テレワークの緊急導入で見えてきた8つの課題と対処策を解説
緊急導入されたテレワーク
働き方改革で推進される働き方の1つがテレワークです。なかでも在宅勤務の形態が多くなっていますが、導入の進捗状況はあまり芳しくありませんでした。
しかし、新型コロナウイルスによる感染拡大を防ぐため多くの企業でテレワークが緊急導入され、実施率は一気に上昇したようです。(2020年5月現在)
意外なきっかけで導入が進んだテレワークですが、実施が拡大するごとにその課題も見えてきました。
テレワーク実施後に明らかになった課題8つ
緊急事態宣言を受けて緊急導入されたテレワークによるポジティブな変化としては、従業員の通勤の負担軽減や生産性の向上といったものがあるでしょう。一方で、実施後に明らかになった課題もあります。
テレワーク実施後に明らかになった課題とは、主に従業員同士のコミュニケーションに関することや、労働環境の整備不足に関することなどです。
多くのメディアでも報道されているテレワークの課題について、具体的に8つにわけて説明していきます。
課題1:マネジメントが困難になった
サボっているのか、あるいは何か行き詰って仕事が止まっているのかといった状況の把握が難しいのが、テレワークの大きな課題の1つです。
オフィスに集まる働き方であれば、部下が仕事を真面目にしているかはある程度見取ることができました。ところがテレワークでは実際の様子を見ることができません。従来通りのやり方でテレワークをマネジメントすることは困難であると言えるでしょう。
課題2:コミュニケーションが減少した
課題の2つ目は、従業員同士のコミュニケーションが減少したことです。
WorkVisionが5月に実施したアンケート調査では、テレワークの課題として他の従業員とのコミュニケーション不足をあげている回答が多くみられました。それは、会議などの対面機会の減少や、チームの一体感の喪失などです。
在宅で勤務していると、行き詰ったときに会話をして気分転換を図るといったことが難しいため、モチベーションが保ちづらい点もあるでしょう。
課題3:仕事量が落ちてしまうケースもあった
テレワークの課題として、仕事量が落ちてしまうケースもありました。
オフィスは仕事をするための場所ですので、仕事に集中できる環境が整えられています。しかし急な在宅勤務では、通信環境はもちろん、机や椅子といった細かい点も含めて仕事に適した場を作ることが難しい場合もあるでしょう。
そのような環境の変化から、集中力が低下し、仕事量が落ちてしまったと考えられます。
課題4:業務スピードが上がらないケースもあった
テレワークをする際の作業用PCは、個人のものを使う場合もありますが、会社から支給されることが多いでしょう。会社支給のモバイルPCは画面が小さく、業務スピードが上がりにくいケースもありました。
テレワークでは、画面上で作業をしつつ通信用のアプリケーションでやりとりをするという場面が多くあります。業務に使用する機器は十分な選定が必要です。
課題5:プライベートとの切り分けが難しい
テレワークで多い勤務形態は在宅勤務です。その場合、プライベートと仕事の切り分けが難しくなるという課題が生じます。
家の中に仕事のためだけの部屋をつくることが難しい人もいるでしょう。Wi-Fiが繋がる場所を選ぶと必然的に家族がいるところで仕事をせざるをえないこともあります。
テレワークで業務時間は減るケースが多いのですが、メリハリをつけづらいため、反って増えてしまったという人もいます。
課題6:プリントアウトが必要な業務が進まない
オフィスでの業務では意識しないポイントも、テレワークでは課題となることがあります。プリントアウトが必要な業務などがそれにあたります。
家庭にプリンタが無い場合もありますし、あったとしても業務で使用するプリンタと比べて速度は格段に落ちるかもしれません。また、インク代や用紙代といった諸経費をどのように精算するかといった問題も生じてくるでしょう。印刷した文書に含まれる情報の取り扱いにも注意が必要です。
課題7:印鑑が必要な書類がある
日本でテレワークが進みづらいと言われる要因の1つに、ハンコ文化があります。
会議や書類作成などはテレワークでできても、書類に上長の印を捺す工程はなかなかリモート化できません。押印が必要な書類があると、そこがボトルネックとなって業務を効率化できなくなる可能性があります。
テレワークで業務を効率化するためには、従来の承認システムから見直す必要があるでしょう。
課題8:社内ネットワークへ繋がりづらい
テレワークが急遽導入されたために生じた課題として、ネットワークへの繋がりづらさもあります。多くの企業が一斉にテレワークを実施したため、回線が混雑してしまったことが原因でしょう。
企業のみならず、大学などでもリモート講義を試みるところが増加してきており、今後さらに通信に伴う課題は大きくなっていくでしょう。効率的な業務のためにも、社内ネットワークへのスムーズな接続を可能とする環境の整備が急がれます。
テレワークの課題に対する対処策6つ
働き方改革の1つとして推進されてきたテレワークですが、前述のように課題も山積しています。テレワークの課題に対する対処策として、有効なICTツールを活用してみてはどうでしょうか。
コミュニケーション不足を解消できるチャットツールや、ネットワーク環境を整備できるツールなど多くのアプリケーションが開発されています。
テレワークの課題に対する対処策ごとに、6つのツールを説明します。
対処策1:チャットやビデオ会議のツールを導入する
従業員同士のコミュニケーション不足を解消するために、チャットやビデオ会議のツールが有効です。
ビデオ会議ツールを使えば、通常の会議のようにお互いの顔を見ながら話し合うことができ、コミュニケーション上の課題がクリアされます。チャットやメッセージツールで簡単な文章のやり取りをしやすくしておくと、ちょっとした雑談や気分転換も可能となります。
対処策2:勤怠管理のツールやルールを設ける
テレワークではプライベートと仕事の切り分けが難しくなるという課題に対しては、勤怠管理のツールやルールを設けましょう。
勤怠管理ツールによって、在宅勤務で曖昧になりがちな勤務時間をきっちりと区別できます。勤務時間を明確化することで業務への集中力も高まるかもしれません。出勤時、退勤時、休憩時間の扱いといったルールを決めておくことも必要です。
テレワークに限らず利用できるツールであれば、より効率的でしょう。
対処策3:家庭のテレビを外部ディスプレイとして活用する
ノートPCの画面が小さくて作業効率が上がらないという課題に対しては、家庭のテレビを外部ディスプレイとして活用するというやり方があります。
ディスプレイの大きさは作業スペースの改善のためには重要なポイントです。しかしオフィスのディスプレイを持ち出すことは労力もかかりますし、現実的ではありません。
そこで、テレビにPCを接続して、外部ディスプレイとして用いてみましょう。ビデオ会議などでプレゼン資料の共有が必要なときなどはぜひ試してみてください。但し、画面サイズが大きすぎると、画面との距離間の調整が難しくなります。32インチ未満が望ましいでしょう。
対処策4:脱ハンコのツールを活用する
ハンコのための出社をなくすには、脱ハンコツールの活用が効果的です。
従来、テレワークで対応が難しいとされていた業務のひとつが「契約書への押印」です。上司は押印のために、担当者は押印された契約書を受け取って収入印紙を貼るために出社が必要となります。また、契約先の担当者も、郵送されてくる契約書を受け取るために出社が求められてしまいます。さらに、押印返送が必要となる契約書の場合は、契約先の上長も出社が必要です。
電子契約クラウドサインでは、クラウド環境にアップロードした契約書のPDFファイルでお客様と合意締結ができますので、契約業務のテレワークが可能となります。
また、ワークフローシステムの導入もおすすめです。すべての申請業務をシステム化することで、稟議書や精算書の印刷や押印をなくすことができ、テレワークを効率的に行うことが可能です。
対処策5:テレワークのネットワーク環境を設備する
テレワークを実施するうえで重要なのは、快適で安全なネットワークです。セキュリティを確保した快適なネットワーク環境の構築が必要となります。
一例としては、オフィス内のサーバーに仮想デスクトップをつくります。オフィスでの作業は社内LANに接続したPCから行います。そしてテレワーク中はインターネットからVPN接続で仮想デスクトップにアクセスすれば、オフィスと同じ環境下での業務が可能になります。
対処策6:目標管理ツールをテレワークのマネジメントに活用する
テレワークで、従業員がきちんと仕事を進めているのか、どこかで行き詰っていないかということを把握するためには、上司と部下が目標や進捗を共有できる目標管理ツールを活用するという対処策があります。半年や1年単位の目標ではなく、より短いサイクルで目標管理を行うことで、テレワークにおけるマネジメントにも効果があると考えられます。目標管理制度の見直しも必要でしょう。
目標と進捗状況を共有することは、業務に関するコミュニケーションの円滑化に繋がります。テレワークで希薄になりがちな上司と部下の連携を保ち、モチベーションの維持・向上にも有効です。
テレワークの課題と向き合いながら働くことが求められてくる
テレワークの緊急導入で分かった課題は他にもあります。たとえば業務環境です。長時間のPC操作に適した机や椅子がある家庭は少なく、肉体的な疲労を感じやすくなっているかもしれません。また、在宅勤務による運動不足も問題点のひとつでしょう。
また、どうしても出社が必要となるときは、時差出勤で対処していく必要があるのではないでしょうか。その場合はソーシャルディスタンスの意識が重要です。ウイズコロナ時代は、テレワークの課題と向き合いながら働くことが求められています。
ICTで対応できる課題は解決して効率的に働く環境を整えよう
新型コロナウイルス対策として厚生労働省が2020年5月4日に公表した新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」でも、テレワークや時差出勤は働き方の新しいスタイルとして推奨されています。
ICT技術で対応できる課題はツールを活用して解決し、効率的に働く環境を整えましょう。
テレワーク導入にあたって活用できるICTツールに、WorkVisionのソリューションがあります。以下に紹介ページがありますので、導入を検討してみてください。
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