総務部が定年退職者に対応すること5つ|説明するときの注意点とは?
そもそも定年退職者とは
企業などに勤める正規雇用者には、一定の年齢に達すると雇用関係が終了する制度が設けられています。この制度を「定年制」といい、高年齢者雇用安定法により定年の年齢は60歳以上と定められています。
そして、この定年制によって雇用が終了し、退職した従業員が「定年退職者」です。
総務部が定年退職者に対応すること5つ
従業員が定年退職を迎えるとき、総務部は定年退職者に対して、退職の際に必要な手続きや準備について説明しなければなりません。
その手続きや準備をスムーズに行えるよう、対応する内容をきちんと整理しておくことが大切です。ここでは、総務部が定年退職者に対応すること5つについてご紹介します。
総務部が対応すること1:健康保険や厚生年金保険に関すること
総務部が対応することの1つ目は、保険に関することです。従業員が定年退職する際、総務部は退職者の健康保険や厚生年金保険の資格喪失手続きを行います。
この資格喪失手続きは、退職者とその扶養者の健康保険被保険者証を資格喪失届に添付し、管轄の年金事務所または健康保険組合へ返却します。
これを退職日の翌日から5日以内に行わなければなりません。退職者には、退職直前に健康保険被保険者証を総務部へ提出するよう伝えておく必要があります。
なお、企業が加入している健康保険組合に、任意継続被保険者制度がある場合、継続条件を満たしている退職者には、任意継続被保険者資格取得申請の説明も必要です。
総務部が対応すること2:住民税に関すること
総務部が対応することの2つ目は、住民税に関することです。従業員が定年退職する際は、「給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書」を、退職日の翌月10日までに、各自治体へ提出しなければなりません。
この届出書には、従業員が住民税を何月まで納めているか、住民税の未徴収額、そして、未徴収残額の納付方法を記載します。
未徴収残額がある場合は、従業員本人が納付する「普通徴収」と、給与や退職金から徴収される「一括徴収」のどちらかで提出します。
総務部が対応すること3:雇用保険に関すること
総務部が対応することの3つ目は、雇用保険に関することです。定年退職すると、雇用保険の資格が無くなるとともに、資格喪失の手続きが必要になります。
手続きは、管轄のハローワークへ「雇用保険者被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書(離職票)」を退職日の翌日から10日以内に提出します。
この手続きでハローワークから発行される書類には、退職者本人が記入する欄や確認してもらう事項があるため、書き方やチェックポイントを説明しておくことが必要です。また、個人情報に関する重要事項を記載することについて、退職者の理解を得たうえで手続きを行なうことが大切です。
総務部が対応すること4:返却物に関すること
総務部が対応することの4つ目は、返却物に関することです。退職時には、従業員から会社へ返却してもらうものが数多くあります。
健康保険被保険者証、社員証、入退出カード、名刺、社給のスマートフォンなど、総務部であらかじめ返却してもらう物を確認し、いつまでに何を返却すべきか、定年退職者へ説明しておきます。
その際は、チェックリストを作成すると分かりやすく、総務部と退職者の双方でチェックできるため、返却漏れも少なくなります。
総務部が対応すること5:渡す書類に関すること
総務部が対応することの5つ目は、渡す書類に関することです。雇用保険被保険者離職証明書(離職票)や源泉徴収票など、総務部から定年退職者へ渡す必要があるものを確認しておきます。
渡す書類も返却物と同様に、リストアップしてチェック表を作成するとスムーズに確認できます。中でも離職票は3枚複写のうち3枚目を退職者に渡し、記載された退職理由等を確認してもらい、押印または署名が必要であることを説明する必要があります。
総務部が定年退職者に説明するときの注意点
総務部が定年退職者に説明することはいくつかありますが、個人情報にまつわることについては、注意して説明する必要があります。では、総務部が定年退職者に説明する際、特に注意すべき「アクセス権利の停止」「書類の保管期間」についてご紹介します。
アクセス権利の停止
定年退職者には、社内システムへのアクセス権が停止されることを説明しておきます。従業員のアクセス権は、退職をもって不要になります。しかし、従業員の退職後もアクセス権が残ったままだと、不正に利用される恐れがあります。
退職者のアクセス権を利用して重要情報にアクセスされた場合でも、不正利用した責任追及ができない可能性があるため、不要になったアクセス権は直ちに停止しなければなりません。
書類の保管期間
定年退職者には、個人情報などが記載されている書類には、書類ごとに保管期間が法律で義務付けられていることを説明し、保管期間を過ぎた場合に廃棄する必要があることも伝えておきます。
保管期間は会社側で書類をしっかりと管理し、保管期間を過ぎたら速やかに破棄することで、個人情報漏れなどのトラブルを防ぐことができます。健康保険、厚生年金保険に関する書類は、2年間の保管が必要です。この他、4年間以上の保管が必要な書類の一例を以下でご紹介します。
4年間保管する書類
4年間保管の必要がある書類は、雇用保険の被保険者に関する書類です。雇用保険の被保険者に関する書類には、離職票、雇用保険被保険者資格取得確認通知書などが該当します。
5年間保管する書類
5年間保管する必要がある書類は、健康診断個人票・身元保証書・誓約書の3つです。これらの書類は、作成日から起算して5年間保管します。
なお、従来は3年間の保管が必要とされていた勤怠記録や労働者名簿などは、5年間の保管に延長が予定されています。
7年間保管する書類
7年間保管する必要がある書類は、源泉徴収簿・給与所得者の扶養控除等(異動)申告書・給与所得者の配偶者控除等申告書・給与所得者の保険料控除申告書などです。
他にも、住宅借入金等特別控除申告書・歳到達時等賃金月額証明書など、数多くあります。
定年退職者への対応は正確に行おう
従業員が定年退職する際、総務部では数多くの手続きを行い、定年退職者へ説明することもたくさんあります。退職後、ミスが発覚して余計な手間を取ることが無いよう、慎重に対応していくことが大切です。
WorkVisionの「人事・給与ソリューション」を利用すれば、社会保険・健康保険・厚生年金保険の資格喪失登録などの手続きが簡潔かつ正確にできるため、効率よく退職者情報を管理することができます。
なお、社会保険・健康保険・厚生年金保険の資格喪失届は、e-Gov外部連携APIを通じて、オンラインでの手続きも可能です。
定年退職者の手続きをスムーズに行おう!
退職時期が近づいてくると、定年退職者は、業務の引継ぎや退職挨拶などで多忙になります。そのため、定年退職者の手続きに関する準備は、退職時期が近づいて初めて各書類の提出を依頼するのではなく、余裕をもった対応を心がけることが大切です。
また、手続きは正確に行うことが重要です。ぜひ、WorkVisionの「人事・給与ソリューション」を利用して、定年退職者の手続きをスムーズに行いましょう。
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