テレワーク環境で目標管理を成功させるには?
お悩み4つと3つのコツをご紹介

2020年08月07日

カテゴリ:総務

新型コロナウイルスの影響で、各企業ではテレワーク中心の業務スタイルが増えつつあります。
ただ、「毎日会社に出社するスタイル」から「顔が見えないテレワーク」へ移行するにしたがって、「部下の目標管理が難しい」と悩みを抱える上司も少なくありません。

仕事の進め方に関しても「新しい常識」が求められる今の時代。テレワーク中心の業務スタイルに適した「目標設定のあり方」、そして個人と組織を成功に導くための「最善の目標管理方法」とはなんなのか、詳しく見ていきます。

INDEX

1. テレワークの時代に適した目標設定方法とは

テレワークが普及していくなかで、「部下が目標に向かって仕事をしているのか不安になる」など、部下の目標管理に不安を抱える上司が増えています。テレワークを「新しい常識」としていくための適切な目標管理とはどのようなものなのでしょうか。

テレワーク中心の業務においては、顔が見えないなかで部下一人ひとりの管理をするのがとても難しくなります。そのため、「個人の成長を的確に把握できる人事評価システム」と、個人目標の達成を組織目標に連動させるための「新しい目標設定の考え方」が必要になってきます。

トップダウン型からボトムアップ型目標設定へ

目標設定の方法は、大きく分けて「組織全体の目標を定めてから、その目標を個人に細分化していくトップダウン型」と、「組織に貢献できるような個人目標を、一人ひとりに考えさせるボトムアップ型」の2つがあります。

どちらの設定方法が正しい……といったことはなく、企業の業態や経営者の考え方でどのような目標設定をしてもかまいません。

ただ、上司と部下が直接会う機会が少ないテレワークにおいては、トップダウン型の目標を設定しても上司の熱意が部下に届かないことも多く、結果として「納得性のない目標を無駄に追いかける」といったことが発生してしまいます。

テレワークでの働き方が普及しつつある今、部下のモチベーションを保ちつつ個人の成長を組織の成長に直結させるためには、「組織の成長に自分がどのように関わるべきかを考えさせる」、つまり「ボトムアップ型目標設定への変革」が必要といえます。

テレワーク時代にこそ実施したい目標管理方法「MBO」とは?

さきほど目標設定方法には「トップダウン型とボトムアップ型がある」と述べました。これとは別に、目標管理の手法として主なものが3つあります。以下の表にそれぞれの手法の特徴を記載してみます。

上述の目標管理方法には、それぞれ一長一短があります。

ただ、さきほども触れたとおりテレワークにおいては、トップダウン型の目標設定ではなく部下が自分で個人目標を考える「ボトムアップ型目標設定」のほうが向いています。

目標を立てる「目的」を見直すことも重要

ほとんどの企業では「企業の業績目標」が立てられ、その目標と連動するように「個人目標」が設定されます。この目標設定方法であれば、個人の目標達成が企業の目標達成につながります。

しかしながら、実際、多くの企業では個人目標の達成が企業の成長につながらないケースが見られます。これは、現状、個人目標の達成が「給与に反映するためだけ」に用いられていることが多く、個人が企業の業績と連動しない達成可能な目標を設定する傾向にあることが原因です。

個人目標を定める目的は、もちろん個人の人事評価のためでもあります。ですが、目標設定の本来の目的は「企業の成長に寄与させる」ことです。

テレワークに移行するタイミングで「なぜ目標設定をするのか?」といった本質的な部分を考えなおしてみることも必要かもしれません。

2. テレワーク心の職場が抱える目標管理の悩みと解決策

ボトムアップ型の目標設定やMBOのメリットなどを理解し、適正な目標設定をしたあとは「日々の目標管理」がとても重要になってきます。

せっかく価値ある目標を設定しても日々の目標管理が曖昧になっていては、個人の成長はおろか個人の目標達成が企業の成長につながることはありません。
ただ、日常的に顔が見えないテレワークのなかで、上司も部下も納得のうえで適正な目標管理を続けていくのは、とても難しいのが現状です。

ここからは、テレワーク中の目標管理の悩みと、その解決策について具体的なケースを見ていきます。

上司の悩み①複雑な管理システムで目標管理の本質を見失っている

せっかく素晴らしい目標を立てたのに、「人事評価システムの操作方法を覚えるだけで精一杯」など、複雑な人事評価システムに悩みを抱えている管理者も多くいます。

大手人材コンサルティング会社のパーソルキャリア株式会社が実施した「目標に関する意識調査」では、調査対象の管理職のうち「部下の個人目標をきちんと理解している」と回答できたのは、全体のわずか「17.3%」でした。
部下の目標を把握できない理由はさまざまですが、「複雑な人事評価システム」が部下の目標進捗を把握する妨げになっている例もあります。

ややこしいシステムを導入してしまうと、上司も部下も「入力するだけ」で満足してしまい、結果として「目標管理の本質を見失う」という事態に陥ります。

目標管理を意味のあるものにするためには、だれでも直感的に操作できる「簡単でわかりやすい」システムの導入が必要です。

参考:パーソルキャリア株式会社「1,200名のビジネスパーソン対象「目標」に関する調査」

・調査期間:2019年11月13日~2019年11月15日
・調査対象:会社の人事制度の一環として、
 ①部下の目標設定に関わっている管理職 600名
 ②目標設定を行っている一般社員 600名

<管理職> 部下の「個人目標」を「きちんと理解している」と回答したのは、わずか2割(17.3%)

引用元:パーソルキャリア株式会社「1,200名のビジネスパーソン対象「目標」に関する調査」

上司の悩み②リアルタイムで部下の進捗がわからない

また、上述のアンケートとは別に2016年に「日本CHO協会」が実施したアンケートでは、調査対象の約70%の人が、目標管理面で「上司と部下との話し合いがあまりなされていない」と回答しています。

前述した「MBO」の考え方のもとで策定された目標を成果に結びつけるためには、目標の進捗度合いに関する情報を「リアルタイムで上司と部下が共有すること」が大切です。

とくにテレワークでは、普段コミュニケーションをとれない上司と部下がさらに疎遠になることが想定されます。普段顔を合わせる機会が少ない分、Webツールなどを活用して進捗状況を頻繁に部下へフィードバックすることが理想です。

参考:日本CHO協会実施 目標管理(MBO)に関する実態・課題に関するアンケート

◆「目標管理(MBO)」に関する課題として、あてはまるものはあるか(複数回答)

引用元:日本CHO協会
引用元:目標管理(MBO)に関する実態・課題に関するアンケート(PDF)

部下の悩み①会社への自分の貢献度がわからない

さきほどの3つの目標管理手法を紹介した表でも簡単に触れた、ドラッカーが提唱しているMBOでは、目標管理の重要なポイントは「自己管理」であるとされています。目標管理を成功させるためには、部下は会社や上司から言われた目標だけを日々こなすのではなく、自ら策定した目標を自己管理し、上司から「貢献度のフィードバック」を受けることで、自分の成果を自己評価できる仕組みが大切です。

しかし、現実は「自分の貢献度がわからない」と悩みを抱える部下が多いのも事実です。

個人目標を組織全体に寄与させるためには、1年に1~2回の人事評価面談ではなく、少なくとも1ヶ月に1回は目標管理面談を実施し、上司からフィードバックをすることが必要です。

部下の悩み②評価のタイミングが遅いため軌道修正できない

年に1~2回の評価ではなく、「頻繁に貢献度のフィードバックを受けるほうがいい」というのは、「組織の業績への貢献度を確認できる」という点以外にもメリットがあります。

それは「目標の達成度合いに応じて期中に軌道修正ができる」という点です。

毎月貢献度のフィードバックをすることで、部下自身の進捗が悪ければ指導もできます。 また、状況によっては「事業の方向性が変わった」など、目標設定そのものを期中に修正する必要も出てくるかもしれません。

何度も申し上げますが、目標管理は「組織全体の業績向上」という成果に結びつけてこそ成功といえます。常に適正な目標設定ができるよう、なるべく頻繁に進捗管理をするように心がけたいものです。

3. ボトムアップ型目標設定でMBOを成功させる3つのコツ

ここまでで、テレワークにおける目標管理のあり方や日々の悩み、そしてその解決策などをいくつかご紹介しました。

ここで具体的な事例を交えながら、ボトムアップ型の目標設定を成果に結びつけるためにはどのようなコツがあるのか、「目標管理の3つのコツ」についてご紹介します。

報酬に反映するためだけの運用はしない

MBOの考え方をもとに目標設定をした日本企業のなかには、目標管理を「個人の報酬に反映するためだけ」に運用しているケースが散見されます。

たしかに、個人の達成度合いを給与に反映すること自体は必要かもしれません。
しかし、個人の給与査定だけにフォーカスを当てすぎると、達成可能な簡単な目標ばかりを設定する「点数稼ぎ」の部下が増え、結果として個人目標の達成が企業の業績向上につながらないケースが発生することがあります。

意義のある目標管理をおこなうためには、個人の給与査定だけに注目するのではなく、常に「組織の業績にどれだけ貢献したか」ということに焦点をあてるべきです。そのためには、業績貢献度を数値化できるような、わかりやすい人事評価システムの導入も検討してみましょう。

目標達成の状況を部署やチームで共有する

個人が目標を適正に設定している場合、個人が目標を達成することはチームや部署の業績達成にもつながり、ひいては企業の業績向上にもつながります。個人の目標はチームや部署のメンバーと連動していることが多いため、目標管理では個人個人が自分の達成度合いだけを自己管理するのではなく、少なくとも同じ部署やチームのメンバー全員が進捗度合いを共有することが大切です。

  • 全社目標に対し自部署が掲げた目標の進捗はどうか?
  • 同じ部署のメンバー全員の個人目標達成は、組織全体の目標達成にどのように貢献しているか?

前述のような進捗度合いを数値化しメンバー全員で共有することで、全員が同じ方向に向って目標に取り組むことが可能になります。

ある企業では、節目節目の目標管理には後述する人事評価シートDXを使い、日々の進捗確認やコミュニケーションにはMicrosoftの「Teams」を活用しています。日々の運用は以下のとおりです。

◆日々の運用

  • Teamsに自部署のチャネルを作成し、上司が毎朝進捗報告用のスレッドを投稿
  • 始業時には部署メンバー全員が各自の「今日の予定」を返信
  • 終業時も部署メンバー全員が進捗報告を箇条書きで返信
  • 個人の達成度合いや部署への貢献度合いを数値化し、毎月人事評価シートDXへ反映
  • 人事評価シートDXで目標達成度合いを見ながら、毎月上司と面談を実施

◆効果

  • 日々の進捗状況を共有することで遅延等に対応できる
  • 偏りがちな業務負荷も適宜分散でき、各自がより良いパフォーマンスで部署の業績へ貢献できる
  • 日々の進捗状況を上司が把握しているため、毎月の面談で、的確なフィードバックや状況に応じた目標の見直しを実施できる

上述のとおり、たとえ顔が見えないテレワークの業務であっても、有効なWebツールを使うことで、簡単に全員が同じ目標に向かって業務を遂行していくことが可能になります。

単純明快でわかりやすい人事評価システムを利用する

この点はさきほども触れましたが、目標管理を日々のルーチンワークにするためには「とにかくわかりやすい管理システム」の導入が必要です。

だれでもわかりやすく簡単に目標管理をおこなうには、普段から使い慣れている「Excel」などを利用した、直感的でわかりやすいシステムの導入を推奨します。

4. テレワークでぜひ利用したい目標管理システム

今回の記事でお伝えした内容をふまえ、最後に「テレワークでも使えるおすすめの人事評価システム」をご紹介します。

テレワークに移行している企業が増えているなか、適切な目標管理をおこなうには「わかりやすい」そして「フィードバックが簡単にできる」といった点に重きをおいた人事評価システムが最適です。

人事評価シートDX

人事評価シートDXは、目標管理に特化したシステムで目標管理以外の機能をできるだけ省き、「直感的でわかりやすい」といった部分に特化した人事評価システムです。 クラウドのWebサービスのため、現在使用しているPCへのインストールは不要で、そのまま使用できるシステムです。

■直感的でわかりやすいシステム

人事評価シートDXの操作は、普段使い慣れている「Excelベース」です。そのため導入後すぐに使いこなすことが可能で、操作説明をする必要もほとんどありません。
また、評価結果をCSVデータとしてエクスポートできるので、人事管理のデータ分析にも活用できます。

■目標に関する質問が簡単にできる(コメント機能)

目標管理を成果に結びつけるためには、「毎月の評価面談」そして「上司からの的確なフィードバック」が大切なポイントです。

人事評価シートDXには、部下が自分の目標や評価について簡単に質問できるコメント機能が装備されています。また、上司の空き時間を見ながら部下が自由に面談時間を設定できる「面談予定表機能」も搭載されています。

いずれも簡単でわかりやすく、テレワークにおいてもコミュニケーションを阻害することはありません。

■添付機能搭載で個人目標の達成度の説明がしやすい

人事評価シートDXは、部下の申請時に利用できる「添付機能」がついています。

部署やチームの目標に対し「自分の貢献度はどれくらいなのか?」「改善するポイントはなんなのか?」といったことを自ら考えさせ、目標管理シートとは別に申請時に補足資料を添付させることで、まさに「自己管理」を促す目標管理を実現することが可能になります。

5. まとめ

これからの時代、「会社に出勤せずに求められた業務を遂行し、かつ個人目標と組織全体の目標を達成する」ことは、「新しい常識」となりつつあります。

「コミュニケーションがとれないから出社を求める」、「直接面談ができないからテレワーク中の目標管理は難しい」など、言い訳は通用しません。

今回ご紹介した目標管理のコツや、おすすめのシステムなども検討し、目標管理の面でも「ニューノーマルを創り出すこと」が急務といえますね。

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