2018年09月03日
カテゴリ:オピニオン
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満足、満足感、満足度の違い
「満足」の意味は、“不平のないこと”“十分で申し分のないこと”“心が満ち足りること”などとなっている。確かに、満ち足りているのだから少なくとも不平はないだろう。
しかし「満足感」になると、「人それぞれの感じ方」というニュアンスが加味される。ある心理学の研究発表では、満足感には社会的満足感と非社会的満足感の2種類が存在し、それぞれ、日常的・非日常的な場面で感覚を味わうとされる。例えば、大空を舞うスカイダイビングは非日常的な体験であり、挑戦した人は「非社会的な満足感」を得たことになるが、多くの人から共感を得る社会的な満足感にはならないということだ。
言われてみればその通りで、日常的にスカイダイビングをやっている人は非常に少なく、ほとんどの人は満足かどうかを判断できない。つまり、自身がその場を体験したかどうかで満足感の有無が決まる訳だ。
一方、「満足度」は、自分あるいは誰かに対する満足の度合いが、高い?低い?という場合に使われる。ビジネスでは、顧客満足度(CS=Customer Satisfaction)を高める施策を実践し、収益向上に結び付けようとする。また、従業員に対する仕事環境や職種など、様々な角度から満足の指標を測る従業員満足度(ES=Employee Satisfaction)が注目されてきた。
満足の循環における中枢
人の満足度を高めることは、人に価値を提供することと言い換えることができる。
では、CSで考えた場合、顧客に対して直接価値を提供する人は誰なのか。それは、いつも顧客と接している営業マンであったり、顧客が店舗などを訪れた時に対応する接客係だったりする。
では、営業マンや接客係などの従業員に対し、価値を提供するESではどうなのか。顧客に対する最前線で悩み苦しむ彼らの思いを汲み、モチベーションを高めるための工夫などを価値として提供する経営層にほかならない。つまり、CS向上に通じるのはES向上であり、ES向上に結び付けるために、経営者自身が俯瞰的な視点でCSとESの両方を見据えたビジネススタイルを目指すことが理想なのだ。
皆が一斉に「CSだ!」と叫んでも、満足度向上の仕組みにはそれ相応の筋道があり、最上流には経営者満足度(MS=Manager Satisfaction)があると考えるべきだろう。
しかし、忘れてはいけないのは、ベクトルの先にあるのは常にCSだということ。CSの向上が達成できれば、その見返りとして経営者の心にさらなる成長ビジョンが宿るのだ。この先、社会全体が満足度を高めていくために、満足の循環で中心になるのは経営者満足であると主張しても間違いではないはずだ。
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