2020年11月06日
カテゴリ:財務会計
受領書とは
受領書とは、納品が完了したことを証明する書類です。発注者が商品を受け取った際に、必要事項を記載したうえで受注者に提出します。
受領書が必要な理由は、トラブルによって納品物が届かないケースがあるためです。仮に発注者と受注者に心当たりがない場合は、責任を巡って対立関係が生じかねません。
そのような際に、受領したことを示す書類があれば、責任の所在をはっきりとさせることができ、お互いに不信感を抱かずに済みます。したがって、受領書は商品取引を滞りなく行うために不可欠な書類といえるでしょう。
ただし、商品取引で使用される書類は受領書だけではなく、領収書や納品書などもあります。まず、受領書との違いについて解説します。
領収書や納品書とはどのように違うのか?
発注先が商品や荷物の受け取りを行った場合、対価として相当する金額を入金しなければなりません。その際に受注先が入金したことを示す書類を領収書といいます。
受注者が入金を確認したのち領収書を発行するため、納品ではなく入金の完了を示す点が受領書との違いです。
そのほか、商品の取引に登場する書類として納品書もあります。納品書は納品された商品に関する詳細を確認するための書類です。具体的には納品日、商品名、数量、金額などが記載されています。納品が完了したことを示す書類ではない点が受領書との違いです。
受領書の重要事項4つ
記載漏れや数値・名称の誤字など、受領書の内容を正確に記載することに目が行ってしまいがちですが、そのほかにも重要なことがあります。
受領書の重要事項は、発行のタイミング、サイン、印紙、保管期間などです。いずれも認識の間違いによってトラブルを発生させる要因となります。ここからは、それぞれの重要性について詳細をご説明します。
受領書の重要事項1:発行のタイミング
発注先が納品物を受け取ったタイミングで受注者に発行します。
発行期限は定まっていませんが、納品を確認したのち、可能な限り早く提出してください。また、注文を受けた側が、納品する際にあわせて返送用の受領書を同封することもあります。
業界によっては受領書が発行されないケースもありますので注意しましょう。お互い認識のずれがないように、事前に発行の有無を確認することが大切です。
受領書の重要事項2:サイン・印鑑が必要
受領書にはサインや印鑑が必要ですが、義務ではないため、認識にずれが生じるケースもあります。
例えば、受領した人が印鑑を持ち合わせていない場合、受領書にサインをしてもらって対応する方もいますが、経理では印鑑がないときは拇印を義務付け、サインだけの受領書を受け付けていない場合もあります。
受領書の重要事項3:金銭のやり取りでは印紙が必要
印紙とは、税金の支払いを証明する紙片で、国によって発行されています。使われ方の見直しも検討されていますが、現時点(2020年)では、作成した書類が金銭のやり取りに関係する場合に必要です。
受領書も金銭の受け渡しに関わる文書となりますので、領収書と同様に印紙が求められます。
印紙を貼り付ける際には、必ず印鑑で割印を押しましょう。割印がないと印紙の効力が無効になり、税務調査で指摘を受ける恐れがあります。なお、電子契約サービス(クラウドサイン)を利用できる場合は、印紙は不要となります。
受領書の重要事項4:保管期間
取引の証拠になる書類は信憑書類と呼ばれ、受領書もその一種です。税務調査などに対応できるよう経理部で一定期間保管しなくてはなりません。
受領書の保管期間は原則7年です。税務調査があった場合にスムーズに取り出せるよう、あらかじめ保管場所を定めておきましょう。
受領書の書き方
受領日には受領した日付を、宛先には取引先の所在地や企業名を記載します。また、商品については商品名、数量、単価の項目にそれぞれを記載します。
一つでも欠けると納品物の内容が不明確になりますので記入漏れがないようにしましょう。消費税額については、合計額と商品の単価のどちらに加算するのか企業方針によって変わります。社内規約に従うようにしてください。
企業ごとに使用しない項目や記載できない項目もありますので、事前確認が大切です。
テンプレートを参考にする
受領書の書き方に困ったときには、テンプレートを参考にすると書き間違いや漏れを防げます。
インターネットを使って「受領書テンプレート」や「受領書ひな形」などで検索すると、WordやExcelで作成したテンプレートが多数あります。
企業ごとに確認事項を当てはめて、自社のテンプレートに作り直すことも可能です。
受領書の注意点
受領書を正確に作成したあとにも注意すべき点があります。受領書を返送する際に敬称を間違えてしまうと、取引先に不快な思いをさせてしまいます。
ここからは、受領書を返送するときの敬称に関わる注意点について解説していきます。受領書を返送する前に一度ご確認ください。
受領書の注意点:返送するときの敬称
受領書の宛名は自社になっていますので、氏名や役職名に様や殿などが追記されています。返送する際は様や殿を二重線で隠し、もし取引先の返信用封筒で送る場合は封筒にある取引先の企業名に御中を書き加えます。
企業名でなく担当者名が記載されている場合は、御中ではなく様を追記しましょう。受領書の数が多い場合は、「様」「御中」などに対応するゴム印などの使用が便利です。
送付状を書くときのポイント
次に、受注者が発注者へ商品を納品する際に添える送付状について紹介します。 送付状は、挨拶や注文に対する御礼と納品書を送付していることを伝えると共に、検品や確認時に不備があった場合の連絡を依頼するためのものです。
納品書を兼ねている場合は納品内容を記載し、納品書を別で作成している場合は、「別紙の通り」などと納品内容を省略します。
メールや郵送でも同じ書式で対応できますので、テンプレートを作成しておくと便利です。また、不備が見つかった場合の連絡先を添えると、より丁寧になります。
送付状の具体例
送付状の具体例をご紹介します。
「拝啓 貴社益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。この度は弊社〇〇〇をご注文いただき、誠にありがとうございます。ご注文の商品を納品させていただきますので、ご査収のほど宜しくお願い申し上げます。
納品させていただきました〇〇〇や納品書に不備などございましたら、誠に恐れ入りますが、ご連絡くださいますようお願い申し上げます。敬具」
「拝啓」と「敬具」はセットで使用し、季節の挨拶ではなく、取引先の繁栄を祝う挨拶がマナーです。
受領書を正しく記入しよう!
受領書は納品が完了したことを確認した書類で、領収書や納品書と異なり発注先が受注者に対して発行します。
受領書の書き方がわからないときは、テンプレートなどを参考にすると便利です。記入漏れがないように注意し、印鑑や必要があれば印紙を貼って作成しましょう。また、保存期間にも注意が必要です。
ビジネスでのトラブルを回避するために、受領書を正しく記入しましょう。
受領書を効率的に管理するには
さて、受領書の管理には手間がかかることがあるかもしれません。その際は、WorkVisionにご相談ください。紙の電子化(スキャニング・OCR)など、業務効率化をご提案しています。
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