2020年09月11日
カテゴリ:総務
「せっかく期初に目標を設定したのに部下が納得しないまま1年が過ぎた…」
「納得感を与える評価をするために、なにか改善すべき点はないだろうか?」
部下にモチベーションを保ちながら業務に取り組んでもらうために、上述のような悩みを抱えている人も少なくありません。
目標に向けて全力で取り組んでもらうためには、設定した目標に対し「部下に納得してもらうこと」、そして評価時には上司と部下がひとつの目標に向かって共に努力できる、「効果的な面談」が必要になってきます。
今回は「目標設定において部下に納得感を与えるコツ」、そして「効果的な評価面談をするために有効なツール」について、いくつかの大切なポイントをお伝えしていきます。
なぜ部下が納得しないのかを考えよう
まず、最初に「せっかく設定した目標に対し、なぜ部下が納得しないケースが多いのか?」という点から考えてみます。
一般的な企業では、期初に組織全体の「定量的」「定性的」な目標をたて、組織目標に沿った個人目標を設定するケースがほとんどでしょう。上司としての理想は、「全員が個人目標を達成し、その積み上げで組織目標を達成する」といったところだと思いますが、実際の現場では以下のような声が聞こえてくるのも事実です。
「どうせ組織の目標を達成しても自分の給料は変わらないし、怒られない程度にやっておこう」
「会社の目標を押し付けてきて目標達成なんてムリ。相対評価で結果は見えているしやる気も出ない」
上述のような意見は、いずれもどこかで聞いたような台詞ばかりかもしれませんが、与えられた目標に対し納得しないまま業務に取り組んでいるようでは、組織としての成長はありません。
「目標設定や評価に納得してもらうため」に、多くの企業では無理やりインセンティブを設定し、報酬だけでモチベーション管理をする傾向がありますが、部下が納得しないのには「報酬以外に原因がある」ケースがほとんどです。
部下を納得させられる上司は優秀な営業マンと同じ
では、どうすれば部下に納得してもらえるのでしょうか……。
結論からいうと「部下から信頼される上司になること」、これが部下を納得させられる大切なポイントになります。「部下から信頼される……」とは、何度も聞いたような言葉かもしれませんが、実際の現場ではそうなっていないケースが少なくありません。
そこで今回は、「部下から信頼される上司になるため」に、「信頼される上司=優秀な営業マン」という視点で、お客さまである自分の部下から信頼されるためには、具体的にどうすればいいのか4つのポイントを見ていきたいと思います。
■部下が納得するポイント①上司は信頼できる人かどうか?
優秀な営業マンが信用できる人であるのと同じく、部下を納得させられる上司も信用できる人であることが大切です。要望を聞いておきながら自分の都合ばかり押し付けてくる営業マンは、決してお客さまからの信頼を得ることはできません。
上司も同じく、「部下からの要望を聞いておきながらフィードバックしない」「約束を守らない」「そもそも目標面談をするといっておきながらしていない」など、部下からの信頼を損なうことをしているようなら、そこから改善すべきかもしれません。
■部下が納得するポイント②目標は実現可能なものか?
お客さまが営業マンからモノを買うとき……。それは「手の届く値段だから」というケースがほとんどでしょう。少しくらい高い買い物でも、本当に良い商品なら背伸びして購入するケースもあるかもしれません。
上司と部下の関係においても同じで、課せられた目標に向かって部下が納得して取り組むためには、実現可能な目標設定が必要となります。たしかにマネジメント側には高い組織目標が掲げられているのはわかりますが、組織目標をそのまま個人評価に割り振ると納得感もなく、モチベーションを下げる原因になります。
特に個人目標を設定する場合には、前年同月比をよくチェックして「少し背伸びするくらい」の目標設定を心がけるようにしましょう。
■部下が納得するポイント③自分にメリットはあるか?
お客様が営業マンから購入を決断するのは、「購入すると自分にメリットがあるから」です。たとえばカーディーラーから新車を買う顧客なら、新車を買うことで「自分のステータスが上がる」「家族との旅行が楽しめる」などのメリットがあるからこそ購入するわけで、購入に至る「動機付け」が必要になります。
部下に目標を課す上司も営業マンと同じで、常に「部下のメリット」を考えながら目標を設定し日々のコミュニケーションに努める必要があります。しかし、「部下のメリット」は必ずしも「報酬」である必要はありません。
とくに短期的なインセンティブは瞬間的なモチベーションアップにつながりますが、長期にわたって能動的に動く部下を育てる原動力にはならないものです。「部下が納得してくれる自分のメリット」とは、「部下自身が成長できること」であるべきですし、成長の先には組織貢献や社会貢献を掲げることも必要かもしれません。
■部下が納得するポイント④上司は的確なアドバイスをくれるひとか?
「あの営業マンは商品のデメリットも伝えてくれたうえで提案してくれる。だから信頼していつも購入している」といった話は実際の営業現場でもよく聞く話です。
優秀な営業マンは、お客様にデメリットもきちんと伝える人であるべきですが、優秀な上司も耳ざわりのいい言葉だけをかけて励ますのではなく、ときには部下のために前向きで厳しい指摘をする必要もあるでしょう。ただ部下に厳しい指摘をする場合でも、上司自身に矢印を向けることも忘れてはいけません。
部下が納得しているかどうかを見分ける方法
日々、部下が納得して業務を遂行しているかを確認するためには、普段のコミュニケーション能力が問われます。毎日の会話から部下の感情の変化を読み取るのはもちろんですが、今回は目標面談のときの部下の顔や言葉から、「部下が本当に感じていること」を見分けるコツをいくつかご紹介していきます。
しっかり目を見て面談しよう
評価面談の際には、「上司の自席付近」「打ち合わせブース」「ミーティングルーム」など、さまざまな場所が使用されると思いますが、目標管理シートや評価画面を確認するために、上司がパソコンを操作しながら面談をするケースが多いのではないでしょうか。
そこで注意していただきたいのが、「パソコンを見ながら面談する」といった上司の行動です。「そんな失礼なことはしていない」という方がほとんどかもしれませんが、知らずしらずのうちに部下から目をそらしてパソコンに向かって話しているケースが意外に多いものです。
面談時は部下との心を通わせる貴重な時間です。できればパソコンを使わずに評価シートなどをプリントアウトして、相手の目を見ながら話すようにこころがけましょう。
伝えた内容を復唱させてみる
部下が目標に対し納得しているかどうかを確認するためには、目標面談を終える際に「伝えたことを復唱させてみる」ことをおすすめします。
やり方は簡単で「以上で評価面談は終わりですが、下期の取り組みに対して今言ったことを自分なりの言葉で言ってもらっていいかな?」と、一度部下に問いかけてみてください。きっと納得していない部下は表面的なことしか言えない、または急な問いかけに復唱できないケースもあるでしょう。
一方で納得している部下は、掲げられた目標を復唱できるだけではなく、目標を達成するための具体的なアクションまで話し出すかもしれません。
上司も部下も明日から使える面談シート
納得できる目標設定において、「上司としてのあるべき姿」や「部下の納得度合いを見分けるポイント」が整理できたあとは、期中の評価面談がとても重要になってきます。
そこで今回は、部下との面談を形式的なものにしないための「明日から使える面談シート」をご紹介したいと思います。
早速ですが、以下が面談シートのサンプルです。同じような面談シートをすでに使われている方も多いかもしれませんが、この面談シートを使ううえでの大切なポイントをお伝えしておきます。
- 面談記録を残しメモをとることで、部下に「大切な時間である」ことを認識してもらうこと
- 面談時に聞いたこと、伝えたことを記録しておくことで次回の面談に役立てること
- 個人的な事情もヒアリングすることで、業務上の妨げになっている諸事情を調整してあげること
参考までに面談シートのサンプルを以下でダウンロードしていただけますので、必要な部分を加工してお使い頂ければと思います。
評価時に個人面談をしている企業がほとんどだと思いますが、専用の面談シートを使用しないと手帳やノートに書いたこと、ましては口頭で聞いたことや伝えたことは半年先には30%程度しか頭に残っていないのが普通です。
継続的に部下の成長を見守り、そして部下からの要望を聞かない「残念な上司」にならないように、ぜひ個人面談用のシートを使うことをおすすめします。
面談忘れを防ぎ目標進捗をリアルタイムで共有できるデジタルツール
最後に効果的に部下との面談ができる、おすすめのデジタルツールをご紹介しておきます。
人事評価シートDX
人事評価シートDXは、従来の複雑な人事評価システムとは異なり、「すぐに使える」「ストレスなく簡単に使える」というコンセプトのもとで開発された人事評価システムです。人事評価シートDXで使われるフォーマットは、Excelとほぼ同じ感覚で使うことが可能です。普段パソコン操作になれていないような部下でも簡単に扱うことができますので、「入力するだけでも面倒」といったストレスからも解放されます。
面談予定機能
「いつでも面談するから、悩みがあったら相談してね」といっておきながら、延々と上司と部下の予定が合わず、面談ができても10分程度で終わってしまった…というのもよく聞く話です。
人事評価シートDXの面談予定機能を使えば、事前に上司が設定した「面談空き時間」を見ながら部下が自由に面談の設定ができます。「面談して欲しいけど、うちの上司はいつも忙しそうだしな…」と部下に遠慮させる必要はありません。
既存のExcelフォーマットも流用でき、テレワークでも従来の面談シートが使える
人事評価シートDXは、システムの標準フォーマットとは別に、既存のExcelフォーマットの取り込みができるようなプランも用意されています。たとえば、既存の目標管理フォーマットに今回の記事でご紹介したような「独自の面談シート」を差し込むことで、人事評価シートDXでも面談シートを使うことができます。
最近の新型コロナウィルス感染防止の観点から、テレワークを推進している企業も多いと思いますが、普段対面時の面談で印刷して使用している「面談シート」を、人事評価シートDXに組み込むことで、リモート面談の際でも普段と変わらない面談が可能になります。
まとめ
日々の忙しい毎日のなかで、部下の状態を100%把握するのは並大抵のことではありません。ただ、冒頭でお伝えしたとおり組織として成果を出すためには、部下の信頼を得て「納得して業務を遂行してもらうこと」に全力を注ぐべきです。
期中の評価面談時には、ついつい目標達成ができない部下のことを責めがちです。ときには面談時間を「上司としての自分を見つめなおす時間」にしてみるのもいいかもしれませんね。
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