2020年07月28日
カテゴリ:財務会計
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損益計算書(P/L)とは?
損益計算書(P/L)とは、会社が一会計期間でどれほどの利益をあげられたのかを示す財務諸表の1つです。英語のprofit and loss statementからP/Lと表記されることもあります。
損益計算書では、一会計期間の経営においてプラス(収益)とマイナス(損失)がどれくらいあったかを比較し、結果としてどれくらい儲かったのか、あるいは損をしたのかを示します。会社の経営成績を表す重要な書類です。
損益計算書(P/L)と貸借対照表(B/S)の関係性について
貸借対照表とは、会社の資産と負債についてまとめた表です。損益計算書で経営がうまくいっているかを把握し、貸借対照表で経営が健全に保たれているかを確認することができます。
たとえば利益が多く出ていれば、儲かった分を内部留保に回すことが可能となります。内部留保が充実すれば貸借対照表では自己資本比率が高まり、財務状況がよくなります。このように損益計算書と貸借対照表は相互に関係しています。
損益計算書(P/L)の利益区分5つ
損益計算書の利益区分は、売上総利益、営業利益、経常利益、税引前当期純利益、当期純利益の5つです。
収益と利益の違いは、売上か、そこから費用を引いたものかです。収益とは、販売やサービスで会社が得たお金のことです。利益とは、収益から販売などに要した費用を引いたものです。
利益には様々な種類がありますが、どれも会社の経営成績を知る上では重要なものです。損益計算書の5つの利益について、詳しく説明していきます。
損益計算書の利益区分1:売上総利益
売上総利益とは、商品の原価に対してどれほど利益を上乗せして売り上げたかを表した利益のことです。
売上総利益は、売上高から売上原価を引いて求めることができます。なお売上総利益に含める売上高は、会社の本業による売上のみです。そのため、売上総利益を見れば企業が本業でどれくらい儲かっているのかを知ることができます。
売上高
売上高とは、商品の販売代金や何らかのサービスに対する代金といった企業の収入部分のことです。
企業によっては本業以外にも収入を得る手段をもっている場合がありますが、売上高は企業の本業で稼いだ収入となります。企業の経営状況を見るときは、売上高だけでなく売上原価との関係性も見なくてはいけません。
売上原価
売上原価とは、商品やサービスを販売したり提供したりするためにかかった費用のことです。
たとえば物の販売であれば、販売する商品を仕入れたり製造したりするためにかかったコストです。具体的な物がない接客や介護などサービスの提供であれば、そのサービスを提供するために必要な人件費が売上原価となります。
売上原価が高いと、売上高が高くてもトータルの利益は小さくなってしまいます。
損益計算書の利益区分2:営業利益
営業利益とは、売上総利益から販売費や一般管理費などを引いて求められる利益のことです。
販売費や一般管理費とは、商品を販売したり管理したりするために必要な経費のことで、販売費は販売手数料や広告費、一般管理費は人件費や交通費などが該当します。たとえば売上総利益が100万円でも、販売するための広告費や人件費として90万円を使っていれば、営業利益は10万円になります。
損益計算書の利益区分3:経常利益
経常利益には、本業以外の利益が含まれます。
経常利益は、営業利益と営業外収益を足したものから営業外費用を引いて求めることができます。営業外収益とは、利息や配当金など、本業以外の企業活動による収益のことです。また、営業外費用も同じく、本業以外の企業活動に要した費用のことです。
特別収益や特別損失が臨時的なものなのに対し、営業外収益や営業外費用は経常的なものという違いがあります。
損益計算書の利益区分4:税引前当期純利益
税引前当期純利益とは、その期に納めるべき税金を支払う前の利益額のことです。
税引前当期純利益は、経常利益と特別利益を足したものから特別損失を引いて求めることができます。特別利益とは、企業が一時的に本業以外であげた利益のことであり、特別損失は本業以外で出した損失のことです。
つまり、本業と本業以外のすべての収支を計算した、税金が引かれる前の最終的な利益の合計額となります。
損益計算書の利益区分5:当期純利益
当期純利益とは、決算期の最終的な利益のことです。
当期純利益は最終利益とも言います。税引前当期純利益から、法人税や住民税といった税金を差し引いて、最終的に企業の手元に残る利益になります。
株式を発行している会社では、この当期純利益から株主への配当金を出すなどの還元をしています。また、内部留保として自己資本比率を高めたり、設備投資に回したりといった使い道もあります。
損益計算書(P/L)を確認するポイント3つ
損益計算書を確認するポイントは、売上総利益率、純利益、損失の3つです。
損益計算書を読むと、会社の事業がうまくいっているのか、あるいは損を出しているのかが分かります。事業収益を正確に把握することで会社の実情を知り、投資や内部統制の強化に繋げることができます。
損益計算書を確認するときに見るべきポイントについて詳しく説明します。
損益計算書(P/L)を確認するポイント1:売上総利益率
損益計算書を確認するポイントの1つ目は、売上総利益率を見ることです。
売上高から売上原価を引いたものが売上総利益です。売上総利益が売上高に占める割合を売上総利益率といい、売上総利益率が高いほど効率的に収益をあげられていると言えます。
売上総利益率が高い商品を調べて、会社の収益性がどこにあるのかを把握しましょう。
損益計算書(P/L)を確認するポイント2:当期純利益
損益計算書を確認するポイントの2つ目は、当期純利益を見ることです。
当期純利益は、諸々の費用や税金を差し引いて最終的に残った利益を指します。純利益を確認することで、会社の収益構造を知ることができます。
当期純利益の額は大きければ大きいほど会社がうまくいっているという証です。逆に、収益から費用や税金を差し引いたときにマイナスになると純損失となります。純利益か純損失かは必ず確認しましょう。
損益計算書(P/L)を確認するポイント3:損失
損益計算書を確認するポイントの3つ目は、損失を見ることです。
経常利益がマイナスになっていないかは特に重要なポイントです。なぜなら、経常利益とは会社が通常の経営によって得た利益のことだからです。
本業に関わらない一時的な損失の特別損失があるよりも、経常利益がマイナスとなっていたり、本業の利益である営業利益がマイナスとなっていないかを確認しましょう。
損益計算書(P/L)の作成や集計を効率よく進めるには?
損益計算書は会社の経営成績を表すための大切な決算報告書です。損益計算書の作成や集計を効率よく進めるには、基幹システムのIT化が重要です。
経営基盤ソリューションSuperStream-NXを使えば、損益計算書や貸借対照表をはじめ、製造原価報告書等がシステム上で作成できます。また、作成した諸表はリアルタイムで確認ができるため、スピード経営に有効です。
損益計算書を確認して会社の経営に活かそう
損益計算書を確認することで、会社の経営を見直すことができます。損益計算書で明確化する5つの利益を分析し、今後の経営計画に活かしていきましょう。
損益計算書の書き方をはじめとする財務諸表の効率的な作成については、WorkVisionの提供するソリューションが有効です。以下に経営基盤ソリューションの紹介ページのリンクがありますので、ぜひご覧ください。
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