残業時間の上限規制とは?法改正後の仕組みや企業がすべきこと4つ

2020年10月20日

カテゴリ:総務

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働き方改革による残業時間の上限規制とは?

残業時間の上限規制とは、働き方改革により導入された制度です。残業時間の上限が原則として月45時間・年360時間とされ、特別な事情がない限り、この時間を超えて残業できなくなりました。違反した場合、罰則があります。

大企業では2019年4月から、中小企業でも2020年4月から施行されました。月45時間の残業とは、1日当たり2時間程度になります。業種によっては、毎日これ以上の残業をしている企業もあり、上限規制に悩まされている経営者も存在します。

残業時間の上限規制の仕組み

残業時間の上限規制には、「臨時的な特別な事情がなければ」という但し書きがあります。特別な事情があれば月45時間・年360時間を超える残業ができますが、その場合でも上限規制があり、無制限に残業できるわけではありません。

臨時的な特別な事情がある場合でも、年720時間以内、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)に残業時間を押さえなければなりません。原則である月45時間を超えられるのは年間6ヶ月までです。

法改正前と改正後

法改正前と改正後では、上限時間が明確に規定されたことと、違反した場合の罰則があることが大きな違いです。

法改正前は「36協定」という労使間の合意があれば、どれほど長い残業時間であっても企業のルールとして設定することが可能でした。法改正前でも厚生労働大臣の告示によって残業時間の上限はありましたが、法的拘束力はありませんでした。

法改正によって、月45時間・年360時間という明確な上限規制がなされました。違反した場合は、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科される可能性があります。

残業させるには36協定が必要

労働者に残業させるには、36協定(さぶろくきょうてい)が必要です。労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間、週40時間とされており、これを「法定労働時間」といいます。

法定労働時間を超える時間外労働や休日勤務をする場合は、労働基準法第36条に基づいて労使協定を結び、労働基準監督署に届け出ることが義務付けられています。法改正前は36協定があれば残業時間は無制限に延長可能でしたが、改正後は36協定があったとしても上限規制の月45時間・年360時間を超えることはできません。

勤務上の残業時間と労働基準法上の残業時間

残業時間の上限規制は労働基準法で定める「法定労働時間」(1日8時間、週40時間)を超える時間により規制されます。

企業の就業規則で定める就業時間が「法定労働時間」より短い場合、例えば1日7.5時間となっているような場合は、勤怠上で集計された残業時間と上限規制でチェックする残業時間とで差が発生することになりますので、注意が必要です。

残業時間の上限規制は中小企業にも適用される?

残業時間の上限規制は中小企業にも適用されます。時間外労働の上限規制は、大企業では2019年の4月から、中小企業では2020年の4月から施行されています。会社の規模に関わらず、残業時間には明確な上限規制が設けられており、罰則が科される可能性も同様です。

残業時間の上限規制で企業がすべきこと4つ

残業時間の上限規制が導入されたことにより、企業によっては仕事のやり方を変える必要が出てきました。今まで通りのやり方を続けていれば違反になり、最悪の場合は罰則を科されます。

残業時間の上限規制の導入は、今までの仕事のやり方を見直すチャンスでもあります。長時間労働が続けば従業員の体調不良や離職にもつながります。残業時間の上限を超えないために企業がすべきことをご紹介します。

企業がすべきこと1:残業時間の管理環境を整える

残業時間が上限を超えないためには、始業終業時刻をきちんと管理し、自社の就業規則や法令に則った残業時間が計算できる環境が必要です。従業員の労働時間を記録し、残業時間が上限を超えそうな場合は事前に通達する必要があります。

臨時的な特別な事情によって月45時間以上の残業を続けていた場合、気づいたら複数月80時間以内の上限規制を超えていた、という事態に陥る恐れがあります。

厚生労働省が策定した「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」によれば、労働時間は使用者が自ら現認し、タイムカードなどの客観的な記録を基礎とするようにされています。

企業がすべきこと2:業務の質を向上させる

残業時間が上限を超えないためには、業務内容を見直して短時間で業務を終了させる仕組みを作る必要があります。行っている業務をすべて洗い出し、形式だけになっている無駄な会議はないか、無駄な資料作成をさせていないかなどを確認します。

無駄な業務を削減すれば、その分の労働時間が短縮されます。業務の無駄がなくなれば、本当に必要なことだけに時間が使えますので業務の質も向上します。

残業時間が少なくなれば健康状態がよくなって業務効率も上がり、空いた時間を資格取得などスキルアップのために使うこともできます。

企業がすべきこと3:仕事の分担をする

仕事の分担を見直すと、残業時間の削減につながります。仕事を1人で抱えると、その人の残業時間が増加します。

それぞれが担当している業務内容を洗い出し、適切に分担すれば負担が減らせます。そのためには、誰がどんなことをできるのか業務経験やスキルを把握する必要があります。

ほかの業務もできるように従業員を教育することも重要です。従業員教育は時間がかかりますので遠回りにも思えますが、従業員全体のスキルが向上すれば結果として全体の残業時間を削減することができます。

企業がすべきこと4:削減の仕組みを導入する

残業時間を削減するには、削減するための仕組みの導入が大切です。「残業禁止」という指導のみしても、根本的な解決にはなりません。サービス残業や持ち帰り仕事が横行する危険性にもつながります。

総務や経理の事務作業なら、新しい労務システムや会計システム、RPAなどを導入して自動化をすることで、日々の業務を削減できます。また、就業管理システムを導入することで社員の勤務実績をリアルタイムで把握でき、適切な就業管理が行えます。

残業時間の上限規制の対象外になる職業とは?

業務の性質上、長時間労働になりやすいため、残業時間の上限規制の猶予がある、もしくは対象外になっている事業・業務もあります。建設事業や自動車運転の業務、医師、新技術・新商品の研究開発業務などは、2020年時点で上限規制の対象外です。

ただし、2024年4月1日以降、建設事業・自動車運転の業務・医師についてはそれぞれの特性を考慮した規制が設けられることになります。なお、建設事業など、将来的に一般企業と同様の上限規制が検討されている業種もあります。

残業時間の上限規制を守り労働時間は規定を超えないよう注意しましょう

残業時間が上限を超えないようにするには、残業時間の把握と業務内容の見直しが不可欠です。わかっていてもなかなか難しいことですが、WorkVisionの就業管理システムは、始業・終業時刻を適切に管理でき、残業時間がオーバーしそうなときは警告してくれます。

24時間稼働の総合病院や、直行直帰が多く時間把握が難しい営業職の導入事例もあります。WorkVisionのシステムを活用して、残業時間の上限を超えない適切な就業管理を行いましょう。

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