導入の背景良質な医療を実現するための正確でタイムリーな情報共有
当院は、主に癌治療を専門とする病院として、がん検診、早期癌から進行・再発癌に対する外科治療や化学療法、そして緩和治療も含めたトータルな医療を一貫して行っています。
近年は、地域住民の方々のかかりつけ医としても、高血圧、糖尿病などの生活習慣病の治療や、肺炎などの急性疾患の対応、乳がん検診にも力を注いでいます。
そのために、ハード面、ソフト面の強化を進めています。ハード面では、最新のCT機器やデジタル画像システム(PACS)の導入など、手術室の医療機器の充実を進め、より安全で侵襲の少ない優しい医療を提供しています。
ソフト面では、医師の拡充や、地域の医療機関との緊密なネットワークを構築しています。終末期医療を自宅でも受けられるように、多摩市の在宅医療支援病院として在宅治療を行っているクリニックとの連携も開始いたしました。
良質な医療の実現には、患者様の情報を正確に把握することが必要です。当院では、各スタッフの連携によるチーム医療を実践していますが、複雑化してきた医療制度への対応に伴い、さらにタイムリーな情報共有が必要となっていました。(経営管理室 室長 齋藤 和枝 様)
導入の目的患者様との円滑なコミュニケーションの向上へ
課題を解消するために、院内で討議を重ねた結果、患者様との円滑なコミュニケーションの向上に有効な電子カルテシステム、またオーダリングシステムのリニューアルを進めることといたしました。導入にあたっては複数のベンダーから提案を頂きましたが、当院のICT運用をサポートしている東芝ソリューション販売に構築を委託しました。
電子カルテによる医療サービスの向上には、様々な診療情報を連携させて共有を図ることが必須です。東芝ソリューション販売の提案は、医事会計やオーダリングシステムとの連携に加え、各部門に分散する検査システム、薬局システム、内視鏡システムとも連携するもので、医療機関に多くの導入実績をもつ経験値を感じました。(齋藤様)
導入のポイントシステム移行の運用負荷を軽減
新システムは、各情報の「参照」「入力」「選択」に関するオペレーションが、全て統一されているなど、医師の思考を妨げず、直感的に操作ができる分かりやすい画面展開が特長でした。
また、院内に蓄積されている膨大なデータを、従来システムの運用形態を継承して電子カルテへ移行できることで、システム移行の運用負荷が最小限に止まることはもちろん、過去のカルテ参照や、キーワード検索なども全て継続して行うことができました。これは、医療機関では当然のことではありますが、高い評価ポイントでした。(事務部長 花田 浩孝 様)
導入の効果業務の効率化に加え、スタッフの専門性やスキルが向上
導入後、オペレーションを習得するまでの期間は、院内のフォロー体制を確立したことで、新システムはスムーズに浸透し、医師とスタッフ間の正確かつタイムリーな診療情報の共有と、ペーパーレス化が加速しました。電子化により、再入力などの重複作業を解消するなど、業務プロセスが改善されたことは、スタッフの専門性の向上に繋がり、良質な医療を継続するための環境が整備されました。
新たな機能として追加した化学療法オーダーは、投与量、計画を自動作成し、各種チェック機能を実装しています。化学療法のデータが、正確かつタイムリーに医師にフィードバックされることは、患者様とのコミュニケーション向上にも効果的でした。(花田様)
検査結果、患者情報、指示情報のデータ活用が進んだことで、患者様に診療方針のご了解を得る(インフォームド・コンセント)サポート体制の強化、患者様の状態に柔軟に対応できる入院診療計画書(クリニカルパス)の早期提供など、患者様へのサービス向上も実現しました。
また、オーダリングシステムでは、診療から薬剤処方、医事会計にかかわる業務が大幅に効率化されました。(齋藤様)
今後の展望院内情報の可視化と分析の推進へ
新システムの導入により、さらに効率的なチーム医療が実現し、診療の意思決定もスピードアップしています。今後は、システムで抽出される診療データの統計・分析により、院内情報の可視化を進め、これまで以上に心の通じ合う医療を目指します。(花田様)
たえず最新の医療情報を収集し、看護支援システムの導入など、患者様に十分納得していただける診療および治療を進めてまいります。(齋藤様)