2020年06月09日
カテゴリ:総務
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テレワークにおける働き方改革推進支援助成金とは?
時間外労働や長時間労働、有給休暇の未消化といった労働上の問題を解決し、ワーク・ライフ・バランスの実現を図るための取り組みの1つがテレワークです。
テレワークにおける働き方改革推進支援助成金とは、働き方の改善のためにテレワークに取り組む中小企業事業主を支援する制度です。
この助成金を受けるためにはどのような条件があるのか、詳しく説明します。
支給の対象となる取り組みを1つ以上しないといけない
働き方改革推進支援助成金を受けるためには、支給対象となる取り組みを1つ以上実施しなければいけません。
支給対象となる取り組みは、通信機器の導入や研修の実施、専門家からのコンサルティングなど、全部で5項目です。なお、テレワーク用の通信機器については、シンクライアント端末以外は支給対象外になるため注意が必要です。
また、通信機器は派遣労働者のものも支給対象ですが、労働者が派遣元と派遣先で同じ助成金の対象となることはできません。
働き方改革推進支援助成金の対象となる事業主4つ
働き方改革推進支援助成金の対象となる事業主には条件が3つあり、業種によってさらに細かい規定があります。
全事業主に共通の条件は、労働者災害補償保険の適用事業主であることと、テレワークを新規で導入する事業主であることの2点です。ただし過去に同様の助成金を受けたことがあっても、従業員数が2倍以上に増えた状態でテレワークを導入するのであれば受給が可能です。
資本金や出資額、労働者の人数は業種で異なります。
事業主1:小売業(飲食店を含む)
飲食店を含む小売業は、資本または出資額が5,000万円以下か、常時雇用する労働者が50人以下であれば助成金を受給できます。
常時雇用する労働者とは、正社員だけでなくアルバイトなども該当します。厚生労働省東京労働局によると、1年以上働いている、または働く見込みがある人が常時雇用する労働者になるとしています。
契約更新などがあっても、続けて1年以上働いていれば該当するため注意が必要です。
事業主2:サービス業
サービス業では、資本または出資額が5,000万円以下か、常時雇用する労働者が100人以下であれば助成金を受給できます。
業種の分類については、総務省の分類を参考にしてください。サービス業という名前になっていても、持ち帰り・配達飲食サービス業は小売業に分類されるなど複雑な部分がありますので、確認が必要です。
事業主3:卸売業
卸売業では、資本または出資額が1億円以下か、常時雇用する労働者が100人以下であれば助成金を受給できます。
なお、これらの資本または出資額と常時雇用する労働者の人数の規定は、中小企業基本法に基づいています。資本または出資額か常時雇用する労働者の人数は、両方をクリアする必要はなく、どちらかの条件を満たしていれば受給が可能です。
事業主4:その他
その他の業種では、資本または出資額が3億円以下か、常時雇用する労働者が300人以下であれば助成金を受給できます。
その他の業種とは、たとえば製造業や建設業、農業・林業・漁業などが該当します。また、製造業になる事業と小売業になる事業など、複数の分類に該当する場合もあるでしょう。そのケースでは、主な事業は何かという点で判断します。
成果目標の設定とは?
働き方改革推進支援助成金を受給するためには、テレワークの実施に係る成果目標の達成を目指す必要があります。
成果目標の内容は事業主が自由に決められるものではなく、あらかじめ設定されています。事業主は目標を達成する期間を設定し、その期間内の達成を目指して努力しなければいけません。
成果目標の内容と評価機関について詳しく説明します。
評価期間で対象者に1回以上テレワークを実施する
成果目標の1つ目は、評価期間で対象者に1回以上テレワークを実施することです。
対象者とは、受給対象となる労働者全員です。テレワークは在宅勤務でもサテライトオフィスへの勤務でも構いません。評価期間内に全員が1回以上テレワークを実施できるようにしましょう。
ただし助成金を受けるために無意味なテレワークを実施しても、受給資格がないとみなされます。きちんと労働改善に必要なテレワークを導入することが重要です。
週間平均でテレワークの回数を1回以上行う
成果目標の2つ目は、対象労働者が評価期間内に週間平均で1回以上テレワークを行うことです。
1つ目の成果目標では、全員が1回以上のテレワークを行うことが必要でした。2つ目ではさらに全員が週に1回以上はテレワークを行うことを目標として設定しています。
評価期間内の平均ですので、必ずしも毎週1回実施しなくても構いません。たとえば評価期間が1カ月であれば、1カ月に4回以上のテレワークが目標になります。
評価期間とは?
評価期間とは、成果目標を達成する期間のことで、事業主が1カ月~6カ月の間で設定します。
評価期間は、テレワークの取り組みを始める前の、事業実施計画の段階で設定します。
評価期間は、交付決定日から一定の期間内であればどこに設定してもいいことになっています。なお令和2年5月時点では、令和3年2月15日までの期間です。申請時に確認してください。
支給額について
働き方改革推進支援助成金の支給額は、成果目標の達成度に応じて変化します。
評価期間内に目標が達成できれば、テレワークの実施にかかった必要経費の一部が助成されます。達成できなかった場合は助成金が減額されますが、一部は支給されます。
助成対象になる経費は、厚生労働省のサイトで確認することができます。なお、リースやライセンス契約などで利用期間が評価期間を超えている場合は、評価期間の部分が助成対象となります。
成果目標を達成した場合
成果目標を達成した場合は、対象経費の4分の3が支給されます。
ただし支給金額には上限があります。40万円×対象となる従業員の人数か、300万円のうち、低い方の金額になります。
たとえば対象経費が600万円で従業員が20人だった場合、600万円の4分の3は450万円で上限を超えています。1人当たりの上限金額も、40万円×20人が800万円ですので上限を超えています。よって、支給金額は300万円となります。
成果目標を未達成の場合
成果目標を未達成の場合でも、対象経費の2分の1が支給されます。
ただし支給金額の上限は、目標を達成した場合より低くなります。上限金額は、20万円×対象となる従業員の人数か、200万円のうち、低い方の金額です。
たとえば対象経費が600万円で従業員数が20人だった場合、支給金額は200万円です。同じ条件でも達成したか否かで100万円も差が出てしまうので、実施計画は入念にたてることが重要です。
働き方改革による助成金を使って企業にテレワークを導入しよう
テレワークは、ワーク・ライフ・バランスの実現を可能とするだけでなく、企業にとっても生産性の向上や労働人口の確保といったメリットの多い働き方です。働き方改革による助成金を上手に使って、企業にテレワークを導入していきましょう。
この記事でご紹介した働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)の交付申請の受付は令和2年12月1日(火)までです。なお、支給対象事業主数は国の予算額に制約されるため、12月1日以前に受付を締め切る場合がありますので早期の申請をおすすめします。
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