など)です。そしてこの4つの業種は、各々常時使用する従業員数と、資本金または出資の総額が条件として定められています。
では、それぞれの事業主の条件を具体的に見ていきましょう。
サービス業の場合
サービス業には、医療・福祉や宿泊業、娯楽業、教育・学習支援業、情報サービス業、物品賃貸業、学術研究・専門・技術サービス業などが該当します。
エイジフレンドリー補助金の対象になる条件は、常時使用する従業員数が100人以下であることと、資本金または出資の総額が5,000万円以下であることです。
小売業の場合
小売業には、飲食店や持ち帰り配達飲食サービス業などが該当します。エイジフレンドリー補助金の対象になる条件は、常時使用する従業員数が50人以下であることと、資本金または出資の総額が5,000万円以下であることです。
卸売業の場合
卸売業の場合、エイジフレンドリー補助金の対象になる条件は、常時使用する従業員数が100人以下であることと、資本金または出資の総額が1億円以下であることです。
その他の業種
その他の業種は、製造業、建設業、運輸業、農業、林業、漁業、金融業、保険業などです。
その他の業種がエイジフレンドリー補助金の対象になる条件は、常時使用する従業員数が300人以下であることと、資本金または出資の総額が3億円以下であることです。
エイジフレンドリー補助金の対象2:高年齢労働者の雇用
エイジフレンドリー補助金の対象になる2つ目の条件は、高年齢労働者を常時1名以上雇用していることです。エイジフレンドリー補助金の支給条件となる高年齢労働者とは、60歳以上と規定されていますので注意が必要です。
エイジフレンドリー補助金の対象3:保険加入者
エイジフレンドリー補助金の対象になる3つ目の条件は、労働保険及び社会保険に加入していることです。労働保険及び社会保険に加入していない場合には補償対象外となりますので、注意しましょう。
エイジフレンドリーに取り組むために「人事・給与システム」を活用しよう
エイジフレンドリーに取り組むためには、高齢者の身体機能の状態に合わせて、育成や人材配置を行う等の必要があり、管理体制もより複雑になる可能性があります。そこで、エイジフレンドリーをスムーズに進めるために、人事・給与システムを活用しましょう。
人事・給与システムは、人事管理や給与計算だけでなく、人材評価やそれに基づいた人材配置までワンストップで管理できるため、人事業務を効率化させ業務負担を軽減できます。
また、適材適所の人材配置や従業員への適切なフォローなども可能になり、企業全体の生産性向上が見込めます。
エイジフレンドリーの理解を深めよう
現在、日本は少子高齢化で若年層の人手不足に直面しています。これにより、新たな人材確保が難しくなりつつあるため、高齢者を積極的に雇用する企業が増えてきています。
高齢者には長年の経験で培った知識や経験、技術があり、上手に活用すればメリットは計り知れません。一方、加齢に伴う身体的な衰えがあり、労働時の転倒などの労働災害に合うリスクも避けられません。
そこで、エイジフレンドリーを取り入れることが重要になります。補助金の申請には期限がありますが、普段よりエイジフレンドリーについて理解を深めておくことで、高齢者にとって働きやすい職場環境を作ることができるでしょう。
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