導入の背景評価制度と考え方を早期に浸透する仕組みを再検討
当社が国内外で所有する森林は17.3万ヘクタールです。広大な土地で大規模の植林を行うことで、再生可能な資源である「木」を持続的に生み出す体勢を整え、パッケージ、家庭紙・ヘルスケア、ケミカル、木材、エネルギーの5 つのビジネスユニットを中心とする「成長分野の事業拡大と新規事業の早期戦力化」を目指しています。
近年、使い捨てプラスチック製品による海洋汚染問題がクローズアップされ、再利用可能な製品や生分解性を有する製品への需要が高まっています。当社は、これまでにも食品・飲料をはじめとする幅広い分野に、牛乳パックや包装用紙などを提供してきましたが、「紙でできることは紙で。」をスローガンに、紙にバリア性を付加した新しい包材など、新たな領域の製品開発を進めています。
企業活動の加速に必要なことは、従業員一人ひとりが企業ビジョンとリンクできる働き方の環境整備です。当社では、従来より目標管理システムを導入し、個々の目標を経営目標や組織目標と関連させ、従業員のモチベーション向上と能力の最大化を図ってきましたが、評価制度を変更するタイミングで、新制度と考え方を早期に浸透できる仕組みを再検討することといたしました。
導入の目的個人目標や実績評価の管理プロセスを改善
従来システムの具体的な運用課題としては、人事部門で進捗状況が見えず、結果が出てくるまで何がどこまで進んでいるのかを把握できないこと、制度の変更時にシートのレイアウトが社内で変更できないことなどが挙げられました。
また、Excelによる管理シートを利用しているにもかかわらず、評価集計・分析に時間を要していること、過去履歴の確認に手間を要し、異動者の評価が難しいことなども新たな課題として抽出され、個人目標や実績評価を管理するプロセスを改善すべく、システムの見直しを検討することといたしました。
導入のポイント現場ニーズへの対応力と開発力を評価
新システムは、HRテック分野のノウハウが豊富なワークビジョンに提案を依頼いたしました。ワークビジョンの目標管理システムは、業務フローが使いやすいことに加え進捗管理も容易で、いま誰が何の作業をしているかを可視化できるメリットを感じました。
従来システムはアクセス権が全体か個人の2 種しか設定できないため、各工場など拠点では過去履歴が確認できず、評価時期になると人事部門への問い合わせが増加していましたが、新システムでは拠点ごとにアクセス権限を付与することで、過去データの参照を容易とし、スムーズな評価やフィードバックの実現が期待できます。
また、標準機能に加え、評定ランク分布のマトリックス自動表示や、出向先でシステムが利用できない従業員へのシート出力や取り込み機能の付加など、現場ニーズへの対応力と開発力も導入のポイントとなりました。
導入の効果進捗の可視化に加え業務プロセスが大幅に改善
従業員は、従来通りExcelシートへの入力ですので、システム変更に伴うオペレーション習得が必要なく、新システムはスムーズに定着しました。
新システムは、設定目標や過去履歴もデータとして管理し、いつでもすばやく抽出することができるため、確認・集計・分析など、全ての時間を短縮することができました。入力シートはシステムにアップロードすることで、個々でファイルを管理する必要はありません。
進捗が可視化されたことは大きな効果です。評価を行う上長は部下の活動状況をリアルタイムで確認できるため、適時のアドバイスや支援が可能となりました。また、過去の履歴を参照できることで、人事部門への問い合わせなど、情報を収集する手間と時間が大幅に削減され、異動で新しく赴任した上司でも、部下の経験や評価を把握することが容易となりました。
なお、PCを使わない業務を担当する工場勤務の従業員には、工場の人事担当者がExcelシートを出力して提示することができるなど、システムオンリーではなく、人的作業を並行運用できる柔軟性も評価しています。
人事部門では、情報の一元化により業務プロセスが改善できています。各データがCSV 形式で出力できることで、集計時間が大幅に削減されました。承認フローも所属単位、個人単位など、最大10段階の設定が可能となり、人事異動や組織変更時の業務負荷が軽減できています。
さらに、シートのレイアウトを社内で変更できるため、評価制度変更時の対応もスピード化できました。また、目標管理、コンピテンシー、人事考課集計表を1シートに集約でき、履歴管理も可能となりました。
ワークビジョンの目標管理システムにより、新制度に基づく人材マネジメントを最適化できたことを評価しています。
今後の展望新たな価値を創造する人材開発を継続
パフォーマンスや業績の適正評価は、従業員のモチベーションアップに繋がり企業の成長に大きなメリットをもたらします。
評価制度は定期的な見直しが求められ、その運用をサポートするシステムには柔軟性が必要です。これからもシステムを有効活用することで、新たな価値を創造する人材開発を継続し、人々の豊かな暮らしと文化の発展に貢献してまいります。