2017年10月10日
カテゴリ:オピニオン
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企業のマーケティングにおいて存在感を増す「Instagram(インスタグラム)」。その背景には、Instagramを利用する人が好意的な動機で画像を投稿するという特徴があげられる。
Instagramは、他のソーシャルメディアであるTwitterやFacebookとは少し異なる思想で設計されている。TwitterやFacebookは、外部のキャンペーンやニュースも歓迎し、面白いものを拡散して広めていくことができる。しかし、Instagramは、外部リンク設置は投稿者のプロフィールページ内に限定されていたり、TwitterやFacebookでのリツイートやシェア機能のような、Instagram内で拡散する仕組みが提供されていない。さらに、キャンペーンページからInstagramにハッシュタグ投稿させるような仕組みも許可されていない。これらは企業のキャンペーン設計の難しさにもつながっている。
それでも利用を検討する企業が後を絶たないのは、Instagramが利用者の体験を通じた投稿を大切にしているからである。Instagramの利用者は自分の気になるものをハッシュタグという機能を用いて、知りたい情報を検索する文化が出来上がっていることも注目を集める要因の一つである。そこにはアンケートなどの恣意的な手段では収集できない生活者の生のニーズがあるからだ。
利用者のプライベートシーンへのアプローチに注目されがちなInstagramだが、他のSNSとは違う特性を活かし、当社でも活用できるのではないかと考えている。
Instagramが活きる使い方
企業がInstagramを活用する場合、どのような目的に対し、どのような手法を採用するべきなのか。
新しい商品やサービスなどを知ってもらうためには「運用型」での活用がよい。一定期間継続して運用することで、サービスや商品を体験してもらい、ファンになってもらう。販促活動として効果がある。
一方、利用シーンや支持要因を知りたい場合は「インサイト抽出型」での活用が適している。Instagramには利用者本人が撮影した画像が集まる。その投稿から、重要な消費傾向や、意外な気づき、インサイトを抽出できることが多いからである。
投稿促進の仕掛け
どのSNSもそうだが、Instagramもネタを発信し続けることが欠かせない。思い立って新製品の告知アカウントを立ち上げても、製品のパッケージ、出荷の様子、お店の様子を投稿しただけで投稿する画像コンテンツがなくなってしまう、ということがよくある。
アカウント運用は無料で利用できるため、中小企業の強い味方という印象がある。しかし、その多くは小売・セレクトショップである。メーカーの場合、毎月新製品を出したり、キャンペーンを定期的に実施している、ある程度規模の大きな企業のほうが向いている。
ハッシュタグをつけ、ユーザを巻き込んで投稿を呼びかけるキャンペーンも次第にポピュラーな方法となっている。これも投稿促進の仕掛けをあらかじめ設計しておく必要がある。いわゆる「インスタ映え」する店頭POPを用意する、インフルエンサーとなるタレントを活用するなど、徹底した告知導線を設計し、キャンペーンの接触者を増やす。インセンティブを魅力的にして、参加率を高めていくのである。
TwitterやFacebookがニュースなどの情報に対して反応する利用者が多い一方、Instagramでは利用者が商品を購入したり、サービスを経験した上で写真を投稿している、という点を企業はよく理解してマーケティング活動に利用していくことが大切である。
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