「破産」と「民事再生、自主廃業」の違いを知ろう

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第10回 「前向きな撤退」のススメ… 民事再生、自主廃業の基礎知識 ①

新型コロナウィルスは、日本経済に大きなダメージを与えています。すでに観光業や飲食サービス業は、顧客減少により厳しい局面に立たされていますが、今後は、個人消費の冷え込みや輸出入の停滞などの影響を受けて、これら以外の産業においても会社業績の悪化が生じるものと考えられます。

「この数か月間は、雇用調整助成金の支給を受けながら何とか事業を継続してきたが、そろそろ限界にきている」と思っている事業主や総務スタッフもいらっしゃることでしょう。この限界を超えてしまうと、会社は事業を継続できなくなり、倒産したり、廃業に追い込まれたりします。

「倒産」とは、会社の資金が底をついて債務を弁済できなくなる状態に陥ることをいい、「自主廃業」とは、会社の判断により、従業員を解雇し、事業を終了させることをいいます。どちらも、会社としては「終わり」を意味する言葉ですが、実際には、そこですべてが終ってしまうわけではありません。倒産しても「民事再生」と言う手段をとれば、事業を続けて会社を残すことができますし、また、「自主廃業」も、やり方次第では、事業主や従業員にとって新たな一歩を踏み出すきっかけ作りとなります。

このコラムでは、倒産や廃業の危機に直面したときに、事業主や従業員へのダメージを極力抑えながら、事業の継続や再起を図る取組みを「前向きな撤退」と呼び、その進め方や注意点について説明します。万が一のときに備えて、事業主や総務スタッフの方々は、是非、知っておいてください。

1. 倒産しても、「民事再生」手続きをとれば、会社を続けることができる

「倒産」には、大きく分けて2つの方法があります。その1つは、事業や会社を完全に終了させる「破産」という方法、もう一方は、事業や会社を残して再建を図る「民事再生・会社更生」という方法です。

破産の場合、会社は、まず事業を停止して、その時点で残っている財産を凍結します。そして、裁判所が選定した破産管財人が、この財産を現金化し、債権者への返済に充てます。この処理が終了すると、会社は消滅します。なお、従業員は、事業を停止した時点で、全員解雇となります。

一方、「民事再生・会社更生」の場合、会社が、債務弁済や事業再生などの計画を示した「再生計画」を作成し、債権者の決議・裁判所の認可を得たうえで、再建を図っていきます。つまり、倒産といっても、事業や会社は継続しますし、従業員については、一部にリストラ(整理解雇)せざるをえない者が出てくるものの、多くの者を残すこともできます。(なお、会社更生は、民事再生と同じく、倒産した企業を再建させる方法で、主に大企業に適用されるものです。)

このように「倒産」したとしても、民事再生・会社更生の手続きをとれば事業や会社を続けることができるので、事業主や従業員のダメージは、破産と比較すると小さくなります。

破産、民事再生、自主廃業などの比較

破産、民事再生、自主廃業などの比較

2. 自主廃業を円滑に行えば、事業主も従業員も「新たな一歩」が踏み出せる

「事業の見通しが立たない」「後継者がいない」などの理由がある場合には、倒産に陥る前に、会社の判断で「自主廃業」することがあります。自主廃業の場合、事業は終了となり、債権債務の整理が行われて、残った財産は株主に分配(これを「清算」といいます)されます。清算が終れば、会社は消滅します。なお、従業員は、事業を終了する時点で、(清算に関わる事務をする者を除き)解雇となります。

自主廃業は、通常は、会社の資金に余力があるうちに行われますので、債務はきっちりと返済され、解雇する従業員に対する賃金や退職金なども規定通りに支払われます。ですから、事業主や従業員にしてみれば、会社は消滅してしまうものの、借金や未払い賃金のようなダメージが残ることもないので、そこでいったんリセットして、次の仕事に向けた新たな一歩を踏み出しやすいと言えます。

なお、自主廃業する前に、会社を売却する、あるいは他社に事業譲渡するという方法もあります。この場合は、他社において、従業員の雇用は守られ、事業を続けることができます。倒産や自主廃業になる前に会社の売却や事業譲渡ができれば、事業主、従業員、顧客にとって最も良いと言えるでしょう。

3. 会社は、時間とカネがあるうちに「前向きな撤退」を考えておくべき

さて、民事再生や自主廃業を進める場合、会社は、スケジュールを組んで、一定の期間(民事再生であれば少なくとも1年、自主廃業であれば半年ぐらい)をかけて行っていくことが必要となります。そして、ともに財産算定や債務整理などが行われますので、弁護士や会計士・税理士等の支援が必要となります。つまり、民事再生や自主廃業などの「前向きな撤退」を行うのであれば、時間が無くなる前に、また弁護士などへの報酬が支払えるうちに動き出さなければならないということです。

最も避けなければいけないことは、「もうすぐ状況は改善される」「もう少しだけ頑張ってみよう」と思っているうちに、時間とカネを使い切ってしまい、最終的に「破産」するしか選択肢がなくなってしまうことです。この場合、事業主や従業員が受けるダメージは大きくなり、また「何とかなると思ったのに」というショックが強いために、次の一歩をなかなか踏み出せなくなってしまいます。

社会保険労務士である私のところには、このところ「従業員を休業させるので、雇用調整助成金の申請手続きをしてもらいたい」という相談が数多く寄せられます。その際、私は、事業主から財務状況や今後の事業展開についてお話を伺うようにしています。そして、今後の事業継続が厳しいと思われる会社には、「前向きな撤退についても考えたほうが良い」というアドバイスをしています。

休業や助成金受給などでしのいでいる間も、会社の体力はどんどん低下していきます。そのうちに、時間とカネを使い切ってしまい、最終的には破産に追い込まれてしまうことになりかねません。また、これから雇用情勢は急速に悪化していくものと想定されるため、従業員の立場に立って考えると、解雇される時期が後になるほど、再就職が厳しくなると言えます。ですから、なるべく早い段階から、民事再生や自主廃業などの「前向きな撤退」について考えることだけはしておいたほうがよいのです。

なお、民事再生の場合は、「再生計画」の中で業務合理化(システム化)が盛り込まれることが多く、また、自主廃業(会社売却・事業譲渡)の場合は、会社統合に関わるシステム整備の話が必ず出てきます。万が一の場合に備えて、現在の業務システムの見直しを進めておくことも必要となります。

クラウド型のWebサービスは、拡張性が高いことに加え、自社でサーバー環境やシステムを新たに保有する必要がないなど、システム見直し時の初期費用を大幅に抑えられるというメリットがあります。

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次回のコラムでは、「前向きな撤退」の進め方について説明します。

見直しポイント例

監修: 社会保険労務士 深瀬勝範

Fフロンティア株式会社代表取締役。人事コンサルタント。社会保険労務士。
1962年神奈川県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社などを経て、経営コンサルタントとして独立。
人事制度の設計、事業計画の策定などのコンサルティングを行うとともに執筆・講演活動など幅広く活躍中。

深瀬勝範

前向きな撤退の対応のポイントは…
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