テレワークの現況と緊急導入体験
テレワークに関するアンケート調査を実施
新型コロナウイルスの感染症対策として、多くの企業が一斉に導入したテレワークは、緊急事態宣言が解除された後も、厚生労働省が公表した「新しい生活様式」で、働き方の新しいスタイルとして示されています。
WorkVision(ワークビジョン)では、2020年5月15日~5月29日に、オフィス勤務と同様に業務を円滑に進めることのできるテレワーク環境支援サービスの品質強化を目的に、テレワークに関する2分間アンケートを実施いたしました。
この記事では、回答結果のサマリーと共に、全従業員のテレワークによりワークビジョンが体得したテレワークのメリット、課題に対応する業務ツールの実践例についてご紹介します。テレワークスタイルの改善のヒントとしてご活用ください。
テレワーク導入の状況
78%の企業がテレワークを体験している
テレワークの導入状況に関して、最も多くの回答が寄せられたのは、新型コロナウイルスの感染症対策としての導入が60%、
既に導入済みは18%と、78%の企業が導入を経験されたこととなります。
【ワークビジョンの体験】 以前より、サテライトオフィスの開設など、ICTインフラの整備を段階的に進めており、2019年の本社移転と東芝グループからの独立を機に情報システムやインフラを刷新し、クラウドPBXによる社給スマートフォンの内線化や仮想デスクトップ基盤の構築など、安心して利用できるテレワーク環境を整備し、一部事業所を対象としたテレワークを試行していました。
2020年3月末より首都圏を含む3地域で、4月の緊急事態宣言に伴い全従業員を対象とする在宅勤務(原則)を開始しましたが、従来よりメリットとデメリットの検証を進め、運用ルールを制定していたこともあり、大きな混乱もなく移行することができました。しかし、多くの従業員が一斉にテレワークとなることは初めてであり、多くのメリットを体験することができた反面、新たな課題も抽出されています。
テレワークで感じた通常勤務との違い
紙への押印やコミュニケーション不足が課題
テレワークで行っている業務内容では、資料作成、社内ミーティングが過半数を超えています。一方で、見積書、経費精算、請求書作成という、紙への押印が必要となる業務は、比較的少数の回答となりました。
【ワークビジョンの体験】 紙による契約書が必要な場合は、契約書の製本や上長の押印・収入印紙の貼り付けを、時差通勤による出社で対応したケースはありましたが、基本的には電子契約(クラウドサイン)を実践していることで、印刷や押印のための出社は激減し、営業部門でもデスクワークのテレワーク化が実現できました。
なお、電子契約(クラウドサイン)では、契約書の製本・押印・郵送が不要となり、月652時間の作業時間を短縮でき、年間500万円以上を要していた収入印紙代を大幅に削減できています。
また、経費精算もクラウドシステムを利用していることで、既に社外からでも精算可能な環境が整備できており、テレワークでも業務利用を継続することが可能でした。
テレワークを実施して感じた通常勤務との違いは、通勤時間の解消や緊急ミーティングなどの予定外の要件から解放されたことで、
時間を有効活用できたこと。その反面、在宅勤務は顔を合わせることがなく、コミュニケーション不足になりがちという傾向が表れています。
【ワークビジョンの体験】 在宅勤務では相手の顔を見ながらの会話が出来ないことで、簡単なコミュニケーションが取りづらくなります。対応を失念していた業務を雑談で思い出すことなどができなくなり、自己管理能力を高める必要があることを実感することとなりました。
その課題を解消できたツールは、コラボレーションのプラットフォームであるMicrosoft Teams(Teams)です。TeamsによるWeb会議やチャットが浸透し、従業員間のコミュニケーションが円滑になりました。
社内にいることが大半のスタッフ部門では、従来は対面のコミュニケーションが主で、Teamsの利用は比較的少数でしたが、テレワークを機に自然とオペレーションを習得し、コミュニケーション手段が変革しています。
営業・技術部門では、お客様の多くも在宅勤務となったことにより対面の機会が減少していますが、お客様もWeb会議の活用が徐々に浸透したことから、Web商談の機会は増えている傾向にあります。
なお、通勤ラッシュからの解放で身体的な疲労は解消されましたが、勤務とプライベートの切り分けが難しいことも判明しました。自分専用の部屋や机がない場合も多く、止むを得ず家族が集うリビングで仕事を行うことになるなど、集中力が維持できないことに加え、家族にも気を遣わせていることから、出社時とは異なる精神的な疲労が発生しています。
テレワーク体験で抽出された課題
ネットワーク環境が十分ではない
テレワークの課題として多く挙げられたことは、ネットワーク環境が十分ではないこと、対応できない業務があることです。
さらに、PCなどのハードウエア不足、セキュリティ面の不安、勤務時間のカウントが不明瞭であることも、
緊急導入により準備期間が短かったことが伺えます。
【ワークビジョンの体験】 従来よりVPN環境を構築済みでしたが、全国の企業で一斉にテレワークが開始されたことで、当初は回線トラブルが多発し、業務に支障をきたすこととなりました。しかし、専用ゲートウエイを設置することでトラブルを解消することができました。
また、申請・承認を必要とする業務については、ワークフローシステムの利用など、従来より全社でペーパーレス化に取り組んでいますが、どうしても印刷が必要となる業務がある場合、リモートデスクトップではオフィスのプリンタに出力されるために出社するケースもありました。しかし、テレワークでペーパーレスの意識は更に浸透しています。
テレワークで利用した機器とツール
小さな画面では細かな作業が難しい
テレワークで利用している機器・環境で最も多いのは社給のパソコンです。
私物のパソコンも一定数の回答が見られたことは、前項で課題として挙げられたハードウエア不足によるものと推測されます。
【ワークビジョンの体験】 社給のパソコンは、モバイルノートタイプが主です。オフィス勤務時は外部ディスプレイに接続している従業員が大半ですが、自宅にディスプレイを持ち帰ることは難しく、当初は小さな画面では細かな作業が難しいという声もありました。
一部の従業員には、家庭のテレビのHDMI端子への接続で画面サイズのハンディを克服する努力も見られました。但し、テレビが大画面である場合はキーボードとの距離感を調整することに苦労があったようです。
また、自宅の回線環境が良好でない従業員に対しては、社給Wi-Fiルーターのデータ通信量を無制限に変更する対策を実施しました。
テレワークで利用している業務ツールでは、ビデオ会議システムが普及しています。また、勤務先のファイルサーバーを利用されていることより、過半数がVPN環境を整備できていることが分かりますが、グループウエア、勤怠管理、申請ワークフローは、テレワークには十分に対応できていないと推測されます。
【ワークビジョンの体験】 クラウド型の業務ツールに加え、ICTインフラも、IaaS、DaaSのプライベートクラウドを導入し、各端末にソフトやアプリを備えるのではなく、クラウドから利用できる環境を整備しているため、テレワークでも全ての業務ツールの利用を可能としています。 また、情報セキュリティシステムもSaaSを活用して、セキュリティ面の不安も解消しています。
テレワーク導入の検討に向けて
助成金の内容を理解できていない
一方、テレワークを実施していない、または検討中と回答された企業では、テレワークに関する助成金を申請している回答は少数で、12%の企業が検討中、助成金は認識していても内容を理解できていない方が20%となりました。以下のコラム記事で、テレワークを対象とした助成金や補助金を解説していますので、ぜひ参考としてください。
テレワークを検討中と回答された企業で、既に導入済みでテレワーク実施時に活用を検討しているものはメールとビデオ会議システムが半数近い結果となりました。
その他、勤怠管理、グループウエア、経費精算など各種の業務ツールは、導入はされているものの現時点では活用対象としては低いようです。 これらは、VPN環境の構築により活用頻度が高まります。ワークビジョンの環境構築サービスもご検討ください。
新型コロナウイルスの収束は長期戦の様相を呈しています。ウイズコロナ、アフターコロナの時代は、予測不能な社会環境への臨機応変な対応が必要となります。今回、緊急導入されたテレワークを体験した多くの方が感じたことは、従来のアナログ的な商習慣から、早期にDX(デジタルトランスフォーメーション)へシフトすることの重要性ではないでしょうか。
テレワークを適切に導入するには、企業方針の明確化、運用ルールの策定に加え、ICTインフラの整備が不可欠です。ワークビジョンは、自社実践により蓄積されたノウハウで、ICTインフラや有効な業務ツールの構築など、最適なテレワーク環境をサポートしてまいります。
パンフレットダウンロード
本ページでご紹介の記事がPDFファイルでダウンロードできます。必要事項を入力して送信してください。ご入力いただきましたメールアドレス宛にパンフレットのダウンロードURLをお送りします。
※この記事は2020年5月に実施したアンケート調査を元に構成しています。 記事内における数値データ(n=260)、組織名、役職などは取材時のものです。
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