企業がDXで失敗を防ぐために気を付けるべき3つのポイント

2022年02月28日

カテゴリ:デジタルトランスフォーメーション

少子高齢化の影響で人口減少が進む中、企業が生産性を向上していくには、DX(デジタルトランスフォーメーション)による業務のデジタル化や、新たな価値を提供するビジネスモデルの創出が必要です。

業務のデジタル化は、紙文書のペーパーレス管理、RPAによるデータ処理の自動化など、従来はITシステムを活用した業務効率化が主な目的でした。これは「デジタイゼーション」と呼ばれています。

DXの「トランスフォーメーション」は、「変換」ではなく「変革」を指しています。企業には、デジタイゼーションで改善されたプロセスで、ビジネスモデルを変革する「デジタライゼーション」を進め、競争上の優位性を確保することが求められています。

しかし、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表するDX白書2021では、DXに取り組む国内企業は約56%であることが報告されており、ニュースメディアではDXに失敗している企業も少なくはないことが報道されています。

この記事では、国内企業のデジタル競争力の現状や、企業がDXで失敗を防ぐために気を付けるべきポイントを解説します。

INDEX

国内企業のデジタル競争力の現状

DX白書2021では、DXを進めるうえで「新たな価値の創出」と「既存事業の業務生産性向上や働き方の変革」という二つのアプローチの同時進行が重要であると提言されています。

前述の通り、DXに取り組む国内企業が約56%であることに対して、米国企業は約79%と大きな差が見られています。特に、デジタイゼーションの実施成果で大きな差がついており、国内企業にはペーパーレス化の推進など着実な対応が必要であると述べられています。

また、国土交通省白書2021には、スイスのビジネススクール国際経営開発研究所(IMD)が発表した世界デジタル競争力ランキングで、日本は調査対象とした63カ国の中で27位、主要先進7カ国の中では6位であったことが明記されています。

世界デジタル競争力ランキングは、デジタル技術の利活用能力を知識、技術、将来への準備の3項目で評価しているものですが、特筆すべきは「国際経験」「機会と脅威」「企業の機敏性」「ビッグデータの活用と分析」の4項目において、日本は63カ国中63位と最下位であったことです。

国土交通省白書2021では、日本のデジタル競争力には強化の余地が残されていると纏められています。未だ中堅企業の多くがレガシーシステム(老朽化した旧システム)に依存しているとの報道も散見されており、日本企業のDXは他の先進国と比較して遅れていると言えるでしょう。

DXへの取り組みは企業の成長に欠かせない

先進国の中で遅れを取っているとは言え、時代に適応したワークスタイルの改善や、柔軟かつ迅速な顧客対応を可能とするDXへの取り組みは、現代企業の成長に欠かせないものであると言えるでしょう。

企業のDX推進は、経営のデジタル化による業務効率化やコスト削減はもちろん、付加価値の高いサービスの提供による競争上の優位性確保につながります。

また、最新テクノロジーの活用による高度なテレワーク環境の構築など、ニューノーマル時代における多様な働き方を実現することができ、BCP(事業継続計画)対策の充実化や従業員エンゲージメントの向上に有効です。

DXを失敗するケースとは

DXは、企業がデジタル競争の時代を勝ち抜くために必要不可欠なものですが、前述の通りDXに失敗している企業があることも報道されています。

ここでは、企業がDXに失敗する要因の一例として、経済産業省のDX推進ガイドラインに掲載されている4つの失敗ケースをご紹介しましょう。

  • 事業部門がオーナーシップを持たず、情報システム部門任せとなり、開発した ITシステムが事業部門の満足できるものとならない。
  • ベンダー企業が情報システム部門としか話ができず、事業部門と話ができない。
  • 要件定義を請負契約にした場合、ユーザ企業が自身の ITシステムを把握しないまま、結果として、ベンダー企業に丸投げとなってしまう。
  • 既存の ITシステムの仕様が不明確であるにもかかわらず、現行機能保証という要望を提示する。

これらの失敗ケースを見ると、DXの本質をシステムのリニューアルと履き違え、デジタル経営による組織風土の変革に至ることのできない企業も多いことが推察されます。

企業がDXで失敗を防ぐために気を付けるべきポイント

日本能率協会が企業経営者を対象に実施したアンケート調査(日本企業の経営課題2021)によると、DXの課題として回答された約90%が「DX推進に関わる人材不足」でした。

また、「DXに対するビジョンや経営戦略、ロードマップが明確に描けていない」ことが66.2%、「具体的な事業への展開が進まない」ことが67.1%に達しています。

この調査結果を踏まえ、日本能率協会は「DX推進の大前提として、DXによって何を実現したいのか、顧客や社会に対してどのような価値を生み出していきたいのかというビジョンや経営戦略を描き、具体的な事業を構想することが一層重要となる。」と総括しています。企業がDXで失敗を防ぐために気を付けるべきポイントは、以下の3点であると言えるでしょう。

企業がDXで失敗を防ぐために気を付けるべきポイント1:DX推進人材の育成

経済産業省は、日本のIT人材はIT関連企業に従事する割合が高く、ユーザー企業に従事する割合が低いこと。特に、東京のIT企業にIT人材が集中し、地域のデジタル化を推進するIT人材が不足していることを問題視しています。


企業のDX推進には、IT活用でデジタル経営を進めることのできるDX推進人材の育成が必要不可欠です。DX推進人材には、既存業務のデジタル化だけではなく、全体プロセスを俯瞰しながら業務自体を見直し、長期的に活用できる運用体制を構築するためのスキルが求められます。

具体的には、①ビジネスモデルや経営改革を推進できるスキル、②データ分析から仮設・立案・検証ができるスキル、③経営改革をITシステムに具現化できるスキル、④ビジネス変革のための要件を明確にできるスキル、⑤ビジネス変革のための設計や開発ができるスキルであると言えるでしょう。

企業がDXで失敗を防ぐために気を付けるべきポイント2:DX戦略の明確化

DX推進の過程では、成功体験のある過去のビジネスモデルの見直しや組織風土の変革までが求められるため、何のためにDXに取り組むのかという経営目標や戦略を確立しておくことが必要です。

企業文化やビジネスモデルを変革するときは、慣れ親しんだ従来の業務プロセスの継続を主張する従業員からの抵抗も想定されますので、企業経営者はDX戦略のビジョンを全ての従業員に明確に説明することが重要です。そうすることで、DX推進による環境変化に適応できる組織作りも可能となります。

企業がDXで失敗を防ぐために気を付けるべきポイント3:DXの具体的展開

DXの必要性を理解しているものの、デジタイゼーション(システムのリニューアルやITツール導入)による業務効率化がゴールとなってしまい、デジタライゼーションに進めないケースも多いようです。

DX推進において、システムのリニューアルやITツールの導入はあくまでも「手段」でしかありません。DX推進の「目的」は、業務プロセスや組織風土、そして企業文化(固定観念)の変革による新たなビジネスモデルの構築です。常に顧客価値を創造するDXへの具体的な展開が、企業の最も重要な課題であるといっても過言ではないでしょう。

注意点を理解してDXを進めよう

企業がDXで失敗を防ぐための注意点は、DX人材の育成、DX戦略の明確化、DXの具体的展開です。

WorkVisionは、経済産業省の定めるDX認定事業者として、DX人材の育成、DX戦略の明確化、DXの具体的展開をサポートしています。

DX人材の育成では、DXマインドを身につけるリモートスタディ、発想力・企画力を磨くクラスルームなど、DXスキルを高めるための研修コースを提供しています。

また、WorkVisionは自社実践で得たノウハウを展開し、お客様のDX戦略の明確化をサポートしています。その取り組みのひとつである営業DX化プロジェクトでは、「顧客接点」「情報集約と活用」「自動化・省力化」をテーマに新しい営業スタイルによる顧客体感の向上を目指しており、活動の成果をお客様への提案として還元しています。

DXの具体的展開では、DX推進の前提となるデジタイゼーションにおいて「標準化支援サービス」など様々なデジタルソリューションを提供しています。このサービスは、基幹システムのカスタマイズやアドオンを回避する新たな業務フローを整理することで、パッケージ標準機能でのシステム刷新を実現するものです。これにより、システムの複雑化やブラックボックス化を防止することができ、経営資源をDX投資に再配分することが可能となります。

WorkVision 標準化支援サービス

WorkVisionは、共創の視点で企業のDX失敗を防ぎ、デジタル経営への変革に貢献してまいります。

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