2023年03月31日
カテゴリ:デジタルトランスフォーメーション
近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進している企業が増えてきていることから、「DXの内製化」についても注目を集めてきております。そこでこの記事では、DXの内製化や外注リソースを活用するポイントについて詳しく解説をしていきます。
DXの内製化とは?
DXの内製化とは、「自社のDX実現に向けた業務やシステム開発を、外注せずに自社内で取り組むこと」を意味します。内製化することで、社員がどのようにDXを進めていくのかを決定できるため、DX推進人材の育成に繋がります。
DXの現状について
帝国データバンクが2021年に実施した「DX推進に関する企業の動向アンケート」結果によると、DX の「言葉の意味を理解し、取り組んでいる」企業のなかでは、ほとんどの企業がデジタイゼーション(ITツール導入)で業務効率化に取り組んでいるものの、ビジネスモデルの創出や組織風土の変革という本格的なDXに取り組んでいる企業は3社のうち1社に止まっています。
※参照元:株式会社帝国データバンク「DXに関する企業の意識調査」
DXの内製化が必要な理由
DXの内製化が必要な理由としては、主に以下の4つが挙げられます。
- 対応スピードを上げるため
- 自社社員のスキル向上、ノウハウ蓄積
- ブラックボックス化の回避
- 組織風土の変革
4つのポイントについて、それぞれ解説していきます。
対応スピードを上げるため
現代は変化の激しい時代であるため、DXの推進にもスピードが求められます。
DXの大部分を外注することで業務負担が減るメリットはありますが、発注までに時間がかかり、変更点がある場合に外注先と調整が必要になるなど、スピード面で競合他社に遅れを取ってしまう可能性があります。
DXの内製化をした場合、自社でDX業務の主導権を握ることが出来るため、発注や外部との調整などの時間を削減することが出来ます。結果的にDXの推進を自社内で柔軟に対応することが出来るため、DX業務のスピードアップに繋がります。
自社社員のスキル向上、ノウハウ蓄積
DXの推進を内製化することで、DXの「推進ノウハウ」を社内に蓄積することが出来ます。
外注している場合、自社のDX推進におけるノウハウが自社内に蓄積されず、今後の対応にも活かすことが難しくなります。
時代の変化が激しい現代で、競合に遅れをとらずDX推進を行うためには、自社内でノウハウを蓄積し、柔軟に対応出来る体制を整えることが重要だと言えるでしょう。
DXはシステムを入れることが目的ではなく、システムを導入したことで生まれるデータをいかに活用していくことが重要です。そういう意味でも社内にDXに関するノウハウを蓄積していかなければ単にシステムを導入しただけになり、DXは推進できません。
ブラックボックス化の回避
DXの大部分を外部に委託してしまうと、システムの詳細を把握している人間が社内にいなくなってしまい、外部委託先との関連性が途切れるとブラックボックス化を招く可能性があります。
また、システムについて把握している人間がいなければ、トラブルや変更点があった際に対応に時間がかかります。
このような事態を回避し、DX推進のスピードを上げるためにもDXの内製化は必要になってきます。
組織風土の変革
DX推進の過程では、業務プロセスの見直しに止まらず、組織風土の変革が求められます。
公益財団法人東京都中小企業振興公社が発行する「人財マネジメントハンドブック」では、“組織風土とは従業員の間で暗黙に共有される企業固有の雰囲気や価値観、考え方や行動であり、一言でいえば「組織全体を包み込む環境や雰囲気」である”と述べられています。
DXの内製化をすることで、社員のDXリテラシーが高まり、環境も大きく変わるため、組織風土の変革に繋がる可能性があります。
※参照元:公益財団法人東京都中小企業振興公社「人財マネジメントハンドブック」
内製化を進める上でのデメリット
内製化をする場合、社内の人材を育成するか、DXを推進できる人材を外部から採用するかが必要になります。
DX推進人材に成り得るデジタルの専門家が多ければ、コストや時間はあまりかかりませんが、これまでそのような人材を育成・採用してこなかった企業は、DX推進人材を一から育成しなければならないため、成熟するまでにある程度の時間と費用が必要となります。
中途採用でDX推進人材を確保するといった方法もありますが、育成のコストを削減できるメリットがある反面、採用した人物が必ずしもDX推進人材として活躍できる保証はありません。
現代ではDX推進人材の確保を積極的に行っている企業が多いため、外部からの人材確保そのものも難しい状態です。
IPA調査ではDX推進人材の不足感が非常に強く見られており、プロデューサー、データサイエンティスト/AIエンジニア、ビジネスデザイナー、アーキテクトは「大いに不足」という回答が過半数を超える結果になっています。
これらの人材確保の難易度の高さが、DXの外注が多くなっている要因と言えるでしょう。
※参照元:独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の 機能と役割のあり方に関する調査」
内製化を成功させる上で重要なポイントとは
人材育成に取り組む
上述したように、DXの内製化を進めるには最新テクノロジーを活用してデジタル経営を進めることができるDX推進人材の育成が必要です。
DX推進人材には、既存業務のデジタル化だけではなく、全体プロセスを俯瞰しながら業務自体を見直し、長期的に活用できる運用体制を構築するスキルが求められます。
DX推進人材育成のためには下記のような取り組みが有効であると考えられます。
1.DXに関する教育・トレーニングの提供
DXに関する基礎的な知識や、実際にDXを推進するためのスキルを身につけるための教育・トレーニングを提供することが必要です。これには、DXに関する知識を広く深く学ぶセミナーや講座、実践的なスキルを身につけるハンズオン形式のトレーニング、実践的なプロジェクトを通じた研修プログラムなどが含まれます。
2.メンタリングやコーチングの実施
DX推進人材の育成にあたっては、経験豊富なDXの専門家が、若手のDX推進者に対してメンタリングやコーチングを実施することが有効です。これにより、実践的なアドバイスやフィードバックを受け、スキルの向上や自己啓発を促すことができます。
DX推進人材を早期育成することは、DX推進における人材マネジメントの重要なテーマのひとつであると言えるでしょう。
DX推進人材の育成を効率的に行うためには、外部ベンダーのサービスを利用することも有効な手段となります。外部ベンダーのDX研修や学習ツールなどを上手く利用し、DX推進人材の育成を進めていきましょう。
企業全体のDXリテラシーを上げる
DXの内製化を進める上でDX推進の中心となるチームを組んで対策をすることは重要ですが、それだけでは上手く進まないことがあります。
そもそもDXの内製化とは、「企業全体」の改革を目的としたDXをより効率的に行うためのものです。
そのため、DXの内製化を行う場合は社員全体のデジタルリテラシーを上げるなど、企業全体で意識を変えていく必要が有ります。社員全体の意識が変わることで、DX推進に求められている「組織風土の変革」にも繋がります。
外部サービスの利用も視野に入れる
DXの内製化は、自社にどれだけのリソースがあるかで実施出来るかどうかが変わってきます。
DX推進人材がほぼいない状態では、最初から内製で進めようとする場合、完了するまでに莫大な時間をかけることになります。
自社内で内製化を進めていくことが難しい場合は、DXの内製化を効率的に進められるように、外部機関の研修や効率的になるツールの導入も検討しましょう。
外部機関の研修では、自社では得られない新しい考え方を学習し、多様な価値観を持つ参加者との議論を通してDX推進スキルを高めることが可能です。研修以外にも、外部ベンダーのサポートを受け、自社に不足しているスキルを補完することも大切です。
IPAによる「DX推進に向けた企業とIT人材の実態調査」では、“DXの運用で成果を上げている企業は、IT業務を理解する役員の存在比率が高いこと”を特徴として挙げています。外注による研修やサポートの活用は、経営層のITリテラシー向上にも有効です。
なお、技術面については外部ベンダーに全てを任せるのではなく、内製化を含めてDXを浸透させていくことが重要となります。IPAのDX白書2021では、“内製化の過程で必要となるアジャイル開発手法や、最新テクノロジーでの開発技術については、直ちに対応できない企業も多いため、外部ベンダーには内製化へ移行するためのサポートが求められる”と記述されています。企業がDXを組織で運用するには、内製化と外注を使い分けることが有効だと言えるでしょう。
※参照元:IPA「DX白書2021」
DX共創パートナーとの連携でDXを進めよう
WorkVisionは、企業へシステムを提案するだけではなく、DXの推進や内製化を提供する共創パートナーです。
内製化のサポートでは、DXマインドを身につけるリモートスタディ、発想力・企画力を高めるクラスルーム、ケース演習でDX推進プロセスを体得するリモートワークショップなど、様々な学習手段を通してDXスキルを高める研修コースを提供しています。
WorkVisionは自社実践により体得したDXスキルとノウハウによるコンサルティングで、お客様のデジタル経営への変革に貢献してまいります。
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