電子帳簿保存法(電帳法)とは?メリットなどわかりやすく解説!2023年最新

2023年03月31日

カテゴリ:財務会計

電子帳簿保存法(以下、電帳法)とは、国税関係帳簿・書類を電子データによる保存を認めた法律で、1998年の税制改革の一環として制定されました。今回は、電帳法のメリットや対象の書類などを中心に、基本についてわかりやすくポイントをまとめて解説します。

INDEX

電帳法とは

電帳法とは、国税関係帳簿・書類を電子データによる保存を認めた法律で、1998年の税制改革の一環として制定されました。
電帳法の正式名称は、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」と言い、電子帳簿保存法、電帳法などと呼ばれます。

電帳法は、2005年にはe-文書法が施行され、それに伴ってスキャナ保存制度も導入されました。
その後、ITの進化とともに2015年、2016年、2020年には大幅に規制緩和されました。

さらに2022年1月には、原則紙で保存が義務付けられていた帳簿書類について一定の要件を満たすものは、電子データによる保存が可能となるよう電帳法が施行される予定でした。
しかし、2021年12月に公表された令和4年度税制改正大綱により、2022年1月から2年間は電子取引の保存要件を満たせないやむを得ない理由がある場合には、書面での保存を認められることになりました。

現在電子取引の情報を紙で出力し、書面で保存している場合は、2年間の猶予期間のうちに電子化へ向けた準備を始める必要があります。

電子保存できる3種類の書類

電子データで保存できるのは、帳簿、決算関係書類、取引関係書類の3種類の書類です。
3種類の書類のうち、自社で作成する帳簿と決算関係書類の電子データでの保存は、電磁的記録に限られています。

取引の証拠となる取引関係書類については、紙媒体で発行されたものでも、スキャナ取込みやスマートフォンで撮影した画像での保存も認可されています。スキャナ保存(電子データでの保存)を行う際には、真実性・可視性を確保する必要があります。

帳簿

帳簿とは、仕訳書、総勘定元帳、現金出納帳、売掛金元帳、買掛金元帳、固定資産台帳、売上帳などのことを指します。

決算書類のベースとなる帳簿は日々の取引を記録する日記帳のようなもので、会計ソフトで入力した帳簿を電子データとして保存することが可能です。
近年の会計システムはほぼ電帳法に対応しているため、電帳法導入のハードルは低くなり普及率も高まっています。
また、2020年分確定申告から青色申告特別控除の控除額が10万円下がり55万円になりますが、電帳法を導入することで、65万円のままの控除が受けられます。

※参照元:国税庁「はじめてみませんか?青色申告」

決算関係書類

決算関係書類は、「貸借対照表」、「損益計算書」、「棚卸表」、その他決算のために作成した書類などのことです。

決算は、日々の取引を入力した帳簿をもとに、決算月に1年間の業績を集計する手続きです。
決算関係書類も、電帳法の要件を満たした会計ソフトなどで入力し作成したものを電子データとして保存することで、紙媒体への印刷・保管が省略できます。

取引関係書類

取引関係書類は、見積書、注文書、契約書、請求書、領収証などの取引関係書類のことです。取引関係書類は、紙で発行・紙で受領するものが多く、2005年にスキャナ保存法が制定されるまでは紙での保存が原則でしたが、2015年にスキャナ保存法の要件が大きく緩和されました。領収書や契約書など、重要書類の金額規制や電子署名が不要になり、認定タイムスタンプを付すことで原本証明の役割を果たすようになりました。

さらに2016年には、スキャナ機器に関する規制が緩和され、スマートフォンやデジカメで撮影した領収書も電子保存が可能となりました。2022年の改正により、2024年1月1日以降、電子取引データはすべて電子データで保存が必要になります。紙での保存ができなくなりますので注意が必要です。対象となる電子取引データは、例えば以下のものがあります。

・電子メール
・クラウドサービス
・ペーパーレスFAX
・ホームページ
・カード

※参照元:国税庁「書類のスキャナ保存方法」
※参照元:国税庁「電子取引データの保存方法」

電帳法を導入するメリット

電帳法を導入するメリットを以下で解説していきます。

経費削減

帳簿や書類を電子データで保存することによって、コピー用紙、トナーやインク代、ファイル代などの経費が大幅に削減できます。
さらに、保存場所の確保やファイリング、対象書類を探し出すなどの手間や人件費なども削減できます。
ペーパーレス化が進む現代においては、保存年数の長い対象書類を電子保存することによって大幅な経費削減が可能です。

業務効率の向上

帳簿や書類などを電子化することによって、今まで手作業だったファイリングや書類整理の作業、紙の書類を受けとるまでの待機時間がなくなり、業務が効率化されます。また電子データの検索性が向上するため、会計監査や内部統制で領収書などを確認する際も、一枚一枚めくって探し出す作業もなくなります。
さらに、2016年の改正でデジカメやスマートフォン撮影にも対応できるようになり、いつでもどこでも領収書等を画像データとして取込むことが可能になりました。
ITの進化とともに、今後ますます業務効率の向上が期待されます。

書類保存の体制強化

帳簿や書類を電子データ化することによって、データのコピーやバックアップデータとして保存できます。紙で保存する場合、水害や火災などで書類を消失してしまえば元に戻すことができません。電子データは、バックアップデータを適切に管理していれば復旧することが可能です。

リモートワークがしやすくなる

電子データ化することにより、経理担当者が出勤してファイリングする手間がなくなります。また取引関係書類の電子データ化が進むことで、郵送で書類を送付する手間も少なくなり、書類のための出勤する頻度が減り、リモートワークが実現しやすくなります。

電帳法を導入するデメリット

電帳法を導入するデメリットを以下で解説していきます。

システム導入の時間・コストがかかる

システム導入にあたり、パソコン、スキャナ、新システムの導入コスト、運用していくための運用コストが掛かります。
新システムでの運用を行うため、社内ルールの変更など、新システムの導入にあたって準備やなれるまでの時間が必要になります。

電帳法の要件を把握するスタッフの育成

電帳法を導入するには、データ保存の要件等を満たしている必要があります。
電帳法の要件を把握しているスタッフ、システム運用するためある程度システム関連に知見があるスタッフの育成が必要になります。

システム障害のリスク

電子データを社内のサーバーやハードディスクで保管するため、サーバーやハードディスクの端末自体が破損してしまうと、データ復元が難しい場合があります。
またシステム障害が発生した場合には、復旧までに時間がかかることがあります。

定期的にデータのバックアップを取得するといった運用が必要になります。
また、ハッキングなどにより情報漏洩しないようセキュリティ上のリスクについても考慮し、十分な事前対策が必要になります。

上記のデメリットの中には導入初期に多く発生する事象も多くあるため、中長期的に考えれば電帳法を導入するメリットが多いと考えられます。

電帳法で経理業務の効率化はますます進む

電帳法によって、帳簿や書類を電子データ化し、手作業だった煩雑な経理業務の効率化を進めることで、生産性の向上、労務問題の解消に繋げることができます。

働き方改革によって、年次有給休暇の取得義務、残業時間の規制などさまざまな業務改善が必要となってきています。人材確保も困難になってきている現代において、電帳法を導入し、業務の効率化を図ることが企業には必須だといえます。WorkVisionのシステムを使えば業務の効率化ができます!詳しくは下記リンクをご覧ください。

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