2020年10月29日
カテゴリ:販売管理
過剰在庫とは
需要以上の在庫を保有している状態を、「過剰在庫」といいます。卸売業や製造業にとって、在庫は商売のために必要不可欠な資本です。しかし、短納期への対応や、品切れによる機会損失を恐れて必要以上の在庫を保有することは、企業にさまざまなリスクをもたらす恐れがあります。今回は過剰在庫の4つのリスクと、2つの削減方法を紹介していきます。
過剰在庫が発生する原因
過剰在庫が発生する原因は、適正な在庫量の把握や需要の予測ができていないことが挙げられます。
商品が売れる数は、販促活動や流行、季節、メディアへの露出など様々な要因によって変動します。仕入れ時に適正な在庫の読み違いをした場合や、需要の変化に応じた価格設定ができていないことで過剰在庫が発生してしまいます。
過剰在庫のリスク4つ
現場の方が一番に思いつく過剰在庫のデメリットとしては、在庫商品の質が落ちたり、倉庫があふれて仕事の効率が悪くなったりすることが挙げられます。また、過剰在庫は会社を経営するうえでもさまざまなリスクをもたらします。過剰在庫の4つのリスクを、分かりやすく紹介していきます。
過剰在庫のリスク1:品質が劣化する
商品の品質は、当然のことながら時間が経つごとに劣化していきます。たとえばスーパーや食品メーカーで、賞味期限の過ぎた食品は廃棄しなくてはなりません。そのため品質の劣化した商品は、廃棄を防ぐために値下げ販売をして売り切るのが基本です。しかしその場合、見込んだ売上や利益は得られず、投入した元本も回収できないことがほとんどです。これによって、過剰在庫はマイナス経営を招くことになります。
過剰在庫のリスク2:管理費用がかさみ収益性が悪化する
過剰在庫が発生することで、在庫管理にかかる費用が増加し、収益性が悪化する可能性があります。多くの売れない商品在庫を倉庫に抱えている状況は、売り上げが好調な商品のストックスペースを圧迫することにもなります。
倉庫が広い場合でも、過剰に抱えた在庫商品を値下げ販売する際の作業や、最終的に廃棄する作業の人件費、商品を移動させる場合の運送費なども過剰在庫によるコストです。
過剰在庫のリスク3:企業のキャッシュフローが悪化する
在庫とは、会社の資本を「物品」というかたちに変えたものです。資本であるなら無駄ではないと考える人もいるかもしれません。しかし、在庫というかたちに資本を固定化することは、自由に使える資本が減ることを意味します。資本は流動性の高い「現金」として保有することで、投資や運用に回すことができます。
また不良在庫化してしまえば、利益を得ることはできません。その場合、コストや金利だけ発生することになります。とくに粗利率の低い商品の過剰在庫は企業のキャッシュフローを悪化させ、黒字倒産を招きかねません。
過剰在庫のリスク4:商品が陳腐化する
大量に在庫にした商品は、売れ時が過ぎると商品価値が低下してしまいます。これを「商品の陳腐化」といいます。また、景気がいいときに大量に仕入れて、不景気になって売れなくなったものも、陳腐化した商品に含まれます。陳腐化した商品は、品質が劣化した商品と同様に、値下げ販売しなくてはなりません。これでは投入した元金を回収できず、損失を発生させることになります。
過剰在庫の削減方法2つ
過剰在庫を減らすためにはどうしたら良いのでしょうか。問題を解決するためには、原因や理由を探ることが重要です。過剰在庫は、自分たちで分析してもなかなか解消されず、多くの企業が悩んでいる問題でもあります。ここからは、過剰在庫の対策方法を2つ紹介していきます。
過剰在庫の削減方法1:数字と実態のギャップの調整
過剰在庫の削減方法の一つに、必要以上に商品を仕入れたり生産したりしないことがあります。しかし適正な在庫量を計算して、その計算通りに商品を仕入れても、過剰在庫が発生してしまうことは珍しくありません。この現象は、理論数字と実態にギャップがあるために起こります。商品の性質によって在庫回転率や在庫回転期間は異なりますし、需要量を読み間違えていた、ということもあるでしょう。
在庫における数字と実態のギャップ調整に役立つのが、販売管理システムです。在庫を見える化(可視化)し、過剰在庫をチェックする指標を分析するだけでなく、製造業ではトレーサビリティ(いつ、誰が商品を作ったのかの追跡を可能にすること)の向上にも役立ちます。
過剰在庫の削減方法2:売れない商品を把握する
過剰在庫の削減には、売れない商品を把握することが重要です。売り上げを伸ばすために、売れる商品を把握することはどこの企業でもやっていることですが、売れない商品を分析し、その在庫を削減することも、利益の確保において重要です。
こちらも販売管理システムを用いることで、過剰在庫になりやすい商品や種類の傾向を見える化(可視化)できます。在庫に関するデータを分析し、製販会議などを経て正確な需要予測や仕入計画を立てられるようになれば、反対に需要のない商品を導きだすことも可能です。
過剰在庫になりやすい商品4種
販売管理をするうえで、過剰在庫になりやすい商品があります。そういった商品は、仕入れの数に対する販売後の売り上げの動向を注視しましょう。バイヤーと販売部門が異なる場合は、バイヤーの意図が販売側に伝わるようにする必要があります。
サイズが特殊な商品
商品のサイズが極端に大きすぎたり小さすぎるといった特殊なものは一般的に需要が少なく、過剰在庫になりやすい商品です。
特殊サイズの商品は目立つため、注目されることもあるものの購入には繋がりにくい傾向にあります。複数のサイズ展開がある商品は、需要が高いと思われるサイズを予測し、仕入れ量を調整しましょう。
なお、どのような商品も定番サイズの需要が高い傾向にあります。
カラー展開が多い商品
カラー展開が多い商品は、人気のない色が過剰在庫になりやすく、とくに(商品の種類にもよりますが)奇抜なカラーはその傾向にあるため、予め仕入れの数を調整しておきましょう。
特に高額な商品や身に付けるような商品の場合、消費者が気に入ったカラーでなければ購入に繋がりにくいため、商品の特性やターゲットとする消費者の特徴に沿ったカラー展開と仕入れ数を調整する視点も大切です。
強力な競合商品がある
比較対象となる競合商品に自社商品が価格や性能で劣っている場合、売り上げに繋がらず過剰在庫となってしまいます。
適正在庫や需要をしっかり予測していたとしても、競合調査が足りないことで過剰在庫を抱えてしまうこともあるため、念入りに事前調査を行い、競争優位となる商品の開発や、価格の見直しを検討する必要があります。
季節が限定される商品
季節が限定される商品は、シーズンで売り切れる以上の仕入れをしてしまうことで過剰在庫となります。
翌年まで保管可能な商品でも、トレンドの変化や商品の劣化により販売コストが売り上げよりも高くなってしまうことが考えられます。もちろん、人件費をはじめ保管にかかる費用もあるため、季節商品は仕入れ年度に完売できるように計画する必要があります。
過剰在庫のリスクを把握しよう
過剰在庫は、さまざまなリスクを企業にもたらします。しかし在庫を減らしすぎて欠品を招いてはいけませんし、大量仕入れによる値引きも考えなくてはなりません。常に自社の適正在庫を把握しておくことが大切です。利益の創出には、販売管理システムを用いた在庫の把握と分析が必要不可欠です。WorkVisionのシステムを使えば業務の効率化ができます。詳しくは下記リンクをご覧ください。
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