発想転換、「少子化」はデメリットだけじゃない。

2018年03月05日

カテゴリ:オピニオン

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第三次ベビーブームは来ない?

社会保障の負担増、経済規模の縮小、文化や伝統の継承スタイルの変化、未婚率の上昇、地方行政の衰退。これらは、少子化によって引き起こされるネガティブな側面と言われている。過去最低の出生率だった1989年のいわゆる「1.57ショック」を受け、「少子化社会」という言葉が1992年度の国民生活白書に初めて登場した。

団塊世代と称された第一次ベビーブーム世代は約270万人、そのジュニア世代と言われた第二次ベビーブーム世代は約200万人で、これらの時代の日本は驚異的な出生数を記録した。特に団塊世代は日本の高度成長期を生き抜き、1970年代までの期間で、アメリカやイギリスに迫る経済成長を牽引したと言っても良いが、そのジュニア世代はバブル崩壊の渦中に置かれてしまい、就職難で苦労した世代になったのだからなんとも皮肉なことである。

日本では、今後第三次ベビーブームは到来することはないだろうと、悲観的な見方をする人が多い。バブル経済が崩壊して経済の低迷から脱しきれずにいた日本は、その後も数々の不安定要素を抱えながら何とか持ちこたえてきた。このような時代に直面した世代が、結婚〜子育てという生活の価値を求めなくなり、少子化社会に拍車をかけるようになったとも言われる。

人なしでも人が助かる社会

しかし、少子化は本当にデメリットばかりなのだろうか。ある海外メディアは、世界的に見た場合に人口増加に歯止めがかかり、地球の機能負担が軽減するとの見解を示した。同様に日本の少子化についても、一軒あたりの住居面積が広がり、教育費の負担も減少し、全体的に生活水準の向上が見込まれるとしている。

また、食糧やエネルギーの自給率が低い日本では、需要も軽減されることがメリットになるという。とは言うものの、日本の場合、「少子化社会」はその対極にある「高齢化社会」と背中合わせであるため、労働生産面で懸念を唱える人が多い。

1990年代前半に8,700万人でピークと言われた15〜64歳の日本の労働生産人口は、2050年には5,000万人以下になると言われている。これを「少子化社会」のデメリットと考えるか否かは議論になるところだろう。理由は、労働力を補うための技術が格段に進化し、製造、医療・介護、行政サービスなどの各分野で無人化が進むことは間違いないからだ。

IoTやAIがますます身近になり、社会全体が自動化されていく未来は、少子化のベクトルに定められた宿命なのかもしれない。しかし、事業を営むうえで忘れてはいけないのは、技術を操るのはあくまで人間であること。労働生産力の減少を最適にフォローできる感覚の持ち主が育つ社会が大切なはずだ。

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