DXを社内に浸透させるために経営者が理解し取り組むべきこと

2022年02月28日

カテゴリ:デジタルトランスフォーメーション

経済産業省が公表しているDX(デジタルトランスフォーメーション)レポートの初版では、企業に対してレガシーシステム(老朽化した旧システム)を刷新する必要性と、DXを推進するためのシナリオが示されています。当時「2025年の崖」と呼ばれた問題提起は、多くの企業経営者にデジタル技術を前提とする経営変革の重要性を認識させました。

しかし、その提言から2年後に開かれた同省の研究会では、「DXの取り組みを始めている企業」と「まだ何も取り組めていない企業」に二極化しつつあることが指摘されています。

一方、国土交通省白書2021では、企業がDXの必要性と対応の遅れを強く意識するようになったきっかけのひとつとして、新型コロナウイルス感染症対策によるテレワークの浸透を挙げています。

当初は、紙の書類を扱う押印・決裁・発送の業務や、対面が基本であった商談や会議がテレワークの阻害要因となりましたが、デジタル技術の活用による業務の見直しが進み、現在は多くの企業で働き方の新しいスタイルとして定着しています。

しかし、感染症対策を契機とするデジタル施策への取組み状況のアンケート結果では、取り組んでいる企業は75.5%に止まっており、未だ24.5%の企業が「取り組んでいない、分からない」と回答しています。

また、日本能率協会が企業経営者を対象に実施したアンケート調査(日本企業の経営課題2021)では、既にDXへの取り組みを始めている企業が45.3%、検討を進めている企業が28.8%、これから検討する企業が17.8%と報告されており、半数以上の企業にDXが浸透していないことが推察されます。

この記事では、DXを社内に浸透させるために経営者が理解して取り組むべきことを解説します。

INDEX

企業にDXを浸透させる意思決定の方式とは

組織における一般的な意思決定方式は、トップダウン型とボトムアップ型に分類されます。トップダウン型のメリットは、企業経営者のビジョンが浸透しやすく意思決定のスピードが上がることです。一方、ボトムアップ型のメリットは従業員の提案が施策に繋がることで組織パフォーマンスが向上することです。

企業にDXを浸透させるには、先ず企業経営者が自社のDX推進のための経営ビジョンを明確にして従業員の当事者意識を醸成し、それを受けた各階層のリーダーがDXを推進する施策を立案して実行に移すことが必要です。つまり、トップダウン型とボトムアップ型の併用となりますが、先ずはトップダウン型で舵を切ることが有効です。

DX の推進には、ビジネスや業務プロセス、組織・人事の仕組み、組織風土などの変革が不可欠です。経済産業省のDX 推進ガイドラインでは、企業経営者がこれらの変革に強いリーダーシップを持って取り組むことが推奨されています。

DXの浸透を阻むジレンマ

2021年8月に経済産業省が公表したDXレポート2.1では、企業共通の課題としてDX変革を阻む以下2つのジレンマが存在していることが述べられています。

DXの浸透を阻むジレンマ1:危機感のジレンマ

  • 目先の業績が好調のため変革に対する危機感がない。
  • 危機感が高まったときはすでに変革に必要な投資体力を失っている。

DXの浸透を阻むジレンマ2:人材育成のジレンマ

  • 技術が陳腐化するスピードが速く、時間をかけて学んだとしても、習得したときには古い技術となっている。
  • 即座に新技術を獲得できる人材は引き抜かれてしまう。

これらのジレンマを打破するためには、企業経営者のビジョン提示とコミットメントによる、従業員エンゲージメントの向上が必要不可欠となります。

企業にDXを浸透させるための経営ビジョン

企業経営者が示すビジョンは、競合他社から提供される新たなサービスにより自社のビジネスが破壊されるデジタル・ディスラプションを念頭に置き、DXでどのような価値の創出を目指すか、それにはどのようなビジネスモデルに変革していくべきかを明確にすることが重要です。

経済産業省が取り纏めたDX推進指標とそのガイダンスには、ビジネスモデルや業務プロセス、組織・人事の仕組み、企業文化などの変革に対しては従業員の抵抗がつきものであることが示されています。

従業員の抵抗を乗り越えてDXを浸透させるには、DXを進める理由、変革しなければ何が起きるかについて、具体的な危機感を社内で共有することも必要となります。

DXを社内に浸透させるために経営者が理解し取り組むべきこと

経済産業省のDX加速に向けた研究会は、DXを社内に浸透させるための意識改革を促すために、企業経営者へ以下の5項目を提言しています。ここでは、それぞれの項目の中で企業経営者が理解して取り組むべきとされている提言の具体的な内容をご紹介します。

経営者への提言1:価値創造の源泉の変化に気づくこと

テクノロジーの進化により、社会で発生するあらゆる事象がデータ化され、そのデータはデジタル空間に膨大に存在しています。企業経営者は過去の成功体験にとらわれず、利益を生む源泉がデジタル空間に変わっていることを理解することが大切です。

前述のデジタル・ディスラプションで、他社に顧客を奪われる可能性があることを念頭に置き、常に業界におけるビジネスモデルの変化を注視しておくことも必要です。

経営者への提言2:現状に危機感を持つこと

新型コロナウイルス感染症対策では、従来は対面が必要とされていた業務を、オンラインや非接触型に変革させることが急務となりました。感染症の拡大や災害時のような突発的な環境変化の中でも事業を継続して企業を成長に導くには、DXが必須である認識を持つことが必要です。

VUCA※1 (先行きの予測が不可能な)時代は、従来の慣習やルールを打破して現状を変化させるチャンスです。
OODA※2ループを回すことで想定外の変化に迅速かつ柔軟に対応できる体制を構築し、持続的な競争優位性の維持と強化を図りましょう。

※1 VUCA(ブーカ):Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の略称。
※2 OODA(ウーダ):監視(Observe)、情勢判断(Orient)、意思決定(Decide)、行動(Act)の略称

経営者への提言3:行動に移すこと

DXのゴールを定め、ロードマップを描くことがデジタル企業経営のファーストステップです。ロードマップの作成では、DX施策に対するROI(投資対効果)を見極め、プライオリティを明確に設定して取り組むことが必要です。

DXは、業務プロセス、企業文化、ビジネスモデルの全てを全社一丸で変革に取り組まなければ実現することができません。その活動には常にアジャイル思考が求められますが、システムが再びレガシー化することの防止にもつながります。

経営者への提言4:対話の重要性を認識すること

DXを浸透させるには、企業経営者のリーダーシップが求められます。最初に経営者がDX施策の方向性となるビジョンを明確に示すことが必要です。

また、DXの浸透には従業員を含むステークホルダー全員のベクトル合わせが大切です。全社として取り組むために、企業経営者は各部門の従業員との対話にウェートを置きましょう。

企業経営者への提言5:社外とも積極的に連携すること

DXを浸透させるためには、外部ベンダーのサポートを受け、自社に不足しているスキルを補完することも必要です。

IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施したDX推進に向けた企業と IT人材の実態調査では、DXへの取組みで成果が出ている企業はIT業務が分かる役員の存在比率が高いことを特徴のひとつとして挙げています。外部ベンダーのサポートは、企業経営者のITリテラシー向上にも有効です。

但し、技術面を外部ベンダーへ丸投げでするのではなく、あくまでも経営者自身が主体となってDXを浸透させていくことが重要となります。

DXの浸透には、DXを自社実践しているベンダーのサポートが有効

WorkVisionは、ステークホルダーから見て魅力ある会社を目指すために、①企業全体のデジタル化、②今まで見えなかったモノ(事実)の炙り出し、③可視化された課題にデジタル技術を適用するビジネス変革を進めています。その活動を継続実行できる組織風土の変革にも取り組んでおり、競争優位を生み出し続けるDX推進を中期経営計画に掲げています。

WorkVision
DXへの取り組み

また、WorkVisionはDXマインドを身に着ける従業員教育を進めることで多くのDX推進人材を育成しており、自社のDXのみならず、お客様企業のDXサポートに貢献できるスキルを高めています。

ビジネス環境が日々変化する中、企業にはデジタル経営戦略による業務効率化や働き方改革も求められています。WorkVisionは、自社のDX浸透の取り組みや経験をお客様へ還元できるよう、商品化やナッレジの共有など積極的な情報発信に取り組んでいます。外部ベンダーを選定される際は、是非WorkVisionにお声がけください。

WorkVision
「2025年の崖」の回避とDX推進の実践事例

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