2017年12月01日
カテゴリ:オピニオン
ゲーミフィケーションは、ゲームの要素を様々な分野に応用することで、ユーザーを引きつけ、継続性やエンゲージメントを高める方法としてマーケティング領域を中心に浸透してきた概念である。ゲーミフィケーションという言葉が話題になった2010年以降、Webサービスやスマートフォンアプリに取り入れられるなど、ITを使うことで進化・洗練され続けており、活用の幅は一層広がっている。
オンラインのストレージサービス「Dropbox」において、友人を紹介するとストレージの容量が増えるのは、こうした報酬の提供自体が新規ユーザーを獲得する仕掛けのひとつとなっている。また、営業活動やマーケティング活動を支援するクラウドサービスSalesforceやZohoなどでは、これまでのように目標をノルマだけで管理するのではなく、成果を出すために必要な行動をポイントやバッジなどで評価・可視化し、営業担当者がプロセスを楽しみながら競争し、成果を出しやすくする仕組みを機能として提供している。
ゲーミフィケーションは、明確な目標と達成するための「課題」、課題をクリアーした際の「報酬」、その過程において競い合い、自分の成果を他の人に承認してもらう「交流」の3要素により構成される。
ITと教育を組み合わせたEdTechの分野でも、ゲーミフィケーションは積極的に取り入れられている。リクルートが小~高校生に提供する学習支援サービス「スタディサプリ」では、授業動画の閲覧や、問題の正解によって「勉強ポイント」が増え、オリジナルキャラクターを成長させることができるようになっており、生徒がゲーム感覚で楽しみながら利用できる機能を充実させ、学習の継続をサポートしている。
マーケティング分野では、飲⾷チェーンが、競ってステーキを⾷べたくなる「⾁マイレージカード」を提供している。グラム単位で食べた肉の量がポイントになり、ポイントが蓄積されると、カードのランクが上がり特典が増える仕組みだ。カードのランクが、ある種のステータスになるだけでなく、Web上でランキングを発表することによって、承認欲求を満たす場をつくった。こうすることで肉好きの気持ちをくすぐり、顧客のロイヤリティを高める効果を上げている。
このようにゲーミフィケーションは、さまざまな領域で活用が広まってきている。継続的にモチベーションを維持しながら目標達成を目指す手段であるため、BtoB分野での活用も期待されている。先に紹介した営業系、マーケティング系のサービスだけでなく、今後は、情報系、人事系などの分野でも活用が進んでいくだろう。
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