解雇する従業員への対応と事業主への支援

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第12回「前向きな撤退」のススメ … 民事再生、自主廃業の基礎知識③

民事再生や自主廃業などの「前向きな撤退」を円滑に進めることができれば、事業主や従業員は、気持ちを切り替えて、次に向けた新たな一歩を踏み出すことができます。しかし、民事再生では一部の従業員の解雇、そして自主廃業では全従業員の解雇が発生します。この従業員の解雇においてトラブルが発生してしまうと、「前向きな撤退」とはなりません。

今回のコラムでは、「前向きな撤退」を進める上で最大のポイントになる「解雇する従業員への対応」と「(従業員の解雇を行わざるを得ない)事業主に対する支援」について解説します。

1. 解雇する従業員に対して、会社としての支援を行うには、どのようなものがあるか。

民事再生は、会社を残して再建を図るものですが、事業収支の改善を図るために、従業員のリストラ(整理解雇)を行わざるをえないこともあります。また、自主廃業の場合は、会社を解散することになりますので、従業員全員を解雇しなければなりません。

会社としては、解雇する従業員が再就職できるように、できる限りの支援を行うことが必要です。具体的には、次のような対応が挙げられます。

(1)事業主や総務スタッフが、関係会社や親密な取引先に連絡し、解雇する従業員を受け入れてもらうようにお願いする。従業員を受け入れてもらえるようであれば、人数、職務内容および労働条件などを聞いて、解雇される従業員に紹介する。

(2)アウトプレースメント(再就職支援)を行っている会社に連絡して、解雇する従業員に対する就職先の紹介や再就職に向けた研修の実施などを依頼する。

(3)解雇の対象となる従業員に対して、なるべく早めに、解雇に至った事情や退職金の取扱いなどについて説明する。事業主や総務スタッフは、従業員との個別面談の機会を設けて、一人ひとりに解雇時の賃金、退職金などの取扱いを説明すると同時に、従業員からの要望や苦情などに耳を傾ける。

(4)従業員が、再就職先の面接を受ける場合、あるいは再就職に向けた研修などを受講する場合に、有給休暇を取得できるように配慮する。

民事再生の場合は、事業は継続されますので、解雇する従業員と会社に残る従業員との間で処遇のバランスをとることが重要です。解雇する従業員の処遇を良くしすぎると、会社に残そうとしていた従業員からも退職する者が出てきてしまい、再生計画を遂行することが困難になってしまいます。

一方、残る従業員の処遇が良すぎると、解雇する従業員が不満を持ち、大きなトラブルを引き起こす可能性が高くなります。解雇する従業員、会社に残る従業員の両方が納得できるような処遇を決めなければなりません。

また、自主廃業の場合も、会社の解散日よりも前に多くの従業員が退職すると、事業に支障をきたしてしまいます。ですから、従業員には再就職の準備をしてもらいつつ、解散日まで業務をしっかりと行うように、会社としてお願いすることが必要です。

2. 解雇する従業員に賃金や退職金を支払えない場合は、どうなるのか。

解雇する従業員に対して、会社は、会社の規定通りに賃金や退職金を支払わなければなりません。しかし、民事再生の場合、会社は倒産している(つまり、資金が不足している)状態にありますので、解雇する従業員に対して、賃金や退職金を十分に支払えないことも起こり得ます。

賃金や退職金の未払いが発生した場合、解雇された従業員は、独立行政法人労働者健康安全機構に未払い賃金の立替払を請求することができます。この請求が認められると、機構から、その者に対して未払いの賃金・退職金(原則として、未払賃金総額の80%)が支払われます。

ただし、これは、機構が賃金・退職金をとりあえず立替払いしているだけであって、会社は、これらの支払い義務を免除されたわけではありません。立替払いを行った後、機構は、管財人等に対して立替額の弁済を請求してきます。

つまり、会社からすれば、最終的には、解雇する従業員に対して賃金・退職金を絶対に支払うことになります。そうであれば、会社は、解雇する時点で、賃金・退職金をしっかりと支払っておいたほうが得策といえるでしょう。

3. ハローワークへの届け出と事業主への支援

民事再生や自主廃業に伴い、1か月以内に30人以上の退職者が発生することが見込まれる場合、その事業主は、「再就職援助計画」を作成してハローワークの認定を受けることが必要です。(なお、この計画は、退職者が30人未満の場合でも、任意で作成することが可能です。)

事業主が「再就職援助計画」の認定を受けた場合、一定の要件を満たせば、「労働移動支援助成金(再就職支援コース)」をもらうこともできます。この助成金は、事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる従業員に対する再就職支援を職業紹介事業者に委託する、求職活動のための休暇を付与する、あるいは再就職のための訓練を教育訓練施設などに委託するなどの対応を行う事業主に支給されるもので、支給対象者1人あたりの助成額(2020年4月1日現在)は、下表のとおりです。

このような事業主への支援を効果的に使えば、「前向きな撤退」を円滑に進めることができます。

【労働移動支援助成金(再就職支援コース)の支給額】

本コラムでは、これまで3回にわたり、民事再生や自主廃業などの「前向きな撤退」について説明してきました。

なお、民事再生の場合は、「再生計画」の中で業務合理化(システム化)が盛り込まれることが多く、また、自主廃業(会社売却・事業譲渡)の場合は、会社統合に関わるシステム整備の話が必ず出てきます。万が一の場合に備えて、現在の業務システムの見直しを進めておくことも必要となります。

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見直しポイント例

社会保険労務士 深瀬 勝範

Fフロンティア株式会社代表取締役。人事コンサルタント。社会保険労務士。
1962年神奈川県生まれ。一橋大学社会学部卒業後、大手電機メーカー、金融機関系コンサルティング会社などを経て、経営コンサルタントとして独立。
人事制度の設計、事業計画の策定などのコンサルティングを行うとともに執筆・講演活動など幅広く活躍中。

深瀬勝範

前向きな撤退の対応のポイントは…
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