2026年01月09日
カテゴリ:総務
人的資本経営とは、人材を単なる「資源」として捉えるのではなく、「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで、中長期的な企業価値向上を目指す経営のあり方です。
人的資本経営の目的は、従業員への投資を通じて企業の持続的な成長を実現し、最終的には企業価値を高めることにあります。
この経営手法は、投資家からの評価にもつながり、企業の競争力強化にも貢献します。
人的資本経営の基本的な考え方
人的資本経営の目的は、人材の価値を最大限まで引き出し、企業価値を向上させることにあります。
この目的を達成するためには、経営陣をはじめとする関係者が一体となって取り組むことが不可欠です。
人材への投資を通じて、従業員の能力や経験といった無形資産の価値を最大化し、企業の持続的な成長と競争力強化を目指すのが基本的な考え方です。
人材を「資本」と捉える経営手法
人的資本経営とは、人材を消費される資源ではなく、価値を生み出す資本として捉える経営手法です。
これは、従業員のスキル、知識、経験、そしてモチベーションといった無形資産を重視し、これらへの投資を通じて企業の持続的な成長と競争力強化を図ることを意味します。
従来の経営では、人件費はコストとして削減の対象となることが多かったのに対し、人的資本経営では、人材育成や働きやすい環境整備への費用は、将来的な企業価値向上につながる投資として位置づけられます。
この考え方では、従業員一人ひとりが持つ価値を最大限に引き出し、企業のイノベーションや生産性向上に貢献してもらうことが期待されます。
具体的には、リスキリング(学び直し)の機会提供や、多様な働き方を支援する制度の導入などが挙げられます。
このように、人材を資本として戦略的に捉えることで、企業は短期的な利益だけでなく、中長期的な視点での成長基盤を築くことができます。
従来の「人材戦略」との違い
従来の「人材戦略」と人的資本経営の最も大きな違いは、人材を「資源」として捉えるか「資本」として捉えるかという点にあります。
これまでの人材戦略では、人材はあくまで「資源」であり、給与や福利厚生、教育にかかる費用は「コスト」として管理され、いかに効率的にコストを抑えるかが重視されていました。
これには、終身雇用制度のもと、人材を社内に囲い込むことが主な目的とされていた側面もあります。
一方で、人的資本経営においては、人材は企業価値創造のための重要な「資本」であり、人材への投資は将来の企業成長に向けた「戦略」的な投資と位置づけられます。
つまり、人材育成や能力開発、働きがいのある環境づくりへの支出は、単なるコストではなく、企業の競争力を高めるための積極的な投資とみなされます。
この視点により、個々の従業員の能力を最大限に引き出し、組織全体の生産性向上やイノベーション創出につなげることを目指します。
また、従来の戦略では不明確だった、各要素と売上・利益といった業績との関係性を明確にし、企業価値向上への貢献を可視化することも、人的資本経営の特徴の一つです。
経済産業省による推進
人的資本経営の推進は、経済産業省が主導する形で本格化しています。
特に人材版伊藤レポートは、持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会の報告書として、人的資本経営の重要性を示しました。
2020年には人材版伊藤レポート1.0が公表され、企業価値向上のための人材戦略のあり方が示され、2022年には具体的な事例や実践方法を深掘りした人材版伊藤レポート2.0が発表されています。
これらのレポートは、企業が経営戦略と連動した人材戦略をどのように実践するかという点に焦点を当てています。
経済産業省が人的資本経営を推進する背景には、産業構造の変化やグローバル競争の激化、そして労働人口の減少といった社会環境の変化があります。
企業が持続的に成長するためには、個々の従業員の能力を最大限に引き出し、イノベーションを創出することが不可欠であるという認識が強まっています。
2023年3月期決算からは、上場企業を対象に人的資本情報の開示が義務化され、これにより日本における人的資本経営元年とも呼ばれる動きが加速しています。
これは、企業が財務情報だけでなく、人的資本に関する非財務情報を積極的に開示することで、投資家からの評価を高め、さらなる成長へとつなげることを目指すものです。
このように、経済産業省はレポートの公表や情報開示の義務化を通じて、企業における人的資本経営の取り組みを強力に後押ししています。
人的資本経営が注目される理由
人的資本経営が注目される理由は多岐にわたります。
まず、人手不足の深刻化や働き方の多様化、流動化が進む現代において、人材をいかに活用し、その価値を向上させるかが企業の競争力を左右する重要な要素となっている点が挙げられます。
また、投資家が企業価値を評価する際に、財務情報だけでなく、人的資本をはじめとする無形資産を重視する傾向が強まっていることも、その必要性を高めています。
さらに、デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する中で、定型業務が自動化され、人が担うべき役割が「作業」から「価値創造」へとシフトしていることも、人的資本への戦略的な投資の重要性を後押ししています。
多様な働き方の普及
人的資本経営が注目される理由の一つとして、多様な働き方の普及が挙げられます。
近年、少子高齢化に伴う労働人口の減少、非正規雇用や外国人従業員の増加、育児や介護と仕事の両立など、従業員のバックグラウンドやニーズが多様化しています。
これに伴い、企業は従来の画一的な労働形態だけでは、優秀な人材の確保や定着が困難になってきています。
リモートワーク、フレックスタイム制、時短勤務など、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方を導入することは、従業員一人ひとりがそれぞれの事情に合わせて最大限のパフォーマンスを発揮できる環境を整える上で不可欠です。
このような多様な働き方を支援する取り組みは、従業員のエンゲージメント向上やモチベーション向上に貢献し、結果として企業の生産性向上にもつながります。
人的資本経営では、こうした多様な働き方を戦略的に推進し、従業員が能力を最大限に発揮できる環境を整備することが、企業の持続的な成長に不可欠であると認識されています。
投資家による情報開示への要請
人的資本経営が注目される大きな理由の一つに、投資家からの情報開示への要請の高まりがあります。
近年、投資家は企業の評価を行う際に、従来の財務情報だけでなく、無形資産、特に人的資本に関する情報を重要視するようになってきました。
企業の持続可能性や将来性を判断する上で、人材への投資状況やその効果が重要な指標と見なされているためです。
具体的には、国際標準化機構(ISO)が公開した「ISO30414」(人的資本に関する情報開示のガイドライン)や、米国証券取引委員会(SEC)による上場企業への人的資本情報開示義務化といった国際的な動きが背景にあります。
日本でも、2023年3月期決算から、上場企業では有価証券報告書における人的資本に関する情報開示が義務化されました。
これにより、企業は人材育成方針や社内環境整備方針、それらの測定可能な指標と目標、さらには女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金格差などの項目について、積極的に開示することが求められています。
このような情報開示は、投資家に対して企業の透明性を高め、社会的な価値創造への取り組みを示すことで、新たな投資を呼び込み、企業価値向上につなげる重要な手段となっています。
デジタルトランスフォーメーション(DX)時代の経営戦略
デジタルトランスフォーメーション(DX)が加速する現代において、人的資本経営は極めて重要な経営戦略として位置づけられています。
DXの進展により、定型業務の多くが自動化され、RPAやAIが人間に代わって行うようになることで、人間が担うべき役割は作業から価値創造へと大きくシフトしています。
この変化に対応し、企業が持続的なイノベーションを生み出し、付加価値を創造し続けるためには、従業員一人ひとりの個の能力を最大限に引き出すことが不可欠です。
人的資本経営は、まさにこの人の価値創造に焦点を当てたマネジメントであり、従業員のリスキリング(学び直し)や、新たなスキル習得を支援することで、DX時代に求められる人材を育成します。
また、多様な知識や経験を持つ人材が互いに協力し、新しいアイデアを生み出す環境を構築することも、DX推進における重要な要素です。
このように、人的資本経営は、単なる人材管理ではなく、企業全体の競争力を高め、DX時代を勝ち抜くための不可欠な戦略として機能します。
「人材版伊藤レポート2.0」でも、人的資本経営がDX時代における新しいマネジメントのあり方として強調されており、企業は戦略的に人材投資を行うことで、持続的な成長を実現していくことが求められています。
人的資本経営で得られる効果
人的資本経営に取り組むことで、企業は様々なメリットを享受できます。
従業員への戦略的な投資は、個人の能力向上に繋がり、それが組織全体の生産性向上をもたらします。
また、働きがいのある環境を整備することで、従業員のエンゲージメントが高まり、企業への愛着や貢献意欲が向上します。
さらに、これらの取り組みは企業の社会的な評価を高め、ブランド価値の強化にも繋がります。
結果として、優秀な人材の確保や新たな投資の獲得にも有利に働き、企業の持続的な成長を支える好循環を生み出すことができるのです。
生産性の向上
人的資本経営を推進することで得られる効果の一つに「生産性の向上」があります。
人的資本経営では、人材を「資本」と捉え、その価値を最大限に引き出すための投資を積極的に行います。
これにより、従業員のスキルアップや能力開発が促進され、結果として個々の業務パフォーマンスが向上します。
例えば、リスキリングや研修プログラムへの投資は、従業員が最新の知識や技術を習得することを可能にし、より高度な業務や効率的な作業遂行につながります。
従業員一人ひとりのパフォーマンスが向上することは、組織全体の生産性向上に直結し、企業全体の利益拡大に寄与します。
さらに、生産性の向上によって得られた利益を再び人的資本に投資することで、従業員のさらなる成長が促され、企業全体の成長へとつながる好循環が生まれます。
このように、人的資本経営は、従業員の成長と企業の成長が相互に作用し合うことで、持続的な生産性向上を実現する効果的なアプローチと言えます。
企業ブランドの強化
人的資本経営は、企業ブランドの強化にも大きく貢献します。
従業員への積極的な投資や、働きやすい環境の整備、多様な働き方の推進といった取り組みは、社外に対して従業員を大切にする企業というポジティブなイメージを構築します。
このような企業は、社会的な評価や信頼を得やすく、企業としての魅力を高めることができます。
例えば、SDGsやESG投資の重要性が増す中で、人的資本に関する情報開示を積極的に行うことは、企業の社会的な責任を果たす姿勢を示すことにつながり、投資家や顧客、求職者からの好感度や信頼を向上させます。
これにより、優秀な人材の採用において優位に立つことができ、さらには顧客からの支持を得ることで製品やサービスの競争力も強化されます。
結果として、企業のブランド価値が高まり、長期的な企業価値向上へとつながるのです。
人的資本経営によるブランド力強化は、単なるイメージアップに留まらず、企業の競争優位性を確立するための重要な要素となります。
従業員の能力の可視化
人的資本経営の重要な効果の一つに、従業員の能力の可視化が挙げられます。
この経営手法では、個々の従業員が持つスキル、知識、経験、資格などを明確に把握し、データとして管理することを目指します。
従業員の能力を可視化することで、企業はどのような人材がどれくらいのスキルレベルを持っているのか、またどのような経験を積んでいるのかを具体的に把握できるようになります。
これにより、最適な人材配置や、今後の事業戦略に必要なスキルを持つ人材の育成計画を立てることが可能になります。
例えば、リスキリングやキャリア開発プログラムを導入する際には、可視化されたデータに基づいて、個々の従業員に合わせた最適な研修内容や目標設定を行うことができます。
さらに、従業員も自身の強みや弱みを客観的に認識できるようになり、キャリア形成に対する主体的な意識を高めることにもつながります。
このように、従業員の能力を可視化することは、個人の成長を促進し、組織全体のパフォーマンスを最大化するために不可欠なプロセスであり、人的資本経営を成功させる上での基盤となります。
従業員エンゲージメントの向上
人的資本経営における重要な効果の一つが、「従業員エンゲージメントの向上」です。
従業員エンゲージメントとは、従業員が企業や仕事に対して抱く愛着や自主的な貢献への意欲を指します。
例えば、従業員が成長できるような研修機会の提供、キャリアパスの明確化、適切な評価とフィードバック、そして柔軟な働き方の導入などは、従業員のモチベーションや満足度を高める要因となります。
これらの取り組みにより、従業員は自身の成長を実感し、企業への帰属意識や貢献意欲を高めることができます。
エンゲージメントの高い従業員は、仕事に対する主体性が増し、生産性の向上やイノベーションの創出にもつながるため、企業全体の業績向上に貢献します。
また、従業員エンゲージメントの向上は、離職率の低下にも繋がり、優秀な人材の定着を促進します。
このように、人的資本経営は、従業員と企業の関係性をより強固なものにし、相互の成長を促すことで、持続的な企業価値向上に寄与するのです。
新たな投資の獲得
人的資本経営によって得られる重要なメリットの一つに、「新たな投資の獲得」が挙げられます。
近年、国内外の投資家は、企業の財務情報だけでなく、人的資本をはじめとする非財務情報を投資判断の重要な指標として評価する傾向が強まっています。
企業が従業員への投資を積極的に行い、その価値を最大限に引き出す努力をしていることを示すことで、投資家は企業の将来性や持続的な成長性を高く評価します。
例えば、人材育成プログラムの充実、従業員エンゲージメントの向上、多様な人材の活用といった人的資本経営の具体的な取り組みやその成果を積極的に情報開示することで、企業の透明性が高まります。
これにより、社会的な価値の高い企業として認識され、ESG投資の対象となる可能性も高まります。
多くの投資家から注目され、投資対象として認識されることで、企業は新たな資金を調達する機会が広がります。
調達した資金をさらに人材育成や事業拡大に再投資することで、人的資本経営の好循環が生まれ、企業の持続的な成長を加速させることが可能になります。
このように、人的資本経営は、企業価値を高め、市場からの投資を呼び込むための強力なツールとなります。
人的資本経営を推進するための視点と要素
人的資本経営を効果的に推進するためには、経済産業省が提唱する人材版伊藤レポートで示されている3つの視点と5つの共通要素というフレームワークを理解し、実践することが不可欠です。
これらの視点と要素は、企業が自社の経営戦略と人材戦略を連動させ、持続的な企業価値向上を目指す上で、どのような点に注目し、どのような要素に取り組むべきかを示しています。
人的資本経営に求められる3つの視点
資本経営を効果的に推進するために、「3つの視点」は不可欠なフレームワークです。
これらは、人材戦略が企業価値向上に貢献しているかを分析・検討する際の重要なポイントとされています。
まず一つ目は「経営戦略と人材戦略の連動」です。
これは、企業の中長期的な経営戦略を実現するために、どのような人材が必要か、どのように育成・配置すべきかを明確にし、経営戦略と人材戦略が一体となって機能することを目指します。
二つ目は「As is/To beギャップの定量把握」です。
現状の人材構成や能力と、将来的に目指すべき姿との間に存在するギャップを定量的に把握することで、具体的な人材戦略の目標設定や施策立案に繋げます。
例えば、特定のスキルを持つ人材が不足している場合、その不足数を数値で示し、どのように補充・育成していくかを計画します。
そして三つ目は「企業文化への定着」です。
策定した人材戦略が単なる計画に終わらず、実際に組織全体に浸透し、企業文化として定着することが求められます。
従業員一人ひとりが人的資本経営の意義を理解し、主体的に行動できるような企業風土を醸成することが重要です。
これらの「3つの視点」を意識することで、企業はより戦略的かつ効果的に人的資本経営を推進し、持続的な企業価値向上を目指すことができます。
人的資本経営に求められる5つの共通要素
人的資本経営を成功させるためには、「5つの共通要素」を戦略に組み込むことが重要です。
これらは、人材版伊藤レポートで提唱されているフレームワークの一部であり、あらゆる企業の人材戦略に共通して求められる要素とされています。
一つ目の「動的な人材ポートフォリオ」は、経営戦略の実現に向けて、質・量ともに最適な人材配置を継続的に計画し、実行することです。
これにより、将来の事業展開を見据えた人材の最適化を図ります。
二つ目の「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」は、性別、年齢、国籍、経験など多様な背景を持つ人材を積極的に受け入れ、それぞれの知識や経験を活かすことで、イノベーションや創造性を促進するものです。
三つ目の「リスキル・学び直し」は、技術革新や市場の変化に対応するため、従業員が新たなスキルを習得したり、既存のスキルを再学習したりする機会を企業が積極的に提供し、自律的なキャリア形成を支援することです。
四つ目の「従業員エンゲージメント」は、従業員が企業に対して抱く貢献意欲や愛着を高めることです。
やりがいや働きがいを感じられる環境を整備し、主体的に業務に取り組めるようにすることで、従業員のパフォーマンスを最大限に引き出します。
最後の「時間や場所にとらわれない働き方」は、在宅勤務やリモートワーク、フレックスタイム制など、柔軟な働き方を導入し、多様なライフスタイルに対応できる環境を整えることです。
これにより、より多くの人材が能力を発揮しやすくなります。
これらの「5つの要素」をバランス良く取り入れることで、企業は人的資本の価値を最大限に引き出し、持続的な成長を実現できます。
人的資本経営の実践と情報開示
人的資本経営を実際に内容として企業活動に落とし込み、その成果を外部に情報開示することは、企業価値向上に不可欠です。
実践にあたっては、まず企業理念と経営戦略を明確にし、それらと連動する人材戦略を策定することが重要です。
そして、その戦略に基づいて具体的な取り組みを進め、その進捗状況や成果を整理し、投資家や社会にレポートとして開示していく必要があります。
実践に向けた取り組みの流れ
人的資本経営を実践するためには、段階的な取り組みが必要です。
まず、企業理念を明確にし、その理念に基づいた中期経営計画などの具体的な経営戦略を策定します。
次に、その経営戦略と連動する形で、どのような人材が必要か、どのように育成・活用していくかを定めた人材戦略を策定します。
この際、現状の人材と将来目指す姿とのギャップを定量的に把握し、具体的な指標(KPI)を設定することが重要です。
例えば、DX推進のために必要なデジタルスキルの不足がある場合、その不足人数やスキルレベルを数値化し、それを埋めるためのリスキルプログラムや採用計画を具体化します。
そして、設定した指標達成に向けた施策を実行します。
これには、人材ポートフォリオの構築、多様性の推進、従業員エンゲージメント向上のための環境整備などが含まれます。
施策を実行した後は、その効果を定期的に検証し、必要に応じて戦略や施策を見直すサイクルを回すことが重要です。
例えば、従業員エンゲージメントサーベイの結果や、リスキルによって取得されたスキルの活用状況などを評価します。
このような一連の取り組みの流れを通じて、企業は人的資本の価値を最大限に引き出し、持続的な成長へとつなげることができます。
情報開示の重要性
人的資本経営における「情報開示」は、企業の持続的な成長と企業価値向上において極めて重要な要素です。
2023年3月期決算からは、上場企業を対象に有価証券報告書での人的資本に関する情報開示が義務化されました。
具体的には、人材育成方針や社内環境整備方針、それらの測定可能な指標と目標、さらには女性管理職比率、男性育休取得率、男女間賃金格差など、様々な項目にわたる情報開示が求められています。
また、内閣官房が公表した「人的資本可視化指針」では、7分野19項目の開示が推奨されており、有価証券報告書では11項目が義務化されています。
企業はこれらの項目について、単にデータを羅列するだけでなく、経営戦略との関連性や、どのようなストーリーを持って人材投資を行っているのかを具体的に示す必要があります。
戦略と連動した情報開示は、企業の透明性を高め、投資家やステークホルダーからの信頼を獲得し、新たな投資を呼び込むことに繋がります。
また、情報開示のプロセス自体が、企業が自社の人材戦略を見直し、改善する機会となり、結果として企業価値の向上に貢献します。
正確かつ戦略的な情報開示は、企業が社会的な評価を高め、競争力を強化するための不可欠な要素と言えるでしょう。
まとめ
人的資本経営は、人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで企業価値向上を目指す経営手法です。
従業員への投資を積極的に行い、企業理念と連動した人材戦略を策定することが重要になります。
また、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展や多様な働き方の普及、投資家からの情報開示への要請の高まりなど、現代社会の要請に応える経営戦略としても注目されています。
人的資本経営を実践することで、生産性の向上や企業ブランドの強化、従業員エンゲージメントの向上など、様々な効果が期待できます。
これらの効果を可視化し、積極的に情報開示していくことが、企業価値のさらなる向上につながります。
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