導入の背景一元化した適正な部品管理が課題
バス輸送がお客様に提供するサービスの中で最も重要なものは「安全」です。バスの故障や事故を未然に防ぎ安全に使用するため、バスは法律により3ヵ月と12ヵ月ごとの法令点検が義務化されていますが、当社では法令で定められている点検の他、45日ごと(高速バスは30日ごと)に自主点検を実施することで、より高い安全性を確保しています。
10地域の営業所に併設されている整備工場では、前記した点検や突発的な故障に対処するため、膨大な数の部品を保管しており、部品の発注及び保管については整備工場が個々に行います。その結果、整備工場間で部品の共有化が図れておらず、在庫の過不足が発生する等、一元化した適正な部品管理が課題となっていました。
導入の目的業務の効率化と内部統制の強化を意識
車両課は整備工場が個々に行っている部品の発注から入荷、出庫、請求書の処理まで部品管理業務を統括する部署です。当社は、環境に配慮したハイブリッドバス、電気バス、また大量輸送に適した連節バス、空港アクセスバス、小型車両のコミュニティバス等、多種多様な車両を保有していることで、部品の在庫点数は1万以上にも及びます。
従来は部品の在庫データが一元的に管理されていなかったことから、発注残の確認や請求内容の帳合、また過去に仕入れた部品単価との照合等、部品管理業務に無駄が多く、時間を要していました。よって、部品管理をシステム化することで、業務の効率化を図るとともに、発注承認のスピードアップと内部統制の強化に繋がると考えました。(石丸様)
導入のポイントバス部品管理に特化したシステムの導入へ
拠点在庫の高精度管理、全社データの一元管理なども条件に数ベンダーより提案を受けた結果、東芝ソリューション販売の部品管理システムを導入することといたしました。
採用ポイントは複数のバス会社へ導入実績があることでしたが、各営業所ではハンディターミナルを利用した出庫や倉庫間移動で正確な在庫管理が可能となること、他拠点も含めた在庫品別の金額と数量を把握できることで適正在庫のコントロールが実現することなど、バスの部品管理に特化しているパッケージでありカスタマイズが少ないと判断しました。
導入の効果業務効率化に加えて損益意識も向上
システム導入後は、仕入実績のある部品の単価や納期確認も容易となり、発注単価の適正化、仕入先別の取引額の把握、請求内容の帳合など、各業務の効率化に加えて損益意識も向上しています。
車両課としては初めてのシステム導入となりましたが、業務の効率化に加え、一元化した適正な部品管理に貢献できるシステムであると考えています。また、発注処理における多段階の承認機能を有し、データベースの更新情報が記録されるシステムであることから内部統制の強化も実現でき、当初目標を実現できました。(佐藤様)
今後の展望信頼されるバスサービスへ向けて
システムの導入で社番(車両番号)毎の払出しデータが照会可能となり、「整備区分」「整備内容」「作業時間」「実施場所」等の入力により、全車両の整備・修理状況の確認も容易となり、業務効率だけではなく、車両毎の整備履歴・使用部品の迅速な検索が可能となりました。
今後は、部品管理システムを核に走行距離・燃費・車検期限等、車両全般の管理を一元化し、輸送の安全に向けたサービスを迅速に対応することで、さらに信頼されるバス事業者を目指してまいります。(石丸様)