目標達成に導くための振り返りのポイントと効果的な面談のコツ

「目標達成には振り返りが重要」ということは上司も部下も理解しています。ただ、実際のビジネスの現場では「目標の振り返りがおこなわれない」、または「形式的な振り返り」で済まされることも多く、せっかく設定した目標が「絵に描いた餅」になっているケースが少なくありません。

社員ひとり一人の目標を達成に導くためには、効果的な振り返り方法や全員が簡単に使える人事評価システムなど、ある種の「目標管理に関する技術」が求められます。

今回は、目標達成のための「振り返りの重要性」や、部下を成功に導くための「効果的な振り返りテクニック」について、すぐにでも使える情報をいくつかお届けしていきます。

1. 目標達成には「振り返り」が重要

目標を達成するためには過去の実績を振り返り、そして「改善策をもとに現状を変えていくこと」が大切です。組織が成長していくためには、「達成可能な目標+α」の高い目標を設定する必要があります。そして、その高い目標を達成するためには「現状を打破すること」「変わり続けること」が重要になってきます。

人間は変化を恐れ、現状維持を優先したがる「現状維持バイアス心理」がはたらく生き物です。一方、社会や経済情勢は日々変化し成長し続けています。変化の激しい社会のなかで個人と組織全体が成長するためには、変わり続けなければ「後退」していることと同じになってしまうのです。

「振り返り」とは?

ここで、そもそも「振り返り」とはどういう目的を持つものなのか、少し考えてみます。

振り返りの本当の目的は「過去を振り返って反省し、改善して前に進むこと」です。過去の実績を振り返って確認する程度のことは誰もがやっていることですが、大切なのは「現状を変えること」です。現状を変えることは、一朝一夕で成し遂げられることではありません。目標管理に関わる「人」そして「ツール」「環境」などの条件を整え、上司と部下の両方が一緒になって、ひとつの目標に向けて「改善し続ける」必要があります。

振り返りで気付きを与える(もらう)ことが大切

どんな企業でも個人商店でも「目指すべき組織目標」があり、その目標に沿って個人の目標が設定されます。ただ、どのような現場でも「目標を設定したら自動的に行動が変わる」と考えるのは大間違いです。

目標達成のためには、「意識を変える」そして「行動を変える」ための仕組みづくりが必要であり、意識を変えてもらうためには、「気づき」を与えることがとても重要になってきます。さきほどもお伝えしたとおり、人間は現状維持を好む傾向があり、そして「忘れる生き物」です。目標達成のためには常に進捗を確認し、当初に設定した目標を思い出して行動を修正し続けることが大切なのです。

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  • 人材育成のために必要な目標管理制度とは?目標設定方法と例を紹介
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2. 目標管理の振り返りに使えるツール

過去の実績を振り返り、改善のポイントを明確にするためには、フレームワークを使って課題を明確にしていく方法も効果的です。

フレームワーク

振り返りに使えるフレームワークには、以下のようなものがあります。

  • YWT…「やったこと」「わかったこと」「つぎにやること」を書き出し振り返る方法
  • KPT…「Keep良かったこと」「Problemうまくいかなかったこと」「Try今後実施すること」を整理し改善に結び付ける方法
  • PDCA…計画(Plan)、実行(Do)、評価(Check)、対策(Action)を繰り返して改善していく方法

「では、ひとつ一つのフレームワークの使い方をご説明しましょう…」と言いたいところではありますが、ここではフレームワークの使い方の解説は控えます。

なぜならフレームワークは、あくまで「気づき」をもらえるツールにしか過ぎず、フレームワークを使わなくても、日常的なコミュニケーションで行動を変えることはいくらでもできるからです。

フレームワークを多用する企業のなかには、課題を見つけることだけで満足してしまい、せっかく書き出したフレームワークのシートはその場限り…といったこともよくある話です。フレームワークを利用して課題を見出せたなら、出てきた課題や対策などを「見える化」し、フレームワークで出した答えを日々意識し続けられるように活用することが大切です。

「上司と部下」「少人数グループ」での振り返りが効果的

ちなみに、フレームワークを利用するひとのなかには、ひとりでフレームワークのワークシートに向き合い改善点を整理しようとする人がいますが、あまりおすすめはしません。

さきほどもお伝えしたとおり、振り返りで大切なのは「気づきをもらうこと」です。また繰り返しになりますが、人は現状維持バイアスが常に働く生き物です。ひとりで振り返ったとしても「どうせできないし……」「組織が変わらない限り自分がいくら頑張って無理……」と、限界を決めてしまい前向きな改善ができないことがよくあります。

「振り返り」は、ぜひ上司や部下との面談や少人数でおこない、自分ではわからない新たな「気づきをもらう」機会にすることをおすすめします。

3. 上司も部下も使える振り返り面談のコツ

目標に対する進捗を確認し、達成に向けてモチベーション高く取り組むためには、定期的な「振り返り面談」がとても重要です。ただ「面談をすることだけ」に満足してしまい、本当の課題を見出せないようではせっかくの面談時間も台無しです。

この記事の冒頭で「振り返りには技術が求められる」とお伝えしましたが、効果的な面談をするためには「面談の場所・時間・回数」そして、上司と部下の心をつなぐ「いくつかの仕掛け」が大切になってきます。

面談の場所と時間

まず面談の場所と時間についてですが、ぜひ以下のポイントをおさえて面談をしていただければと思います。

  • 場所…オープンスペースではなく、ミーティングルームなどの部屋を確保すること。
    (面談は重要なものであり、お互いに貴重な時間であることを双方が認識するため)
  • 時間…事前に面談予定を決めておくことが重要。面談が長引いても融通がきく時間帯を設定する。

上述の点をご覧になってすでにお気づきかとは思いますが、面談は決して「思いつき」でおこなうものではありません。上司から「ちょっといい?」と突然声をかけられて、準備もしていないのに急な面談をされても、お互いにとって有益な時間とはなりません。

面談は上司と部下の「特別な時間」です。年に数回しかない面談に失敗してしまうことで、1年間の目標達成を棒に振ることもあります。面談は「通常の業務よりも重要」というぐらいの気持ちで、お互い真剣に臨みたいものです。

効果的な面談の頻度は1ヶ月に1回

面談回数についてですが、多くの企業では「目標面談は半年に1回、または1年に1回」がほとんどでしょう。たしかに忙しい上司が、何人もの部下を相手に面談をするのには限界があります。

ただ、上司の仕事は「部下のパフォーマンスを最大化し、ひとり一人の成果を組織全体の成果につなげること」です。したがって、期中に設定した組織目標を達成させるためには1ヶ月に1度の面談など、面談の頻度を上げて、必要に応じて部下の行動を軌道修正していくことが理想です。なにも1回の面談に1~2時間も費やす必要はありません。事前準備をしておけば、20~30分でも効果的な面談は可能です。

上司の方々は、ぜひ面談をとおして実績を振り返り、面談翌日から部下がモチベーション高く働けるよう、最大限サポートをしてあげてください。

お互いの気持ちを引き出すキラートーク

面談の中身にも工夫が必要です。最悪なのは「ダラダラと達成率を読み上げて、課題を整理して終わる」という、なんとも後ろ向きな面談です。面談を有益な時間にするためには、上司・部下がともに「効果的な質問」を用意しておくことをおすすめします。

まず、上司用意すべき質問についてですが、それは「ほかになんかある?」です。なにげないこの質問ですが、実は部下の気持ちを引き出すには効果的です。ただ、1度や2度問いかけてみても答えは「とくにないです…」となるのが普通です。ただ、そこで終わるのではなく「ほんとにない?」と、冗談まじりでもしつこく聞いてみてください。きっと何度目かの面談で「だったらひとつだけいいですか?」と、本音を語ってくれるに違いありません。

一方、部下用意しておくべき質問は「つぎの面談までに私が改善すべき点を教えてください」です。上司よっては部下に嫌われることを恐れて何も言わない上司や、部下に興味がない残念な上司もいますので表面的な面談で終わることが多々あります。それでは、面談をしている意味がありません。「どんな答えがくるのか…」と少々緊張してしまう質問ではありますが、本当に部下のことを考えてくれている上司なら、的確なアドバイスがもらえるに違いありません。

また「つぎの面談までに」というワードを入れて、次回の面談日時も決めておくことをおすすめします。そうすることで「面談忘れ」を防ぐことができます。

面談で確認したことは日々フィードバックする

なお、さきほどのフレームワークのところでも触れましたが、「課題」や「改善点」が見つかったあとは、課題の解決や改善点の進捗を、継続してフィードバックしていくことが重要になってきます。とくに評価者である上司は、面談時に部下から出た要望に対して、その対応結果をフィードバックする義務があります。せっかくの意見を放置してしまうようなことがあれば、次回の面談から部下は心を閉ざしてしまうに違いありません。

また、「フィードバック」と聞くと、どうしても上司から部下へのフィードバック、と捉えられてしまいますが、部下から上司へのフィードバックも大切です。上司が部下にフィードバックする義務があるように、上司から指示された改善点はどうなったのか、能動的に進捗を報告しましょう。

4. 効果的な振り返りにはわかりやすいデジタルツールがオススメ

最後に、目標達成に向けて効果的な振り返りができるおすすめのデジタルツールもご紹介しておきます。

WorkVision®目標管理クラウド

WorkVision®目標管理クラウドは、「できる限り直感的に操作できる」そして「わかりやすい目標管理の運用」に特化した人事評価システムです。複雑なシステムで操作説明に時間を割かれてしまう、といったこともなく、普段オフィスで使用しているExcelベースのシステムで、誰でも簡単に扱うことが可能です。また、規定のフォーマットはもちろん、現在使用している独自フォーマットも流用できるためスムーズなシステム移行が可能です。

上司・部下がすぐに情報を共有できる

「WorkVision®目標管理クラウド」はとてもシンプルなシステムなので、部下はいつでも簡単に自己評価を入力できます。また、上司も部下全員の状況を一括CSVでダウンロードして確認できますので、進捗入力漏れなども防げます。また直属の上司だけではなく、人事総務の担当者も組織全体の評価状況の一括管理が簡単にできますので、人事評価や給与査定なども容易におこなえる点が特長です。

面談の機会を逃さない「面談予定表機能」搭載

目標の振り返りには「面談が効果的」とお伝えしましたが、忙しい上司のスケジュールを調整し、全員の面談時間を確保するのは至難の業です。その点、「WorkVision®目標管理クラウド」には「面談予定表機能」が装備されているので、スムーズな面談日の確保が可能です。事前に上司が設定した「面談の空き時間」を見ながら、部下が面談希望を入力できる仕様になっていますので、「忙しくて面談ができない」といったことも防げます。

まとめ

目標の振り返りの際には、フレームワークや今回ご紹介したデジタルツールなどを活用すれば、容易に課題を見つけ出すことはできるかもしれません。ただ、どんな効果的なツールを使って面談を繰り返したとしても、それだけでは目標を達成することはできません。

個人と組織全体が目標を達成するためには、ひとり一人の社員が能動的に動き、自ら改善に向けて努力できるように上司がサポートし続けること、つまり「改善」と「継続」が非常に重要です。また、これだけ変化が激しい世の中で勝ち抜いていくためには、状況次第で「目標を修正する勇気」を持つことも必要かもしれませんね。

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