DX推進の必要性、DXに取り組みやすい業務とは?

2023年07月27日

カテゴリ:デジタルトランスフォーメーション

INDEX

DX推進とは何か?

医療業界におけるDX化のメリット

DXの定義

DX(デジタルトランスフォーメーション/Digital Transformation)という言葉には、もともとビジネス領域に限定されない広義な意味もありますが、経済産業省が2020年11月に策定した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(2022年9月の改訂後は「デジタルガバナンス・コード2.0」)」においては以下のように定義されています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

ビジネスの世界においては、最新のテクノロジーを活用して製品・サービス・ビジネスモデルの革新を推し進め、業務の効率向上や競争優位性の強化を実現することだと言えるでしょう。

DX化とIT化の違い

DX化を推進する上で注意すべき点としては、ツールやシステムを導入するだけでDXを進めたとは言えないところです。

DXにおいて重要となる要素は、ITシステムやデジタル技術を活用して、いかに組織やビジネスそのものの変革をすすめるか、競争力を獲得するかであり、テクノロジーの導入はあくまで手段にすぎず、最終目的ではないことに留意する必要があります。

いまDXが急務となっている背景

現在、日本の産業界ではDX推進が急務となっており、経済産業省では企業のDXを後押しするための様々な取り組みを行っています。

2025年の崖

「2025年の崖」とは、経済産業省が2018年に公表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」において提示された問題です。
DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

レポートにおいては、以下に挙げるような課題に対策を取らなければ、日本経済の損失額は最大12兆円/年にも達すると提示されています。

1) 既存システムのレガシー化
レガシーシステムとは、メインフレーム(汎用機)やオフコン(オフィスコンピューター)に代表される、古い技術基盤で構築されたシステムのことを指します。

レガシーシステムは今でも多くの企業で基幹システムとして使用されていますが、短期的な視点や部門最適に基づいた改修や機能追加を繰り返した結果として、システムが複雑化・ブラックボックス化し、いわゆる「技術的負債」が蓄積してしまっているケースが多々あります。そこで、状況の打開が必要とされています。

レガシーシステムを使いつづける大きな弊害として、保守管理に莫大なコストがかかってしまう点があり、2025年には企業IT予算の9割以上を占めるという試算もあります。

その他、レガシーシステムを使い続ける問題点として、セキュリティリスクも指摘されています。サイバー犯罪の手口は年々巧妙さを増しているため、常に最新のセキュリティ対策を打っていく必要がありますが、古いシステムでは対策に限界があるためです。

こうしたレガシーシステムは、DX推進の足かせともなっており、多くの企業にとって課題となっています。

2)IT人材不足の深刻化
少子高齢化による労働人口の減少に伴い、2025年には人材不足の問題がいっそう深刻になると見込まれています。

中でも、DX推進に必要なスキルを有する高度IT人材の不足は、とりわけ大きな課題となっています。

IT人材不足については、単純な人口減だけが原因ではなく、先述のレガシーシステムの存在によって状況の厳しさが増していると考えられます。

レガシーシステムが導入された時代の技術者は定年退職をむかえる年代に差し掛かりつつありますが、この先も旧態依然としたシステムを維持するためにIT人材リソースを投入しなければならない状態が続いてしまうと、新しいテクノロジーの導入やシステムを抜本的に見直すためのリソースが枯渇してしまう可能性があるためです。

IT人材にとっても、新しい技術を学びスキルアップしていく妨げとなってしまいますので、人材育成の側面からみても好ましい状況とは言い難いでしょう。

3)各種アプリケーション等のサポート終了
2020年から2025年にかけて、幅広いビジネスの基盤を支えてきた下記アプリケーションがサポート終了を迎えることも、DXが急務とされている理由として挙げられます。

Windows7 2020年サポート終了
(ただし、条件付きで2023年1月までの延長サポートがありました。)

SAP ERP 2025年サポート終了
(DXレポートが公表された2018年時点の予定。その後、2027年までサポート期間が延長となりました。)

そのほか、2024年には固定電話(PSTN)の終了とIP電話への転換も予定されており、EDI(電子商取引)などで固定電話回線を利用している事業者は早急な対応をせまられています。

政府によるDX推進施策について

経済産業省や総務省、情報処理機構(以下、IPA)では、企業や行政などのDX促進を目標として、各種ガイドラインや研修コンテンツの公表やセミナー開催、補助金制度など、さまざまな施策を行っています。

冒頭でご紹介した、経済産業省が公表している資料「デジタルガバナンス・コード2.0」(改訂前は「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」)には、産業界のDX推進に向けて、DXの進め方、仕組みの構築方法、企業や経営者が実施すべき事項などがとりまとめられています。
産業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)

「デジタルガバナンス・コード2.0」に対応した企業に対して、DX推進の準備が整っているとして「情報処理の促進に関する法律」に基づいた認定を与える「DX認定」制度もあります。
DX認定制度
DX認定制度のご案内

経済産業省の審査基準を満たしたDX関連の講座・研修をまとめたポータルサイトも開設されています。
マナビDX

またIPAでは、経営者や社内の関係者がDXの現状や課題を把握・認識共有し、アクションにつなげていくためのフレームワーク「DX活用推進指標」を公表しており、この指標に基づいた自己診断ツール「DX推進指標 自己診断フォーマット」 も配布しています。
DX推進指標のご案内

DX推進がもたらすメリット

業務の生産性向上・コスト削減

デジタルツールの導入によって定型作業を自動化することができれば、作業時間短縮やヒューマンエラーの回避ができ、業務効率や生産性の向上、コストの削減にもつながると考えられます。

働き方改革の実現

DX推進が進めば、働き方改革にもつながります。
具体的な例として、業務効率化による労働時間の見直しや、テレワークの環境整備などが挙げられます。

環境変化への柔軟な対応が可能

DX化推進によって、ビジネスの柔軟性も向上すると考えられています。

最新技術を使った新興企業がマーケットに大きな変化をもたらすこともある昨今、戦略的に新しいテクノロジーを導入することで、市場や時勢の変化に伴う顧客ニーズの変化に柔軟に対応できる体制を整えておくことは、企業の競争力の強化・維持という観点からも重要になっています。

BCP(事業継続計画)の拡充

BCP(Business Continuity Plan・事業継続計画)とは、自然災害や大火事、テロ等の緊急事態が発生した場合にも事業を継続・早期復旧させるため、その方法、手段などを取り決めておく計画のことを指す用語です。

地震や水害などの自然災害が多発している昨今、企業のBCP強化の必要性は高まっており、その手段としてもDXが効果的だと考えられています。

新たなビジネスモデルの開発につながる

事業ごと・部門ごとに管理されているなどの理由により、これまで十分に活用しきれていなかったデータ類が、DX推進によって一元管理・収集ができるようになると、データ分析の結果を活かして新たなビジネスを創出できる可能性が高まります。データ分析に関しては、AI分析を導入してもメリットがありそうです。

DX化が進まない要因

IPAが発行する「DX白書」の2023年版によれば、DXの遅れに対する危機意識の高まりや、コロナ禍を経ての社会の変化などを経て、企業のデジタル化は徐々に進みつつあります。
DX白書2023

しかし、産業界に変革をもたらすような、インパクトのある「トランスフォーメーション」が起きているとは呼べない段階にあるのが現状です。

DXを妨げる壁として、以下のような要因がよく挙げられます。DXの失敗事例を紐解いてみても、これらの複数が関係しているケースが多く見られます。

経営層のデジタルに対する見識・理解のなさ

「DX白書」によると、「IT分野に見識がある役員が3割以上いる」と回答した割合が、日本企業は3割に満たず、米国企業の半分以下という結果でした。(2022年度調査)

経営層がITやDXに対して理解不足であることは、DXの取り組みの阻害になると懸念されています。

特に、中長期の経営計画に基づくIT投資など、経営層がリーダーとして牽引する役割を担う必要がある施策は実施しづらいと考えられます。

組織としてDXを推進する体制が整っていない

DX推進にあたっては、社内システムの一元化や内製化、業務プロセス改革など、部門を横断して対応が必要になる施策も多くあります。

しかし、上記のように経営層が理解不足だと、DX推進部門や事業部門などとの間の協調が十分におこなわれず、組織としてDXを進める体制を作ることも難しくなってしまいます。

DX人材の不足

もうひとつの大きな課題は、DXに必要とされるスキルやITリテラシーを持った人材が慢性的に不足しているという現実です。

レガシーシステムの刷新を行うにしても、新たなテクノロジーを導入するにしても、人手がなければ動けません。

人材不足の問題は2025年には更に深刻になると考えられており、DX化をすすめる上で大きな障壁となっています。

成功するDXの進め方

バックオフィスDXから着手するのがお勧め

前述の課題をクリアしつつDXを進めていく最初のステップとしては、バックオフィス業務から取り掛かるのがお勧めです。

バックオフィス業務はあらゆる企業活動の基盤となる部分なので、土台からDX化をすすめていくことにより、他業務にも好影響をもたらすと考えられるからです。

またバックオフィス業務は、営業などのフロント部門に比較して季節や時勢などの環境要因に左右されづらいため、DXの明確なゴール設定をしやすく、効果測定がしやすいというメリットもあります。

「WorkVision販売管理」のご紹介

バックオフィス業務からはじめるDXソリューションの一つとして、「WorkVision販売管理」をご紹介します。

「WorkVision販売管理」のメリット

「WorkVision販売管理」は、お客様に合わせてさまざまなカスタマイズ設定が可能な高度な販売管理システム。サブスクリプション方式により、安価な料金で利用開始できます。

機械器具、建設資材、電子部品、食品の卸売業・製造業のシステムなど、一般のシステムでは難しい多種多様な在庫管理形態にも対応することができ、データ連携ツールやBIツール(分析データを視覚化するデータ分析ツール)をはじめとした、各種の周辺システムとの連携にも対応可能。

また、40年超の豊富なシステム構築実績に裏付けされたノウハウを持ち、業務プロセスの改善コンサルティングからの提案が可能です。

WorkVisionの標準化支援について

「WorkVision販売管理」の大きな強みは、標準化支援を行っているという点にあります。

標準化とは何か

標準化とは、特定の人でないと業務が遂行できなかったり、作業者によって品質に偏りが出たりする「属人化」の状態を防ぐため、業務の達成基準や成果物などを明確化し、さらに業務やタスクの手順、フローも整理・可視化をして、業務に携わる誰もが同じパフォーマンスが出せるようにすることです。

なぜDX推進に標準化が欠かせないのか

DX推進を目的としたシステム導入の際には、前提として、現在の業務の標準化がされていることが必要です。

そもそも業務・タスクの達成基準やフロー、手順が明確化・可視化されていなければ、自動化や効率化につながるようにシステムを構築することができないからです。

デジタル化によって業務効率化・生産性向上を達成するために、長年のシステム構築で蓄積されたノウハウを持つWorkVisionの業務改善コンサルティング、標準化支援はお役に立ちます。

販売管理システム導入事例集

「WorkVision販売管理」の導入事例をご紹介します。

ライト株式会社様の事例

ゴルフ用品の製造・販売をおこなっているライト株式会社様。発注・資材・外注管理などの業務で属人化がすすみつつあった状況を改善するため、システム導入を検討し始めました。

発注から出荷まで一気通貫のシステム化により、特定の人に依存しない仕組みをつくり、業務効率化とヒューマンエラーの防止を実現しました。
ライト株式会社様事例

イチコーエンジニアリング株式会社様の事例

1966年の創業以来、電子機器の設計・製造・販売・サービスを提供してきたエンジニア集団である、イチコーエンジニアリング株式会社様。老朽化した基幹システムの動作が不安定で、タイムリーな情報連携ができず、スピーディな経営判断の妨げとなってしまっていた状況を打破するため、システムの刷新を行いました。

新システムの導入においては、標準化支援が役立ちました。業務プロセス整理を通じて、コストが嵩んでいる箇所やリスクとなっている箇所を明確にでき、最適化につなげることができました。
イチコーエンジニアリング株式会社様事例

大黒工業株式会社様の事例

食品包装資材界のパイオニアとして、豊かな食文化を支える大黒工業株式会社様。
プラットフォームの保守サポート終息や市場の変化など、レガシーシステムを使い続けることに様々な課題が発生してきたことから、システムのリニューアルを行いました。

業務プロセスを整理して課題を洗い出した結果、当初のスクラッチ開発ではなく、パッケージシステムをベースに機能追加する形で導入することになりました。

将来的な拡張性を担保しながら、現状の業務課題を解決できるシステムの導入により、業務効率化に加えて、顧客満足度の向上も実現できました。
大黒工業株式会社様事例

グラフテック株式会社様の事例

主力商品であるカッティングプロッタや大判カラースキャナが国内外の高い評価を得ており、世界/国内トップクラスのシェアを誇る商品を持っているグラフテック株式会社様。

増加する貿易関連の業務システムと在庫データの連動が効率的にできておらず、国内外へのスピーディな製品の供給の支障となってしまっていたため、販売管理と貿易管理システムのリプレイスを行いました。

新システムの導入により、貿易システム(海外)と販売管理システム(国内)のシームレスなデータ連動が可能になり、業務パフォーマンスの向上につながりました。
グラフテック株式会社様事例

株式会社日本ロックサービス様の事例

カギと防犯用品の専門商社である株式会社日本ロックサービス様。防犯上必須であるカギという商材の性質上、壊れたり無くしたりした場合にはすぐに付け替えなければならない等、迅速な対応が求められる場面が多くなっています。

休日や深夜に緊急対応を行うこともあるため、24時間在庫の有無と価格が閲覧できるシステムを導入し、業務効率向上を実現しました。

今後は、タブレットやスマホを活用し「仕事の発生している現場」にタイムリーな情報提供ができるよう、さらなる機能の拡充を進める予定です。
株式会社日本ロックサービス様事例

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