2020年10月23日
カテゴリ:財務会計
注文請書とは
注文請書とは、取引が行われる際に受注者が発注者に渡す書面のことで、依頼を引き受けた証明となります。
注文請書は、民法や商法などで発行が義務付けられている文書ではありませんが、発行する際に契約内容を明記することで、後のトラブルを回避する上で大切な役割を果たします。
注文書との違い
注文書と注文請書の違いは、書面の発行者が発注者(仕事を依頼する人)か受注者(仕事を引き受ける人)かによって判断できます。
注文書は、発注をした側が作成し発行する文書で、仕事を依頼する意思を文書で明示する役割があります。
一方で注文請書は受注した側が作成し発行することで、発注された業務内容を許諾して仕事を引き受けることを文書化して明示する役割があります。
注文請書の書き方
注文請書に記載する内容は、取引日、取引金額や個数などの注文内容、発注者と受注者の情報や納期と納品方法、支払条件などです。
取引日や注文内容は注文書と同じです。発注者の書き方は名称だけで他の情報を省略できますが、受注者は責任を明確にするために名前や会社名などの名称や住所、電話番号も記載します。
インターネットで「注文請書テンプレート」「注文請書雛形」を検索して自社用に作成するケースも多いようです。
収入印紙に関する重要事項
契約の成立を証明する注文請書は、印紙税法上の「契約書」となり、収入印紙を購入して添付する必要があります。
収入印紙が必要かどうかは、「印紙税法基本通達」で定められる「課税文書」に該当するかで判断されます。
契約に関わる書面か否かは記載内容で判断し、契約書面が複数発行された場合、その内容が同じでも全ての書面が課税対象となります。
注文請書は「課税文書」となります。そのため、基本的には収入印紙を購入する必要がありますが、収入印紙の購入が必要になるのは契約金額が一定額以上になる場合に限られます。
収入印紙に関する重要事項1:取引金額が1万円以上
注文請書に記載されている取引金額が1万円以上の場合は「課税文書」となり、収入印紙の購入が義務付けられます。
取引金額は、注文請書上で消費税額が明示されている場合は、消費税の金額が取引金額に含まれません。
収入印紙に関する重要事項2:必要なときの収入印紙額
取引金額が1万円以上の契約請書に添付する収入印紙は、契約金額によって以下のように変動します。注文請書上に記載されている契約金額が大きくなるに連れて、購入する収入印紙の額も大きくなります。
収入印紙に関する重要事項3:注文請書の収入印紙はどちらが請負うべき?
課税文書の作成者が印紙代を負担する場合、受注者が印紙代を負担することになります。他方で、契約書によって契約を締結した場合には、契約書を2部作成して双方当事者が印紙税を負担することが多いことに鑑みると、注文請書の場合にも双方当事者で印紙代を折半し、公平に負担するという方法もあります。
一方的な負担は長期的な取引ができなくなる原因にもなり得るため、収入印紙が不要な電子書面を利用するなど、両者で取り決めておくことが大切です。
注文請書に収入印紙が不要な場合
受注件数が多い会社では、収入印紙の額だけでも大きな負担になります。注文請書の現物を取引先に交付しない限りは、収入印紙は不要です。
前述した電子書面など、注文請書の発行方法によっては収入印紙を購入しなくてもよい場合があります。以下で、収入印紙を貼らなくてもよい場合を3つ紹介します。
収入印紙が不要な場合1: 注文請書をFAXで送信
1つ目の収入印紙が不要になるパターンは、注文請書をFAXで送ったときです。
郵送や発注者に直接手渡しする場合は「課税文書」となりますので収入印紙が必要ですが、FAXで発注者に向けて送信された注文請書は、課税文書となりません。
収入印紙が不要な場合2: 電子メールで送信
2つ目の収入印紙が不要になるパターンは、電子メールで送信したときです。電子メールで送信する場合も、FAXによる送信と同様に、注文請書の現物を発注者に交付しているわけではありませんので、収入印紙は不要となります。
現在は多くの企業間取引が、PDF化した注文請書をメールで送信しているため、収入印紙が必要になるケースは少なくなっています。
収入印紙が不要な場合3: 電子契約サービスを利用
収入印紙が不要になる3つ目のパターンは、電子契約サービスのクラウドサインを利用することです。注文請書をクラウド上にアップロードし、相手方が合意ボタンを押すだけで契約を締結することが可能です。
書類の送付、回収といった付帯作業から解放され、更に収入印紙を貼付する必要がなく、コスト削減が見込めます。
注文請書の注意点
注文請書は発行が義務付けられている文書ではありませんが、契約後のトラブル回避のために発行しておくべきです。
注文請書には「発注内容・支払い方法・契約金額・納期・発注者の氏名や事業者名・受注者の氏名や事業者名」などを明記するため、発行した方が後々のトラブルを未然に防ぐことができます。
また、注文請書は受注者が作成する必要はなく、契約者間の合意があれば発注者が作成し、受注者が記載内容を確認・押印などをする形でも問題ありません。
注文請書について理解しよう
注文請書は交付の方法によって収入印紙の必要性が変わり、記載される契約金額によって収入印紙の金額が変わることを紹介しました。
現在多くの企業が、PDFを添付したメールで契約書のやり取りを行っていますので、基本的には収入印紙の購入は不要となっていますが、注文請書の現物を交付する場合は必要となることも覚えておきましょう。
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